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2015年08月09日22:38

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『執着と愛の境界線』第1話

 あまりに暑い日が続くので、暑さしのぎに何かエロい話を考えようとしてたら、『例えばこんな愛の形』の続編っぽいものが出来ました。
 オリジナルキャラが双子と絡んでます。オリキャラの嫌いな人は見ないように。
 アケローオス兄ちゃんについては『ハルモニアの首飾り』http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=3513947『ドナウの白波 黄金の酒』http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=4939909『セクアナの泉』http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=4970379を参照。双子たちのオリジナル少年時代設定については『雪解け』http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=3484101を参照。
 またオリキャラ×双子かよと自分でも思いつつ、アケローオス兄ちゃんは素でエロいため、エロい話には便利なキャラで多用してしまいます。
 ラストをラダカノで締めたのは、私の中のアケローオス兄ちゃんが「たまにはまともなロスサガやラダカノを書いてやれ。教皇や冥府の判官殿が気の毒だろう」と言ったからです。なのでラダ誕にはまともなラダカノ話を目指したいのですが、今のところ、ミーノスのせいでカノンが幼児化するネタとか、ミーノスのせいでカノンが女体化するネタとか、色物ネタしか思い浮かんでくれません。困った。ハードボイルドでクールでシリアスなラダカノが書きたいです、先生。
 mixiにはR-18に引っかからない程度の部分をあげていきます。

『執着と愛の境界線』第1話

「なんでおれを無視するんだーっ!!!」
 アケローオスの館にやって来たカノンの第一声が、それだった。
「…は?」
 寝入りばなをたたき起こされる形で、海界からの客人を迎えた河の主はどう反応を返したらいいかも分からず、呆然とした。目の前に立つカノンは、口をへの字に曲げ、頬をふくらまし、眉根を寄せている。さらに腰に両手をあて、全身で「おれは怒ってるんだぞ!不機嫌なんだぞ!」と表現していた。
「無視ってなんの…」
「もう二か月も音信不通じゃないか!」
 そうわめいたカノンは拳を振り上げ、アケローオスを叩き始めた。
「おい、カノン、やめろ…」
「なんでおれに声をかけないんだよ!ラダマンティスの奴だってもっと頻繁に声をかけてくるぞ!それなのにあんたは…!少しは焦らしてやろうとか思ってたのに、それ以前の問題じゃないか!ちょっとはおれを欲しいとか思わないのかよ!?」
「いや、待て、カノン…」
「もうおれに飽きたのか!?それとも嫌いになったか!?サガに心変わりしたか!?ちくしょーっ、あんたなんか大嫌いだーっ!」
「だから、やめんか!」
 アケローオスは自分を叩くカノンの両手をつかみ、大きくため息をついて肩を落とした。ようやく状況を理解する。
「…欲求不満のあげく、ヒステリー…。女か、お前は」
「うるさいっ!」
 カノンは自分の両手をつかむアケロ―オスの手を振り払った。いらだたしげに館の主人の前を歩き回る。
「そんなにたまっているなら、冥府の判官殿に会いに行けばいいだろう?別れたわけではあるまい」
「おれがあいつと別れるわけないだろう!」
「だったら…」
「おれは…!」
 きっとカノンがアケローオスをにらむ。
「おれが欲しいのは、あんたなんだよ!分かれよ、それくらい!」
 分かるか、と内心でアケローオスは突っ込んだ。二股を堂々とかけて悪びれもしないカノンだが、なにしろ相手がカノンだけに、その辺の道徳観を指摘しても無意味な気がする。
「アケローオス、あんたさぁ…」
 カノンが少し背をかがめて、下からアケローオスをのぞきこむような姿勢を取る。
「本当は、おれのことなんてどうでもいいって思ってない?」
「思ってない」
「おれのこと、可愛い弟だって思ってる?愛してる?」
「愛してる」
「だったら」
 ぐいっとカノンがアケローオスの首筋に手をかけ、引き寄せた。
「おれのことを欲しがれよ。無視するな」
「…そういう意味で『愛している』わけではないんだがなぁ」
 ため息をついたアケローオスの耳元にカノンがささやく。
「いいだろ?今さらだ。暇なくせにおれを無視するなんて、許さない」
「そう暇でもないんだぞ。近くゼウスがアイティオピアに保養に来るから、その歓待の準備をエウリュノメと…」
「おれと仕事と、どっちが大事なんだ!?」
「だから、そういう女の言うようなことを…」
 呆れたようなアケローオスの言葉に、むっとカノンがふてくされたような顔になる。
「おれを拒む気か?」
「ああ、わかった、わかった。本当に面倒な奴だな、お前は」
 駄々をこねる子供をなだめるように頭を軽く撫でると、アケローオスはカノンを自分の私室に案内した。

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