小学校の担任だった先生の訃報が届いた。91歳とある。ここ何十年も年賀状で近況を伝えることしかしてこなかったが、いつも先生は「お母様はお元気ですか」と気遣ってくれていた。
当時の私はひどい喘息に苦しんでいて学校も休みがち、母はなんとか留年をしないよう手を尽くしたらしい。子供である当人は知る由もなく呑気なものだったが、そのことを良く知っている先生は母のことを強く憶えていてくれたのだろう。その母も昨年93歳で亡くなった。
今年91歳だということは、担任だった頃は30代に入ったばかりだということになる。あの頃の先生は優しくしっかり者のオバサンというイメージだったが随分若かったんだと今更ながら知ることに。こっちが本物のジイサンになってみるとそう思えるが子供の眼は恐ろしい。
生徒が70歳に手が届こうという歳になれば当然だが、小学校、中学校の担任の先生はその殆どが鬼籍に入った。存命で消息の分かる先生はひとりだけ。この先生はやたら元気だ。亡くなった先生も生きてる先生も皆とてもいい先生だった。今だからそう思うのでなく、当時も良い先生だと生徒から慕われていたのは間違いないし、親からの信頼も厚かった。
多少の例外はいたかもしれないが、そう、昔の先生は皆本当の教育者だった。
ログインしてコメントを確認・投稿する