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2015年11月04日16:08

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映画日誌「顔のないヒトラーたち」

 第2次世界大戦終結から10年以上経過し、復興が進む西ドイツ。
 ナチスドイツの行いについて、特に若者の認識が薄れ、アウシュビッツの存在すら知らない人もいるような状況の中、若い検察官がアウシュビッツで行われた犯罪を追及し、 フランクフルト・アウシュビッツ裁判に至るまでの葛藤が描かれている。
 既にニュールンベルグ裁判で全ての戦犯が裁かれたものと思われていたのが、こうした裁判も行われていた、という事実を知るだけでも意義があるが、様々な障壁に当たりながらも犯罪人を探し続ける検察官の情熱と、自分の父親もナチ党員であったことを知り、悩み苦しむ人間としての姿にも惹かれる。
 主人公は架空の人物であり、ややヒーロー的に描きすぎている感もあるが、女性とのロマンスの描写もあり、あくまで普通の人間である、ということも知ることができ、人間ドラマとしても味わいがある。
 ナチスドイツのユダヤ人虐殺は現代のドイツ人にとってはつらい過去だろうが、それでも避けずに事実としての記録、保存を行おうとする姿勢は、被害者側としての記録ばかり残そうとする日本も見習うべきだ、という声もあるが、従軍慰安婦の問題などが取りざたされている今、日本でもこのような映画を観ることが必要な気もする。
 勿論、ナチスドイツの行いは戦時中の日本軍の場合とで、比較して云々するものではないだろうが、暗い過去に真摯に向き合う姿勢というものを、この映画は教えてくれるみたいだ。
★65点
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