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2016年03月06日01:02

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『春蘭と秋菊の競艶』第6話

『春蘭と秋菊の競艶』第6話

 ホテルの部屋に着いたカノンは部屋に入るなり、
「あー、もう限界!」
 と、ハイヒールを脱いで投げ捨てた。サガが眉をひそめる。
「カノン…行儀が悪いぞ」
「部屋に入ったんだからもういいだろ?サガ、お前も足が痛くないか?」
「…実は私もずっと我慢していた」
 そう言ってサガもハイヒールを脱ぎ、室内履きのスリッパに履き替えた。
 アケローオスが取った部屋はプレステージスイートと呼ばれる部屋で、ベッドルーム、リビングルーム、バスルームからなっている。室内装飾は豪華で壮麗な第二帝政スタイルで、床には黄色に青い四角模様のついた絨毯が敷かれ、壁紙は優しいクリーム色で、寝台の頭側だけが青と金の壁紙が張られている。リビングルームには青いベルベットの張られたソファがテレビに向かって置かれ、机にはウェルカムギフトのお菓子とミネラルウォーターが用意されていた。窓際にも木製の机と椅子があり、青と金の意匠のカーテンが重々しく三枚張りで垂れている。テレビの下は冷蔵庫になっており、ミニバーとして各種の飲料やグラスが置かれていた。クローゼットも入り口とベッドルームに二つ備え付けられている。
「疲れた〜」
 コートをクローゼットにかけてベッドルームに入ったカノンは、キングサイズの寝台に勢いよく仰向けに転がった。枕や毛布に金色の布地が使われている寝台はいかにも高級感がある。ベッドルームの窓際にもやはり青いベルベット生地のソファと机が置かれていた。
「思い切ってロイヤルスイートでも予約したらよかったのに」
「一晩しか泊まらないのに、無駄に広くても仕方がないだろう」
 贅沢なカノンの要求に苦笑して、コートとジャケットをクローゼットにかけたアケローオスはバスルームに入って浴槽に湯をため始めた。 
 寝台の上に座ったカノンはサファイアとプラチナの首飾りを外し、ドレスも脱ごうとしたが、背中のファスナーに上手く手が届かず、難渋した。
「…ほら、カノン」
 サガが弟の背後に回り、背中のファスナーを下ろす。
「サンキュー、サガ」
「私のも下ろしてくれ」
「ああ」
 カノンはサガのドレスの背のファスナーを下ろすと、兄の肩からドレスを脱がし、背後から抱き締めた。
「…カノン!」
 弟の手がサガの乳房を柔らかく揉み、首筋に口づけされる。
「下着姿を見せてくれるって…言ったろ?」
「んん…っ」
 カナリア色のイブンニングドレスをするりと脱がし、エメラルドと金の首飾りと肘上までの手袋を外させると、カノンは下着姿にした兄を寝台の上に仰向けに横たえた。そして自分もロイヤルブルーのイブニングドレスを脱ぎ捨てる。
「カノン…」
 カノンは白いレース地のベビードールの上から兄の胸や腰を撫でた。
「サガ…この下着、とても綺麗だ」
「カノン、お前も…その黒い下着、すごく似合ってる」
 双子は互いの体を下着の上から撫でまわした。薄いサテンやレース地に、豊かに膨らんだ乳房やくびれた腰が透けて見える。互いの体の変化を確認するかのように丹念に体の線をたどった二人は、やがて口づけをかわした。ちゅ、ちゅ、と唇を吸い、舌を絡める。
 口づけを終えて離れたカノンは、上から兄を見下ろしながら少し笑い、サガの唇を指で撫でた。
「ふふ…おれの口紅の色が移っちゃったな」
「ん…」
「この色は…濃すぎてサガには似合わないな」
 カノンはもう一度、兄に口づけた。それから頬に、首筋に、肩にと口づけを下ろしていく。サガの白い肌に、カノンの口紅の色が赤く移った。
「あ、カノン、だめ…下着に口紅がついちゃう…」
「ん、分かった、汚さないようにする」
 そう言うとカノンはサガの着ていたベビードールを裾からまくりあげた。あらわになった柔らかい腹部にキスをし、透けるブラジャーの上から胸を揉む。そしてパンティーを脱がせると、白いガーターストッキングに包まれた兄の足を開かせた。

(続きはR-18なので割愛)

 こうしてサガとカノンは二人とも一晩かけてアケローオスにじっくりと愛され、さらに双子同士でも大いに愛し合った。
 愛を伝えあった三人はそれぞれに満足し、翌朝、彼らはホテルを後にしてギリシアのアケローオスの館へと帰っていったのだった。

 男に戻った双子たちはアケローオスから贈られた衣装を紙袋に入れて手に持ち、聖域と海界に帰還した。
 聖域でサガを出迎えたアイオロスは、紙袋からドレスを取り出して眺めて「…これを着たサガを見たかったなぁ」と呟いてしまい、サガににらまれた。
 それでも辛抱強くサガと交渉した結果、その夜、アイオロスは、全身の毛を剃られてつるつるになったサガが裸体にエメラルドと金の首飾りだけをつけた姿で、自分の上で懸命に腰を振ってくれるのを見ることに成功した。白い肌の上で揺れる豪奢な首飾りと艶やかな表情のサガという取り合わせはまことに美しく、この光景を下から仰ぎ見たアイオロスを大いに興奮させ、楽しませたのだった。
 一方、カノンはというと、これまたどういうわけか今回のデートのいきさつを知っていたポセイドンによってまたもやソロ邸に呼び出された。そこで女体化し、ドレスアップした姿をポセイドンに披露することになったのだが、カノンにとっては不幸なことに、そしてポセイドンにとっては計算通りだったことに、その時のソロ邸にはソレントが滞在していた。
 女になってドレスを着たカノンの姿を見たソレントは、
「…あーっははははは!な、なんですかーっ、それ!ひーっ、おかしいー!腹筋がよじれる〜!笑い死ぬ〜!」
 と、主人の前であることも礼を失することも忘れて、遠慮も容赦もなく盛大に笑い転げた。
 この屈辱に泣き出してしまったカノンはその姿のままで冥界に駆け込み、ラダマンティスによって慰めてもらったとのことである…。

<FIN>

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