お好み焼　味幸コミュの映畫『ライフ』を觀て

　この作品を讀む時に、この音樂を聞きながら鑑賞して下さい。
　これは自作（オリジナル)の

　『絃樂器(strings)』

　といふ曲で、YAMAHAの「QY１００」で作りました。
　雰圍氣を味はつて戴ければ幸ひですが、ない方が良いといふ讀者は聞かなくても構ひませんので、ご自由にどうぞ。

　　　　　映畫『ライフ』を觀て

　
　この映畫を封切りの日に家族で觀て來た。
　例によつて「１０９シネマズ箕面」へ行つて來たのであるが、このやうな作品はこれまでにも手を替へ品を替へて繰返し發表されてゐて、目新しさは撮影技術の進歩による映像表現が主流となつてゐる感が強い。
　妻や娘はそれなりに納得してゐたやうだが、生來の天邪鬼の所爲か筆者は觀るにつれて氣が重くなつて來た。

　といふのも、それぞれの動物が生きる爲に他の動植物を餌とし、それを手に入れやうと所有(あらゆる)擬態や巧妙な罠を仕掛けてゐるのを觀て、まるで人間社會の「オレオレ詐欺」のやうであると思つたからである。
　だだ違ふのは、他の動物は同族を食したり騙したりする事は少なく、異種の動物に矛先が向けられるといふ事で、種としての結束を裏切らない事である。

　しかし、流石に靈長類の猿の群れが雪深い山奥の温泉に浸かつてゐる場面では、温泉の周りで降り頻る雪の中でそれを見詰めてゐる別の集團があつて、彼等は力關係によつて、維新(クウデタア)でも起さない限り、その恩惠には與(あずか)れないのである。
　なんと人間的な。
　まるで「王制」や「専制」もしくは「ヤクザ社會」のやうである。

　人間は他の動物と違つて、食料を貯藏して未來の不安を解消する手段を開發した。
　その意味で、人間は最も共生を實現できる能力が高いと筆者は考へてゐるが、人間同士の爭ひが一向になくならないのはどうした譯か。
　いつになつたら、視野が自分本位から脱却出來るのだらうか。

　この映畫は『共生』の思想のもとに、
　
　「この地球で一緒に生きて行きませう」

　といふやうなメツセエジを最後にナレイシヨンで呼びかけるが、食物連鎖の中で生きてゐる限り、それは無理な話である。
　そんな綺麗ごとでこの映畫を締め括るのはどうなのか。
　昆蟲などが食べられる場面はあるが、肉食の獵豹(チイタア)や大蜥蜴が獲物を食する場面などは、生々しいからか正面から捉へてゐず、カメラワアクで巧妙に隱蔽してゐて、それはまるで性描寫をモザイクで隱すポルノ映畫の卑屈さがあるやうに、筆者には感じられた。
　總てを見せれば良いといふものでは固(もと)よりないが、現實の正視できないやうな殘酷な場面から目を逸らすのなら、驚異の世界といふ路線で完結してゐた方がよかつたのではないか。
　下手に博愛主義的な感動を強制するやうな行き方には感心出來なかつた。

　　　　　二〇一一年九月五日午前五時十分

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『３Ｄ映畫』を觀て
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