二度上の先は現在では一部崩落箇所があり危険とのことだ。
栗平側から探索を行った。
県道倉渕線が熊川を渡ると、葉の落ちた季節であれば、対岸に延びる軌道跡を見ることができる。位置関係を確認し、熊川沿いのスペースに車を置き、3,4mほど斜面を登る。
すると幅3mはあろうかという、はっきりした軌道跡が残っている。
構成上、まずココから二度上側に出来るだけ進み、そこから戻ってくる形で探索記を再開する。
二度上から軌道跡は北西に進路を取る。深い山中から熊川沿い、県道倉渕線の対岸に姿を現す。そこにはほぼ完全な形で橋脚跡が残っている。
熊川に注ぐ支流にかかる橋脚だ。崩落が多かったのか、上流側に向かい、護岸が今までに見ない規模で施されている。
護岸の少ない栗平側の橋脚はわずかに傾いている。
形態的には柳川・給水橋と同じものである。
一対の橋脚は、ここで人知れず何十年もの間、対岸を通行する車たちを横目に見ていたのだ。
ここから栗平に向かい軌道跡が熊笹の道になっている。
掻き分けながら進んでいくと、倒木に紛れるように一本の廃電柱が残っていた。
ところどころに小さな崩落で路盤が失われた箇所があったり、写真のように谷ギリギリを歩かねばならないため、緊張を強いられる。
崩れかけているが、山側には擁壁も散見される。
いつのまにか熊笹もまばらになり、歩きやすい広めの軌道跡になった。
列車に乗っていたら、この辺で北軽井沢が近づいた事を実感できただろう。
この切り通しの向こうが、車を置いた県道に接する地点だ。
県道倉渕線、浅間大滝入口よりさらに倉渕側1km地点あたりから、軌道跡は熊川に沿って道路沿いに姿を現し、しばらく道路に併走するようになる。
写真だとわかりずらいが、肉眼では軌道跡の段がはっきりわかる。
途中の浅間大滝につながる空色沢では、崩れた橋脚跡が辛うじて残存している。
写真奥付近で大規模な河川改修が行われたがこの部分は無事であった。
しばらくすると県道から離れ森の中に入る。
その後別荘地内の未舗装路に合流し、浅間神社の鳥居をかすめる。
未舗装路が県道に向かい右に曲がる所で、軌道跡は直進し、沢を渡る。
橋脚跡はだいぶ侵食されてはいるが、しっかり残っている。
片側は下のほうに石積みが残り、もう一方は内部基礎がむき出した状態だ。
軌道跡は森の中を抜けて、私有地を通って再び県道沿いに現れる。そのあたりに栗平駅があったらしい。
栗平を出たあとは道路わきに軌道跡を利用した歩道がつくられている。
時を経て、現在は地元民の安全に寄与しているという訳だ。
県道から離れ、大学村別荘地に入る。
カーナビを見ると、碁盤の目のように区画された中に、斜めに通る道がある。これが軌道跡だ。
北軽井沢小学校の敷地の角が軌道跡に乗っかっている形になっているが、この辺に夏の臨時駅、湯沢があったらしい。今は跡形もない。
美しい木立の中を一直線に抜ける。
北軽郵便局のところで県道を渡る。
その先は私有地を突っ切って、現存する北軽井沢駅に到着する。
〈続く〉
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