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文豪てっしーを見守る会コミュのライン(中学後編)【真美編】?

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 真美は視線をコートに戻した。「私が転校していなかったらどうなっとったんやろ?」真美はその光景を思い描こうとしたけど、上手く想像が出来なかった。
 

 大樹も良祐も関東一位を相手に互角に戦っていた。いやひいき目かもしれないが大樹たちが押しているようにも見える。その勢いは応援にも伝播していた。大樹が一球一球返すたびに歓声が起こる。良祐がスマッシュを決めた時なんて、尋常じゃない騒ぎ方をしていた。
 

 チェンジコートの合間に大樹と良祐が真美の傍にやってきた。1セットを先取しても大樹と良祐に笑顔はない。少しでも油断するとすぐにひっくり返されるという緊張感が見ているだけで伝わってきた。
 

 大樹と良祐は手早く水分補給をすませてコートへ戻っていった。


 「ちょっと真美、すぐそばにおったのに声かけんでよかったと?」瑤子は怪訝な顔をしていた。


 「うん。なんか声かけづらくてさ」真美は胸の内を明かした。コートに入ると大樹はスイッチを入れ替えたように人が変わる。そのスイッチの入り方が今日は特別凄かった。今の大樹の邪魔をしたくはなかった。
 

 今度は原中のサーブでゲームが始まった。レベルの高い試合はコートに響くボールの音からしてすでに違う。同じラケットを使って、同じようなスイングをしても真美は大樹のような爽快感のあるボールを打つことは出来ない。全国大会の舞台に臨めるのはテニスの神様に愛された人だけだと思う。
 

 第2,3セットは接戦でお互いセットを分け合ったが、第4セットはストレートで相手に取られた。ちょっとしたミスがそのまま失点につながる。全国の怖いところだった。
 

 セットカウント2-2で迎えた勝負の時、相手の前衛が急にコートの真ん中に寄った。あのスペースの空け方は明らかに大樹を挑発している。だいぶ空けているように見えるが、前衛の腕の長さを考えると抜けるスペースは見た目ほど広くなかった。


 「大樹君はどうするのかな?」真美の位置からでは今の大樹の表情を伺うことは出来なかった。真美が悶々としているその時、大樹は前衛の横をめがけてボールを打った。今日一番いい音がした。前衛も慌ててラケットを伸ばしたがわずかに届かない。前衛を抜いたボールはコートの奥の方のライン際に落ちた。


 「インなのかアウトなのか」全員の視線が副審に集まった。副審は腕を地面と水平に伸ばした。


 「よっしゃー」大樹の声がコート上に轟いた。それにあわせるように応援席もこれ以上ないぐらいに湧き上がった。真美は全身に鳥肌が立っていた。

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