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2017年05月19日16:19

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『双子の日』

 全年齢向けのページを作りました。
 12月13日が「双子の日」なので、それに合わせて書いた作品です。といっても、イベントとはあまり関係がないです。
 カノンとアイオロスがサガを取り合ったあげく、「サガ、どっちがいい?」と二人でサガにエロいことをする話です。執務よりエロい衝動を優先させるアイオロスはダメ教皇だな!
 後半では、勝負の結果に納得いかなかったカノンが二人の争いにアケローオスを引っ張り込み、
「おれの姿に化けてサガを抱いてくれ。そうしたらおれのほうがいいってサガにも分かる」
「……。お前、馬鹿だろ」
 となります。
 カノンに等身大ディルド扱いされたアケローオス兄ちゃんの明日はどっちだ!?と思いましたが、その後、カノンを地獄にたたき落としてから天国に引き上げて喜ばせてやっているので、やっぱりこいつはうまいなぁ…と思いました。
 参照作品は『例えばこんな愛の形』http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=5409535『執着と愛の境界線』http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=5653894『常識についての一考察』http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=5813095『時には愛の言葉を』http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=5848132『いい双子の日』http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=6082772
 全年齢向けはこちら。『例えばこんな愛の形』http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1942998622&owner_id=4632969『執着と愛の境界線』http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=4632969&id=1944928878『常識についての一考察』http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=4632969&id=1946155592『時には愛の言葉を』http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=5848132
 アケローオスについては『ハルモニアの首飾り』http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=3513947『ドナウの白波 黄金の酒』http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=4939909『セクアナの泉』http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=4970379を参照。

『双子の日』

 ある金曜日の週末。教皇の間で執務をしていたアイオロスとサガを、海界からカノンが訪ねてきた。
「なぁ、サガ、明日、何か予定があるか?」
 サガの入れた紅茶を受け取りながら、カノンが兄に尋ねる。
「どうした、急に?」
「ああ。明日、ポセイドニアの人気劇団が新作悲劇を上演するんだよ。一緒に観劇しないか、と思って」
 サガは残念そうにため息をついた。
「それは面白そうだな。だが明日の休みはアイオロスと二人で過ごす約束をしている」
 それを聞き、カノンはむっとした顔になった。
「アイオロスとはいつも一緒にいるじゃないか。おれを優先しろよ」
「だが約束はアイオロスとの方が先だ」
「兄さん」
 テーブルにティーカップを置いたカノンは立ち上がり、サガの肩に腕を回した。
「いいだろ?おれと観劇する方が、アイオロスと過ごすよりずっと楽しいはずだ」
「しかし…」
「何だよ。おれよりアイオロスを取るのかよ」
「そういう意味では…」
「昔みたいにおれを捨てるの、兄さん?」
「そんなことはない。お前の願いなら、何でも聞いてやりたいが…」
「じゃあおれと過ごそうよ。子供のころみたいに、一緒に過ごして飯を食おうぜ」
「でも…」
 大きな図体をしながら自分にまとわりついて甘えてくる弟に、サガは困った顔をした。
「カノン、やめろ。サガが困っているではないか」
 アイオロスが執務机の前から声をかける。その言葉に、カノンは剣呑な目でアイオロスをにらんだ。そしてこう言った。
「いいか、アイオロス、よく聞けよ。確かに昔、サガはおれよりお前を選んで、自分も聖闘士になることを決意したがな。だが今はおれだってアテナの聖闘士なんだ。だったら条件は互角だ。それならサガはお前よりおれを選ぶに決まってる」
「勝手にサガの心を決めつけるなよ。サガが選ぶなら、おれに決まってる」
「いいや、そんなはずはない!サガ、間違いなくおれの方が、アイオロスよりいいよな!」
「おれだ!」
「いや、おれだ!」
 ばちばちと敵意を競争心に満ちた視線を飛ばしながら言い争う二人の姿に、サガは困惑した眼差しを向けるしかなかった。
「そんな…どちらが良いかと言われても…」
 サガにとってアイオロスは大切な恋人であり、カノンはかけがえのない弟だった。どちらが良いかと聞かれても、どちらもそれぞれに異なる意味で愛する存在だ。選びようがない。
「サガ…そこはおれがいいと即答しなきゃだめだよ」
 アイオロスが椅子から立ち上がり、サガに近づいた。
「どうする、アイオロス。サガの奴、おれとお前とどちらがいいか分からないってさ」
「そうか。それではサガの一番正直なところに聞こうか」
 え?とサガが思った次の瞬間、素早く目くばせをかわしたアイオロスとカノンが動いた。カノンが背後からサガの肩に腕を回してホールドすると、アイオロスはサガの両足をつかんで抱え上げた。そして二人はそのままサガを執務室に隣にあるアイオロスの居間に、それから居間の続きの寝室にと運び込んだ。

(以下はR-18なので割愛)

 そんな一悶着があった二日後の日曜日、カノンはサガを誘ってギリシャ北西部・アヘロオス河の主を彼の館に訪ねていた。
「…ということが、先日あったんだ」
 サガを巡るアイオロスとの争いの顛末をカノンから説明されたアケローオスは、
「はぁ」
 と、彼に生返事を返した。
 サガと並んで長椅子に掛けていたカノンだったが、説明を終えると立ち上がり、向かいの長椅子に座っていたアケローオスの隣にと移動して腰を下ろした。そして間近で河神をのぞき込み、こう言った。
「おれは絶対、アイオロスよりおれの方がいいと思うんだよ。おれとサガの体は同じなんだからな。鍵と鍵穴がぴったり合うみたいに、おれの方がアイオロスより具合がいいに決まってる」
「…うん、まあ、お前がそう確信しているなら、それでいいんじゃないか?」
「良くない!サガにそれを分からせなきゃ、意味がないじゃないか」
「…で?」
「そこでおれは考えた。おれには挿れさせてくれないけど、サガはあんたなら挿れさせるだろう?だからあんたが変身術でおれに化けてサガを抱けば、アイオロスよりおれの方がいいってサガにも分かるはずだ。だから、おれに化けてサガを抱いてくれ」
「………」
 しばらく沈黙した後、アケローオスは答えた。
「お前、馬鹿だろ」
 その評価に、えええ〜!?とカノンは不平をあらわにした。
「どこがだよ。いいアイデアじゃないか」
 座って二人の話を聞いていたサガが深いため息をつく。
「だから言ったではないか、カノン。そんな頼みはご迷惑だからやめようと…」
 カノンの思い付きにそれぞれの表情で呆れているサガとアケローオスだったが、やがて河の主がカノンを諭した。
「…カノン、その提案の馬鹿さ加減は脇に置いておいてもだ。おれがお前の姿でサガを抱いても、公正な評価はできないと思うぞ」
「どうして」
「姿がお前でも、おれの神としての本質は変わらないからな。神と交わる時、体にどんな変化が起こるか…お前も知っているだろう?」
 神としての本質、星であり、銀河であり、渦巻く大河であるアケローオスの本質が、人間である相手の肉体と精神を浸して一体化する。周囲の精霊たちが目に映り、彼らからの祝福と力を受け取ることができる。相手の想いが、愛が、己の思考を犯し、形となって目に見える。全身の細胞の一つ一つが、脳の神経の隙間と隙間が、快楽で火花を散らす。人間を相手にする時では決して味わえない深く強烈な悦びは、セックスというより神秘体験の一種と言えた。
「…知ってる。おれはドラッグをしたことはないけれど…何か薬でも決めてるみたいな感じになるんだよな、あれ」
「そういう状況で、教皇との交わりとどちらがいいかと問われても…評価はできまい?」
「う〜ん、確かに、あんたとのセックス、無茶苦茶いいもんなぁ。仮にアイオロスがいくら上手かったとしても、あれと比較はできないか」
 うむむ、と、カノンはうなった。
「そういうことだ。ではこの話はこれまでということで…」
 と、アケローオスは話を打ち切ろうとしたのだが、カノンはまたもや「ぴん!」と余計なことをひらめいた。
「あ!そうだ!おれの姿に化けてサガを抱いた後、アイオロスの姿にも化けてサガを抱いてやればいいんだ!そうしたら公正な評価ができるだろ?」
「……」
 再びアケローオスは沈黙した。こいつは頭はいいのに何故こんなにも馬鹿なのだろう、という疑問が河神の頭に浮かぶ。彼の膝にカノンが手を置いてねだった。
「な、いいだろう、アケローオス。そうしてくれよ。そうしたら、サガにもおれの方がいいってはっきり分かるから」
「…お前、おれのことを等身大のディルドか何かだと思ってないか?」
「そんなことはないぞ。大切な大兄さんだと思ってるよ」
「怪しいなぁ」
「ねぇ、いいだろう、アケローオス。してよぉ。おれとサガで楽しませてやるから…」
 そうしてカノンはアケローオスに抱き付き、首筋に顔を寄せて甘えた。ちゅ、ちゅ、と彼の顔にキスの雨を降らす。
「…サガ、お前はどう思う?」
 甘えてくるカノンを適当にいなしてキスに応えてやりながら、アケローオスは向かいに座るサガに目を向けた。
「私は…カノンがそれで満足してくれるなら…。カノンの望みは叶えてやりたい。この前、カノンを傷つけてしまったし…」
「そのわびか?」
 こくん、とサガはうなずいた。
「…お前もそう言うなら、仕方ないな。おいで」
 ため息混じりに、アケローオスは二人を寝台にと誘った。

(以下はR-18なので割愛)

 サガの姿で抱いてもらった後、「やっぱりあんたの本当の姿でも抱いて欲しい」と頼んて河神を求めたカノンは、本来の姿に戻ったアケローオスに再び抱かれた。
 兄にとって自分がアイオロスより優ることを確証し、さらに兄の姿とも交わることができたカノンは大いに満足して、アケローオスの腕の中でとろとろとまどろんだ。
「…しかし難儀な奴だな、お前は」
 カノンの頭を抱きながらアケローオスが言う。
「う…ん?」
「いつもわがままばかり言って、人の愛情を図っている。いつになったら満足するんだ?」
「ふふ…あんたがおれだけのものになってくれたら、かな?」
「嘘をつけ。サガも独占しないと気がすまないくせに」
「……」
 カノンは黙ってアケローオスにすり寄った。
「あんたの、そうやって人の心を見透かしてる意地の悪さ…ちょっと嫌いだ」
「そうか」
「そうだよ。黙っておれに騙されてくれたらいいのに」
 顔を上げたカノンが、ちゅっとアケローオスに口づける。
「サガの愛も、おれの愛も…もうお前は手に入れてるじゃないか。それなのに、まだ愛を試して確認しないと不安なのか?」
「…うん。愛を…実感したいから…。ずっと注ぎ続けて欲しいから…」
 アケローオスの手を取り、指を口に含む。
「あまりわがままを言ってると、そのうちサガに愛想を尽かされるぞ」
「あんたは…愛想を尽かさない?」
「お前のわがままくらい、可愛いものだからな。それにわがままなお前も、可愛い」
「ふふ…良かった」
 微笑んだカノンが、ねえ、と尋ねる。
「おれとサガと…どっちが可愛い?」
「どちらも…。サガは素直で従順なところが可愛い。お前はわがままで手の焼ける所が可愛い。子供のころと同じだな」
「子供のころ…」
 アケローオスの反対側で眠る兄にカノンが視線を向ける。
「おれは、サガみたいに素直にあんたたちに甘えられなかった。あんたたちも、サガの方を側に置いて可愛がってた。だからその分も甘えたいし、可愛がって欲しいな…」
「お前ばかり可愛がると、今度はサガが妬くな。こいつは存外、嫉妬深い」
「妬かせてみたいなぁ」
 意地悪く、カノンが笑んで見せる。
「せっかく仲直りしたのに、またサガに嫌われたいのか?」
「それは嫌だ」
「だろう?」
 アケローオスがからかうように笑ってカノンの頬を撫でた。
「サガもお前もどちらも等しく愛している。昔も今も…。それで満足してくれ」
「ん…」 
 現状は完全に満足とはいかないが、それでもカノンにとって八割くらいの満足感はあった。欲深なカノンだが、「ほどほど」という言葉を知らないわけではない。
 体を起こしたカノンが、アケローオスの足の方にと移動した。
「カノン?」
「…もう一回、しよう?」
 そうしてカノンは上目使いで相手の様子をうかがってみせた。
「仕方のない奴だ」
 ため息を一つつき、アケローオスはカノンの頭を掻き撫でるのだった。
 
<FIN>

完全版はこちら。pixiv掲載でR-18
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