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登記の勉強と情報コミュの会社法の概要

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1. 会社法の構成
 ――表記の現代語化と単一法典化:登記に関する条項は第7編第4章に集約――

 現在,会社の設立,組織,運営及び管理については,商法,有限会社法,株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(商法特例法),商法中署名すべき場合に関する法律,銀行持株会社の創設のための銀行等にかかる合併手続の特例等に関する法律等により規律されていますが,会社法の施行に伴い,現行商法の「第二編 会社」が切り出されるとともに所要の整備が行われ,有限会社法,商法特例法等は,廃止されることとなります。商業登記法についても大幅な改正が行われています。
 個人商人の商号,未成年者,後見人,個人商人の支配人については,引き続き商法の規定により登記されることとなり,商号登記簿,未成年者登記簿,後見人登記簿,支配人登記簿については,現在のまま残ることとなりますが,会社については,すべて新会社法によって規律されることとなります。
 新会社法の構成は,以下のようになっています。
  第1編 総則 (用語の定義,会社の商号,使用人等)
  第2編 株式会社(設立,株式,新株予約権,機関,計算等,定款の変更,事      業の譲渡等,解散,清算)
  第3編 持分会社(注1)(設立,社員,管理,社員の加入及び退社,計算等,      定款の変更,解散,清算)
  第4編 社債 
  第5編 組織変更(注2),合併,会社分割,株式交換及び株式移転
  第6編 外国会社
  第7編 雑則(解散命令等,訴訟,非訟,登記(注3),公告)
  第8編 罰則

(注1)「持分会社」とは,合名会社,合資会社又は合同会社の総称(575条)。合同会社は,今  回新たに創設された類型であり,日本版LLC(Limited Liability Company)と言われるもの。  合名会社は社員全員が無限責任社員であり,合資会社は無限責任社員と有限責任社員から  なり,合同会社は有限責任社員のみから構成される。合名会社,合資会社及び合同会社の  間の変更は,組織変更ではなく,「種類変更」として位置づけられ,たとえば,合名会社  は,有限責任社員を加入させる定款変更をすることにより合資会社に種類変更することが  でき,合資会社は,社員全員を有限責任社員とする定款変更をすることにより合同会社に  種類変更することができる(638条)。

(注2)「組織変更」とは,株式会社から持分会社,又は持分会社から株式会社への組織の変更  のみをいい,持分会社間の変更(合名会社から合資会社,合資会社から合同会社への変更)  は(注1)のとおり「種類変更」として整理されている(2条26号)。

(注3)現行商法においては登記義務や登記すべき事項を定める条文は,実体規定に併せて規  定されており,各章・節に散在していたが,新会社法においては,登記期間,登記すべき  事項,裁判による登記の嘱託に関する条文が第7編「雑則」の第4章として,907条から938  条までに集約されている。なお,株式会社も持分会社も本店所在地において設立の登記を  することによって成立することとされており(49条,579条),設立の登記が会社の成立  要件であることに変更はないが,吸収合併,吸収分割については,登記が効力発生要件で  はなく,対抗要件とされ,効力発生日については,組織再編行為を行う会社間で定めるこ  とができることとされた。 

コメント(111)

取締役が破産手続き開始の決定を受けた場合には、民法上の委任の終了事由に該当し、委任関係の終了を原因として、退任する事になります。しかし、会社法では、取締役の欠格事由から「破産手続き開始の決定を受け復権していない者(旧商法254条の2第2号)を除外しています。ですから、破産手続き開始の決定を受けた取締役を株主総会で再度選任する事が出来ます。権利義務承継の問題はおこりません。

(株式会社と役員等との関係)
第三百三十条  株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う。

(委任の終了事由)
第六百五十三条  委任は、次に掲げる事由によって終了する。
一  委任者又は受任者の死亡
二  委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。
三  受任者が後見開始の審判を受けたこと。
2006年12月11日 (月)
【入門】資本三原則(3)http://kaishahou.cocolog-nifty.com/blog/cat6630560/index.html
3 資本充実の原則
(1)定義
 資本充実の原則というのは,一般には,
  株主が資本に見合うだけの財産を現実に会社に拠出しなければならない
という原則だと言われています。
 
 大昔,私が,商法を勉強し始めたころは,純粋かつ無邪気だったので
  100万円の株式を引き受けた人が,現実に100万円を出資しないと,債権者がその100万円について強制執行することができないから,資本充実の原則は当然だな。
と「誤解」していました。

 その後,旧商法を勉強していくうち,徐々に,その誤解が解けていき
? 会社は,出資された100万円を元手にして,いろいろなものを買ったり,他人に貸付をしたりするので,その100万円自体が,債権者の強制執行の対象となるとは限らない。
? 旧商法では,引受人が出資をしないまま,設立された場合でも,引受人の出資義務は残るとされていたので,会社債権者は,会社の引受人に対する出資履行請求権を差押えて,強制執行することができる(「現実の出資」がなくても,強制執行は可能だった)。
? 引受人が100万円を出資した後,代表取締役が,その引受人(株主)にその100万円を貸し付けたら,債権者にとって,現実の出資がなかったのと同じことになってしまう(見せ金は,まさに,そういう状態を最初から企図してやることですね)。
というようなことに気づき
  「現実に拠出する」という行為は,「債権者」の保護のために,本当に役に立つのか?
という疑問がわいてきました。

 受験時代は,それはそれで「きっと頭のいい人は,何か考えがあって,そう説明しているに違いない」と思いつつ,なんとなく答案を書いていればよかったのですが,会社法の立案担当者になると,そういう,いい加減な説明では許されません。

(2)旧商法の問題点
 そこで,資本充実の原則が,債権者の保護にどのように役に立つかを,真剣に考えてみると,旧商法上の制度は,債権者保護という観点からは,多数の問題をはらんでいることが分かりました。
 
 例えば,引受人は「現実に財産を拠出しなければならない」と言いながら
  引受人が,払込未了のまま,設立された場合でも,株主になる
というルールが採用されていましたし
  資本金は,株式の発行価額をベースに算定する
というルールは,
  払込未了であっても,株式が発行された以上,資本金が計上される
ということを意味していました。
 つまり,一般論としては,「資本充実の原則が採用されている」,と説明しながら
  制度上は,現実の拠出がなくても,資本金が増える
という制度だったわけです。

 旧商法は,そうした矛盾をカバーするために,発起人等の払込担保責任等を認めていたのですが
  払込担保責任は,所詮,会社の発起人に対する債権に過ぎない
のですから,「現実の拠出」がない点では同じです。

 このように,旧商法の下で,不十分な資本充実の原則が実現されていなかったのは,
  払込みの有無とは無関係に,先に,資本金の額が決められていた
からでした。

(3)旧商法において現実の拠出が要求された理由は何か。
 この「先に資本金の額を決める」ルールは,前回説明した「資本確定の原則」の下では,
  定款で資本金を定めたのだから,その資本金が現実に拠出されるまでは,会社の設立を認めないよ。
  拠出した引受人と,拠出していない引受人との間で不公平が生ずるし(株主間の公平),
  現金や現物ならば,事業に使えるけど,引受人への債権じゃ,事業のために使いにくいからね(健全な設立)。
と簡単に説明することができます。

 また,資本確定の原則が放棄された後,旧商法は,定款で「設立時に発行する株式の総数」を定めることを要求したわけですが,その旧商法のもとでも,
  株主間の公平・会社の健全な設立
という観点からは,現実の拠出が義務づけられていることは,それなりに説明できたのだと思います。

 さらに,旧商法のもとでも
 株主が,間接有限責任しか負わないということを正当化するためには,会社に対する出資義務を履行済みであることが要求される。
と説明することもできたでしょう。

 ところが,資本充実の原則についての一般的な説明では,そうした「株主の保護」等の観点からの説明よりも,「債権者の保護」という観点からの説明を強調しようとしていました。

 この説明が,資本充実の原則についての理解を難しくしたような気もします。

(4)債権者の保護とは何か。
 以前にも説明しましたが,会社の設立前の時点では,会社の債権者は,存在していません(発起人の権限内の行為により,将来,会社の債権者になる人はいますが)。

 また,新株発行の場合にも,資本充実の原則は適用されるわけですが,新株発行という行為は,特殊な場合を除き,会社の純資産を増やす行為なので,新株発行時の会社債権者にとっては,プラスになりこそすれ,マイナスにはならないのです。
 例えば,現在,純資産がマイナス1億円の債務超過の会社があるとしましょう。この会社に,株式の引受人が1億円の出資をしてくれれば,その1億円は,すべて債権者の引き当てになるのですから,債権者は,大喜びです。
 しかし,その債権者は,もともと債務超過の会社と取引をしていた以上,本来,債権の全額を取り立てできなくても仕方がないはずであり,たまたま,1億円を出資してくれる人が現れたからといって,その予想外の期待を保護する必要はありません。

 このように,
   引受人が「現実の拠出」を行わなくても,債権者にとっては,現状よりもマイナスになるわけではなく,具体的な債権侵害は生じない。
というのは,誰も否定することのできない客観的な事実であり,この点が次回説明する
 「資本維持の原則」との最も大きな違い
です。

 こうした事実を前提に「資本充実の原則」を「債権者の保護」という観点から説明するとすれば
  ? 株主になれば,会社財産に対する一定の支配力を持つことになり,その点では,債権者よりも有利な立場に立つのだから,現実に財産を拠出していない引受人(リスクを十分に負担してない引受人)には,株主としての権利を行使させるべきではない。
と説明するか
  ? 資本充実の原則を採用すれば,資本金の額は,
  「一旦は会社に資本金の額に相当する財産が現実に拠出された」
ことを表すので,それを公示することによって,その会社と取引をする者が
  「この会社は,少なくとも,資本金が増えた時点では,資本金程度の財産を用意することができる力があったんだな」
という情報を与えることに意味がある
と説明するか,のどちらかになると思います。

 ところが,旧商法は,
? 現実に財産を拠出していない者でも株主になることができたので,?の要請を満たしていなかったし
? 払込未了でも,株式が発行されれば,資本金の額が増えていたので,?の要請も満たしていなかった
のです。

 とすると,実は
  旧商法には,債権者保護のための,資本充実の原則は,存在しなかった。
というのが正解なのではないでしょうか(笑)。
 少なくとも,債権者保護のための資本充実の原則が不十分であったということは否めません。

 なぜ,旧商法が,そのような不完全な資本充実の原則を取っていたかというと,
? 前回話したとおり,資本確定の原則を廃止したときに,株主保護等のための制度を作ったが,それが,債権者保護という観点からは,あまり良い制度ではなかった。
? 資本金と株式との相互依存関係を断ち切ろうとしていたが,断ち切れなかった。
ということが原因であると思います。

 定款で直接資本金の額を定める資本確定の原則にせよ,株式の「発行価額」をベースに資本金を定める制度にせよ,「払込みの有無にかかわらず,資本金の額が定まる制度」の下では,資本金の額に見合うだけの財産が現実に拠出されない場合が生ずるのは仕方ありません。

(5)会社法における資本充実の原則
 以上のような旧商法の問題点を克服するために,会社法は
 ? 設立時であろうが,新株発行時であろうが,現実の拠出をしない限り,絶対に株主になれない。
 ? 資本金の額は,発行価額ではなく,「現実に拠出された財産の価額」をベースに定める
ということにしました。
 
 この会社法のルールのもとでは,先ほど説明した債権者の保護のための?の要請も,?の要請も満たすことができます。
 その意味で,私は
  会社法によって,はじめて完全な資本充実の原則が採用された
と言ってもいいのではないかと思うのです。
 他方,仲間の郡谷さん・岩崎さんは,論文で,従来の不完全な資本充実の原則を批判した上
  資本充実の原則は廃止された
と論じています。
 実際,引受人が現実の拠出を要求される理由は,株主間の公平であったり,間接有限責任の徹底という側面が大きいので,無理に「債権者の保護」を持ち出す必要性が乏しいのは事実ですし
  定款等によって「先に」資本金が定まり,その資本金に見合うだけの財産が現実に拠出される
という意味の「資本充実の原則」は廃止されたので,郡谷さん・岩崎さんの論文は正しいと思います。

 また,会社法は
  充実した部分だけが,資本金になる
と言っているので,「資本充実の原則」というより
  充実資本の原則
と呼んだ方がいいのかも知れません。

 ただ,表現の問題よりも,中身の方が大切なので,初心者の皆さんは,
  ? 資本充実の原則でいう「債権者の保護」とは何か
  ? 会社法が,現実の拠出を要求しているのはなぜか。
  ? 会社法における資本金の定め方は,旧商法と何が違うか。
ということを,本日の記事をもとに理解していただいた上
  資本充実の原則は,リニューアルされて実効性が増した。
と考えるのが,よいのではないかと思います。

新会社法基礎養成講義

旧商法下では、会社とは、営利を目的とする社団法人であることを明示的に規定していましたが、新会社法は3条で、「会社は法人とする。」と定義付けているに過ぎません。
そして、法人とは、自然人以外のもので法律によって権利能力(法人格)を認められたものをいう、とされています。
自然人と同様に取引活動を行う可能性のある法人の社会での活動実体に鑑みて、法が定める要件を充足した場合に自然人と同様の権利義務の帰属主体とさせることで法人をめぐる法律関係を簡単に処理することができるようになる、ということに尽きると思われます。
会社は、本店の所在地において設立登記の申請をし、これが受理されて登記されたときに成立し(会社法49条、579条)、簡単に法人格を取得することになります

判例と通説は、現在も民法43条の類推適用によって、会社の権利能力は定款所定の目的の範囲内で認められると考えています。
このように考えると、株式会社の代表取締役が、定款所定の目的に範囲外の行為をしても、会社の行為とは認められないことになります。

なぜこのような結論が導かれるかといえば、そもそも会社の構成員である社員が、定款所定の事業の経営を共同の目的として結集し、この目的のために使用することを前提として出資をしているからであって、目的の範囲外の行為をすることはその目的に含まれていないからです。

それでは、このように定款の目的の範囲外の行為であれば、会社には一切の権利能力が存在しないとしてしまって本当によいのでしょうか?話は簡単ではありません。

というのも、もし「目的の範囲」をあまりにも厳格に捉えてしまって目的の範囲外の取引を全て否定してしまった場合には、一見すれば会社の利益、そして構成員の利益に合致するかもしれませんが、実際には取引相手が、取引の効力が後から否定されてしまうことをおそれるために、必要以上に慎重となってしまい、一見して定款所定の目的の行為のみしか行わなくなり、ちょっとでも異なる取引は行わなくなってしまいます。

これでは、会社の活動を極度に制限することになり、取引を硬直化させてしまって取引活動の円滑が損なわれるために、結局構成員の共同意思、共同利益に反してしまいます。

そもそも、先程お話したように、法人の権利能力の範囲を定款所定の目的に限定する理由は、構成員の共同利益、共同意思を図るためでした。
そうであるはずだったのに、これを徹底してしまうとかえって構成員の共同利益、共同意思を図ることができなくなるという結果を招来してしまうのです。
これでは、本末転倒ですよね。

そこで、この法人の権利能力の範囲を定款所定の目的に限定するという結論を維持しつつ、「目的の範囲」の内容を緩やかに考えることによって、実際には定款に記載された目的自体のみならず、目的の達成に必要、または有益な行為をも広く含むと解することによって構成員にとって妥当な結論を導き出そうとしています。

更に、ここでいう「目的の達成に必要、または有益な行為」かどうかは、定款記載の会社の目的に現実的に必要かどうかではなく、行為の客観的な性質に即し、抽象的に判断するものとされています。

 このように、「現実的」ではなくて「抽象的」に判断するとされている趣旨は、まさに取引の安全を確保するためです。現実的に必要かは、必ずしも第三者から見てわからないため、ケースバイケースで判断しては取引の安全を害してしまいます。
そこで、抽象的、一般的に判断して「目的の達成に必要、または有益な行為」であると考えられるものであれば、権利能力の範囲であると判断され、会社に効果が帰属することになるということです。以上一連の論理の流れをきちんと押さえましょう。
会社の種類
会社法は、会社とは株式会社、合名会社、合資会社、または合同会社をいうとして4種類の会社のみを認めています(会社法2条1号)。
会社の分類
まず、株式会社と持分会社についてですが、株式の制度が採用されているかどうかにより、株式会社と持分会社とに大きく分かれます。株式会社においては、株式の制度が採用され、社員の地位は株式と呼ばれています。
ここでは社員個人の個性は問題とならず、むしろ株式会社は個性が必要とされないために、資本主義を採用するわが国での経済活動を維持発展させるために、大規模経営を実現する必要がありますから、誰でもが新規参入できるような制度が要請されることになります。そのため、自由に株式を取得できる半面で、株式を手放したい、つまり、譲渡することも原則として自由です。

これに対して、持分会社の社員の地位は、持分とよばれ、株式の制度は採用されず、社員の個性が重視されますから、どちらかといえば比較的に小規模の会社が想定され、しかもそれ程今後も大規模な経済活動を行うという野心もないような会社、つまり、できれば今のままのメンバーで仲良くやっていきたい、というようなイメージでしょう。

このように持分という制度が採用されているのは、合名会社、合資会社、合同会社が持分会社です。
合名会社、合資会社については旧商法下にもありましたね。合同会社が新しく新会社法のもとで新設されました。
会社法の定める4種類の会社は、会社債務に対する社員の責任の態様により分類されます。
つまり、社員が、会社債権者に対して、会社債務の弁済をどのように負担するか、どの範囲まで負担するかによって分類されています。

社員の責任の態様としましては、直接責任か間接責任かという区別の方法と、無限責任か有限責任かという区別の方法があります。

そして、その組み合わせにより、直接無限責任、直接有限責任、間接有限責任の3つの責任態様が存在します。

まず、直接責任とは、社員が会社債務について、会社債権者に対して直接弁済する責任を負うものです。

これに対して、間接責任とは、社員が会社債務につき、会社財産を構成し、会社債権者の担保になるという意味で間接的に責任を負うだけで、会社債権者に対して責任を負わないということもできます。

次に、無限責任とは、社員が会社債務につき自己の全財産をもって、会社債権者に対して弁済する責任を負う場合です。無限責任は必ず直接責任です。
これに対して、有限責任とは、社員が会社債務につき一定額(出資の価額)を限度として、会社債権者に対して責任を負う場合です。有限責任には、直接責任の場合と間接責任の場合とがあります。

これを、各種会社においてまとめてみますと、株式会社は、その有する株式の引き受け価額を限度とする有限の間接責任を負う株主だけからなる会社です。引き受けた株式以上はたとえその会社が倒産しても株主は会社債権者に対して一切責任を追及されることはありません。つまり、株式会社の株主は、「間接有限責任」という責任しか負っていないということになります。

合名会社は、無限責任社員だけからなる会社です。
つまり、各社員は、会社債権者に対して、直接に連帯して無限の責任を負担します。
合資会社は、無限責任社員だけではなく、有限責任社員も加わっているという点で特殊性をもっている会社です。
合資会社は、旧商法では無限責任社員が出資をするとともに事業の経営にあたり、有限責任社員は、出資だけをして事業の経営権はないものとされていました。
しかし、新会社法では、旧商法とは異なり、有限責任社員の業務執行権、代表権を否定しておらず、有限責任社員が事業の経営権を持つことができることになりました。
次に、合同会社についてみていきましょう。
合同会社とは、社員全員が有限責任を負う会社であるという点では株式会社と同じですが、会社の内部関係は全員一致で定款変更やその他の重要な事項の決定が行われるという会社です。

この合同会社は、旧会社法にはなかったもので、新会社法によってはじめて認められることになった会社形態です。
この合同会社は、他の持分会社と同じように、持分の譲渡について原則として他の社員全員の同意を要することから、人的なつながりが強いような場合で、しかも他の持分会社とは異なり、有限責任社員でのみ構成されていることから、株式会社と持分会社の相互のメリットを採用した「いいとこどり」の制度であることがいえるでしょう。実際には、ベンチャー企業による活用が期待されています。

株式会社の定義
株式会社は、その有する株式の引き受け価額を限度とする有限の間接責任を負う株主だけからなる会社です。株式会社は、株主の地位が「株式」という細分化された均一の割合的単位の形をとり、株主は有する株式の引き受け価額を限度として会社に対する出資義務を負うという有限責任であることを特質とする会社です。

つまり、株式と株主有限責任の原則が株式会社制度の最も大きな特質です。株主有限責任の原則
株式会社では、株式は、会社に対して、その有する株式の引受価額を限度とする有限の出資義務を負うだけで、会社に対しては責任を負いません。

「資本」とは
「資本」とは、会社財産を確保するために基準となる計算上の金額です。ここで注意が必要なのは、「資本」とは日々刻々と変化する会社財産とは異なり、単なる計算上の指標となるものにすぎないという点です。
これ以上水量が下がってしまってはダメですよ!というダムの赤ペンキの役割をするのが会社法でいうところの「資本」なのです。

それではなぜ、このように資本というものを設ける必要があるかといえば、前回講義でもお話したので、株式会社が有限責任制度を採用しているからだと察しのよい方であればお分かりになると思いますが、まさにその通りなのです。

有限責任制度のもとでは、会社の債権者にとっては、株主に対して責任追及ができないことから会社の財産のみが自己の債権を回収するための唯一の引き当てとなるのです。
そのため、会社債権者を害さないようにするために、会社法では、資本という制度をもうけて、この最低限度の基準を守ることにより会社債権者の債権を保護するという政策を採っているのです。もちろんこの制度は新会社法ではじめて認められたものではなく、従来の旧商法時時代にも同様の規定がありました。

それでは、資本の意義をみてきましたので、その「資本」を体現している原則を順次みていきましょう。

資本充実の原則
「資本充実の原則」とは、会社が設立または新株発行の際に、資本金がこれに相当する財産によって実質的に充実しなければならないとする原則です。具体的な条文としては会社法34条があります。

この制度趣旨はたとえ資本制度を作ったとしても、実際に現実の会社財産が入ってこなければお話になりません。「絵に書いたモチ」となってしまいます。
そのために、設立時や新株発行の際に必ず出資金を現実に会社に支払わせることにより資本金制度の充実を図ろうとしたのです。


資本維持の原則
「資本維持の原則」とは、資本充実の原則により資本金に相当する会社財産が、確保された状態がその後も維持されなければならないとする原則です。この代表条文は461条です。
この条文は株主に対する利益配当などの制限についての条文ですが、この資本維持の原則の制度趣旨は、たとえ一旦資本充実の原則によって資本金を満たしても中に入った会社財産を自由に減少させてしまうことを認めてしまっては、資本充実は守ったとしてもやはり会社債権者を害することになってしまいます。
そこで、確保した会社財産以上の財産が存在するときにはじめて株主にも利益配当することができるようにしたのです。

資本不変の原則
「資本不変の原則」とは、一旦定めた「資本」を自由に減少することを禁止する原則のことをさします。

この「資本不変の原則」の制度趣旨は、先ほどの資本維持の原則と似てはいますが、せっかく定めた資本金を自由に減少することを認めたのでは、やはり会社債権者を害してしまうということから定められた原則です。

具体的な条文は447条で、これは資本金の減少をする場合の規定です。このように、資本の減少は通常であれば頻繁に行っても良い性質のものではありませんから、減少手続が厳しく定められています。具体的には、資本減少をする場合には、取締役会の決議では足らず、株主総会の決議を要求されています。簡単には行えないようにしたのです
それでは、本日の講義の最後に、ちょっと確認ですが、この「資本不変の原則」と先の「資本維持の原則」とは似ているとお話しましたが、どこが違うかはお分かりですよね?
分からない方のために、お話しておきますね。「資本維持の原則」の方は「会社財産の減少をさせない」という点に力点がありました。これに対して、「資本不変の原則」は、「資本そのものを減少させない」という点に力点があるのです。この点で違うのです。

さっきの、ダムの例で説明しましょう。実際に空っぽのダムがあるとして、その中に水を入れます。この水は「お金」です。そのときに、ダムに赤ペンキがうってあるところまでは、きちんと水をいれないさいよ!というのが、「資本充実の原則」です。

そして、一旦水を入れたら、自由には減少させることができず、もし水をあげる場合にも赤ペンキがうっている部分を下回ってしまうような場合には許されず、水が充分確保できる場合にしか水をあげてはいけませんよ、というのが「資本維持の原則」です。

これに対して、「資本不変の原則」とは、実際にダムにうってある赤ペンキ自体を書き換えてしまうことを禁止するというものです。実際に、水が赤ペンキ以上あるから大丈夫!といったところで、もし赤ペンキ自体を自由に書き換えてしまうことを許せば、水の貯蔵量がとんでもなく少なくなってしまい、市民が水不足に陥ってしまうことにもなりかねません。これでは、赤ペンキを事前にうっておく意味すらなくなってしまいます。
発起設立と募集設立
株式会社の設立方法には、発起設立と募集設立があります。発起設立とは、発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける方法により株式会社を設立する方法です。
これに対して、募集設立とは、発起人が設立時発行株式を引き受けるほか、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする方法により株式会社を設立する方法です。
発起人
発起人とは、株式会社設立の代表として署名または記名押印した者です。この発起人になることができる人の資格の制限はありません。自然人だけではなく、法人でもなることができます。また、発起人は1名でも足りるとされています。実は、平成2年より前の商法では、発起人は7人いないとなりませんでした。しかし、平成2年の商法改正で、発起人が1名でも株式会社を設立することができるように改正がされ、これを新会社法でも引き継ぎました。

定款
定款とは、会社の組織及び活動を定める根本規則をいい、形式的には、根本規則を掲載した書面や記録のことをいいます。会社設立時に作成される定款は、原始定款と呼ばれます。

絶対的記載事項
定款の絶対的記載事項とは、文字通り定款に必ず記載することを要する事項であり、これを欠けば定款自体の効力が無効となるものです。
この絶対的記載事項は、目的、商号、本店所在地、設立に際して出資される財産の価額またはその最低額、発起人の氏名または名称及び住所、発行可能株式総数と様々です。

相対的記載事項
定款の相対的記載事項とは、定款に定めなくても定款の効力には影響がないけれども、会社法の規定により定款の定めがなければその効力を生じないという事項です。
この相対的記載事項にはは、たくさんの事項があります。

変態設立事項
変態設立事項とは、「現物出資」、「財産引受」、「発起人が受ける報酬」、「会社の負担する設立に関する費用」のことです。
これらは、原則としてその内容を原始定款に記載し、または記録しなければ効力を生じないとされ、設立において特別の手続が付加されていることから、変態設立事項とよばれています。この場合は、「常態」ではないから「変態」とよぶのですね。

現物出資
現物出資とは、金銭以外の財産の出資をすることです。本来であれば、株式会社では、金銭をもって出資するのが原則ですが、金銭以外でも、例外的に土地や建物、その他の財産権などの現物支給が認められています。

そもそも、このような出資が認められる趣旨は、金銭がない場合であっても、有形の財産がある場合に、もし会社に特定の財産を与えることにより、その特定の財産を確保することを認め、また出資者の便宜を図るという点にあります。

しかし、現物出資は、ともすれば、金銭を持っていない発起人でも、自己の所有する財産を過大に評価することによって不当に多くの株式を与えることは、正当に出資した他の株主を害するのみならず、会社の財産的基礎を危うくし、会社債権者を害してしまう可能性があります

財産引受

 財産引受とは、会社が会社の成立後に特定の財産を譲り受ける契約をいいます。財産引受は、会社の設立段階における事業用財産の取得手段の一つで、発起人が行うことのできる事業開始の準備行為ですが、目的物を過大に評価して多額の対価が与えられることになると現物出資と同様に、会社の財産的基盤を害してしまう可能性があること、財産引受を自由にすることを認めると現物出資を潜脱する手段として用いられるおそれがあることから、変態設立事項とされたのです。

 なお、財産引受をすることができる主体は、現物出資の場合とは異なり、発起人に限定されません。
これはなぜかといえば、現物出資の場合には、これによって現物出資者に株式が与えられるので、現物出資者に発起人としての重い責任を負わせるのが適当であるとして、発起人に限定されますが、財産引受では、譲渡人に株式が与えられるわけではなく、単純な一般取引上の売買契約ですから、株式を与えるという特徴がないために、必ずしも発起人には限定されないのです。

わかりやすいように前講のベンツの例で説明しますが、会社を設立するときに、ボロボロのベンツを定価で算定して出資することで時価よりも不当に高い価値で利益を得ようということに対する制限が「現物出資」の規制でした。

 これに対して、ずる賢い人は会社成立後に、そのベンツを定価と同じ値段で買い取ってもらうことを契約すれば、形式上は「現物出資」の制限をすり抜けることができます。

 しかし、これは、実体は単に、ベンツを会社に帰属させる時期が会社設立時か、会社設立後かの違いであるだけ、実際上の経済価値を偽っているという意味においては全く同様です。これを規制しないわけにはいきません。

 従って、旧商法下からでしたが、新会社法でも財産引受も現物出資同様に、変態設立事項として定款に記載させ、検査役の検査を受けさせることにしたのです。

 これで、財産引受についての説明は終わりです。


発起人が受ける報酬その他の特別の利益

 発起人が受ける報酬は、発起人が会社設立のために尽くした労務に関する報酬です。

 しかし、人間は自分には甘い生き物ですから、自分に対してはできるだけ多くの報酬を与えてしまいたいとついつい考えてしまいます。

 そこで、このような発起人の権限の濫用を防止するという趣旨で変態設立事項として認められました。

 この論点についてはあまり問題とならないために、以降は割愛します。

設立費用

 設立費用とは、発起人が会社の設立のために、必要とした費用です。設立費用は、定款に記載し、裁判所の選任した検査役の調査を通ったものについて、会社設立後、会社が負担することとされています。

 そもそも、本来は当然に会社が負担すべきものですが、これを無制限に認めると発起人の権限の濫用により不当な支出により会社の財産的基盤を害してしまうので、変態設立事項として規制をかけたというものです。

 しかし、変態設立事項は発起人の強大な権限の濫用を防止することを目的とするのですから、権限が濫用できない性質の支出であればあえて規制をかける必要はありません。

 そこで、定款の認証の手数料やその他会社に損害を与えるおそれがないものとして法務省令で定められているものについては、例外として定款に記載・記録をしなくても当然に会社の負担になることとされています。

 たしかに、定款の手数料は決まっているものですから、発起人が自由に支出するという事態には至りませんよね。

開業準備行為に関する論点

 開業準備行為とは、今はまだ開業はしていないけれども、開業した場合に備えて行う様々な準備行為をいいます。

 具体的には、営業するための店舗を借りるとか、お客さんに開店を知ってもらうためのチラシを印刷する、つまり宣伝の広告費などのものや、商品の仕入れをするというように開業する際に直接に結びつくような行為です。

このような、開業準備行為は、会社の設立をするために直接必要になる行為ではありませんから設立費用や財産引受ではありません。

そのために、開業準備行為を行うについて、発起人がその権限を有するのか、つまり会社に開業準備行為の効果が帰属するのかが論点となっています。

そもそも、会社の目的は、設立それ自体にあるのではなく、設立後直ちに事業をなし得るようにするのがその本質と合致しています。

そうであれば、設立中の会社の実質的権利能力の範囲は、広く開業準備行為にまで及ぶと解することがその趣旨に合致します。

そして、発起人は設立中の会社の執行機関ですから、その権限の範囲は設立中の会社の実質的権利能力の範囲と同様と解するべきと考えることができます。

しかし、法は財産引受等の限定的な行為に関しては、権限濫用により会社の利益を害するおそれがかなりあることから、定款への記載または記録がなければ権限外となり、効果は会社の帰属しないという規制をしたのです。

そして、今回の問題となっている開業準備行為は、確かに財産引受でもなく、設立費用でもありません。

つまり、原則的には会社法で規制はされていないものです。
しかし、それで本当に良いのでしょうか?

というのも、発起人の権限濫用により会社の利益が害されるおそれがある点は、財産引受もその他の開業準備行為も同様のはずです。

広告費や商品仕入代金とはいっても、発起人がその強大な権限を濫用することにより、会社の財政的基盤を害する可能性は充分に存しています。

そうだとすれば、たとえ法では直接的に開業準備行為は規制されてはいないものの、規制の必要性はやはり充分に存在すると考えられますので、財産引受以外の開業準備行為にも財産引受の規定を類推適用すべきであると考えられます。

従って、定款に記載または記録しておいた部分に関しては、会社が追認した場合には、発起人が開業準備行為によって支出した部分に関しても、発起人は会社に報酬を請求することができる事になります。
 ちなみに、判例は、設立中の会社の権利能力には、開業準備行為までは含まないと考えていますから、発起人の権限の範囲もそもそも開業準備行為には及ばないと考えています。
 これによると、そもそも権限の範囲外の行為を行ったという意味で、絶対に効果が帰属しないという結論が理論的には妥当になりますから、会社がこのような発起人の行為に対して、追認をしてその取引を有効とすることもできないという結論を導いています。
 これに対して、学説上の通説は、判例の結論によってしまうと、追認を否定してしまうと、会社が会社に有利な取引を行うこともできなくなってしまう、という点を批判しています。
 私も、判例の結論では、会社の保護を図るつもりで、かえって会社にとって不合理な結論をもたらす可能性があるという意味で、学説上の通説によるべきと考えます。
 http://www.artista.co.jp/article/13227165.html
新会社法では旧商法よりも現物出資・財産引受の利用をもっともっと容易にするために、更に旧商法の規制を緩和して、資本との比率の基準を撤廃して価額の総額だけを規制することにしました。
 すなわち、「資本がいくらであっても、価額が500万円以下であれば、検査役の調査は必要でない」としたのです

次の検査役の調査に関する改正点は、旧商法では、「目的財産が取引所の相場のある有価証券で定款に定めた価格がその相場を越えない」場合には、検査役の調査が必要ではないとされていましたが、新会社法によって「目的財産が市場価格のある有価証券で定款に定めた価格がその相場を越えない」場合というように「取引所の相場のある有価証券」という文言が「市場価格のある有価証券」に変更されました。
検査役の調査が必要でない場合をまとめておきましょう。

1.目的財産の価格が500万円以下の場合

2.目的財産が市場価格のある有価証券で定款に定めた価格がその相場を越えない場合

3.弁護士等の証明を受けたとき

      これらの場合には検査役の調査は必要ありません。
株式の払い込みは、現実になされることが必要なのです。
従って、払込取扱機関と通謀して帳簿上の操作による払い込みを仮装する、いわゆる「預合い」は、払込として無効であると考えられています。
しかも、5年以下の懲役か500万円以下の罰則という預合い罪という重い罰則規定まであります。
これは、法が、この預合いを厳しく警戒していることの現れでしょう。
しかし、実務上でよく問題となるのは、預合いのように、払込取扱機関と通謀して帳簿上の操作による払い込みを仮想するケースではなく、資本を払い込むべき払込取扱機関以外の第三者から資金提供を受けて、払込取扱機関に払込みをするケースです。
このケースは、預合いのように帳簿上の操作をするわけではなく、きちんと現実に金銭の移動があるために、預合いには該当はしません。
しかし、預合いには該当しないとしても、適法であるとは簡単にはいえません。
見せ金」とは?
これが、いわゆる「見せ金」というものです。
「見せ金」とは、発起人が払込取扱機関以外から借り入れ、払い込みに当てますが、会社設立後にこの会社の預金を引き出して借入先に返済することをいいます。
この見せ金は、会社法では直接の禁止規定がないために、しばしば利用されるのです。
しかし、最高裁判所の判例ではこの払い込みは無効とされています。

なぜ預合いではなく見せ金という手法をとった場合でも同様に無効なのでしょうか?
その理由は、払込取扱機関以外の第三者から資金提供を受けて、払込みをし、設立登記をした後にすぐに会社が払込金を引き出して発起人に貸し付けて、発起人がこれを借入先に返還するという、このような「見せ金」は、全体として見れば払込仮装のための一連の行為であり、預合いの場合とはほとんど異なるところはないといえるからです。

簡単にいえば、見せ金も会社法が禁止している会社財産を危うくする行為として預合いと同様の危険を持っていると判断されるからでしょう。

結局は、全体として見れば、見せ金は預合いの一つのパターンとして考えられるから適法ではない、つまり無効である、という判断がなされるのです。
そのため、実務上では実質上は預合いの脱法的手段としてこの方法が採られるのですから、やはり規制をかける必要があることになるでしょう。

しかし、見せ金は、預合いでは明確であった「通謀」という要件が必ずしも要求されていないために、事例に応じたケースバイケースの判断をしなければ妥当な結論を出し難く、そのために見せ金であるとしてその出資を無効としてしまう判断基準の設定が難しいのが困った問題です。

というのも、実際問題としては、きちんとした基準により判断しなければ、本来であれば正当な払い込みまでも「見せ金」であるとして認定することになって、自由な経済活動が極めて害されてしまいます。それでは、かなり困りますよね。
そこで、以下のような基準により見せ金にあたるかどうかを判断すべきとされています。

1.会社成立後、借入金を返済するまでの期間の長短

2.払込金が会社資金として運用された事実の有無

3.借入金の返済が会社の資金関係に及ぼす影響の有無

などを総合的に考慮して、見せ金に当たるかどうかを決定し、もし見せ金に該当すると判断できる場合にはその払い込みも無効となると考えられています。この点は、最高裁も同様に考えています。
反対に、見せ金にあたらなければ、適法な払い込みがあったと認定されることになるのです。

http://www.artista.co.jp/article/13230740.html
さあ、それでは、今回も頑張って勉強していきましょう。
今回の第10講は、前回までの講義で学んだ変態設立事項と同じように、会社財産を害する2つの行為、すなわち「預合い」と「見せ金」について学んでいきます。
実務上、資本金を集めることは難しく、会社設立時に発起人が、出資した払込みが、実際には会社に保有され続けてはいない、ということがしばしばおこりました。
これらは、意図せずにそのような状態になってしまうことはやむをえないのですが、設立する際の資本金がない場合に、ワザとある方法を使って形式的に資本金を満たしたという状態を作り出して、法が要求する資本金の規制をくぐりぬけようとする悪知恵のはたらく企業家たちもいました。

「預合い」とは?
まず、一番古典的な手法として、「預合い」という方法がありました。
「預合い」とは、発起人が、その借入金を返済するまでは会社が銀行に預けている預金を引き出さないことを約束した上で、資本金を払い込むべき払込取扱機関(銀行)と通謀して、資本金を借り入れる際に、実際にお金を借りるのではなく、パソコンや簿記などの帳簿上の操作によって、払い込みがあったことにしてしまう、つまり仮装することによって、外見上はきちんと資本の払い込みがされているという外観を作り出すことです。

しかし、なぜ法が資本制度というものを設けたのかという趣旨は、もう皆さんもお分かりだと思いますが、会社債権者を保護するためでした。
簡単にいえば、株式会社は、間接有限責任制度を採用していますから、それによって会社と取引をした者が債権の引き当てとなるものは、会社財産しかありません。
それにもかかわらず、会社の財産である資本が外観だけ充足しているのみで中身がスカスカなまったくの空洞なものであれば、会社債権者を害してしまうことになりかねません。

そのために、株式の払い込みは、現実になされることが必要なのです。
従って、払込取扱機関と通謀して帳簿上の操作による払い込みを仮装する、いわゆる「預合い」は、払込として無効であると考えられています。
しかも、5年以下の懲役か500万円以下の罰則という預合い罪という重い罰則規定まであります。
これは、法が、この預合いを厳しく警戒していることの現れでしょう。
しかし、実務上でよく問題となるのは、預合いのように、払込取扱機関と通謀して帳簿上の操作による払い込みを仮想するケースではなく、資本を払い込むべき払込取扱機関以外の第三者から資金提供を受けて、払込取扱機関に払込みをするケースです。
このケースは、預合いのように帳簿上の操作をするわけではなく、きちんと現実に金銭の移動があるために、預合いには該当はしません。
しかし、預合いには該当しないとしても、適法であるとは簡単にはいえません。

「見せ金」とは?
これが、いわゆる「見せ金」というものです。
「見せ金」とは、発起人が払込取扱機関以外から借り入れ、払い込みに当てますが、会社設立後にこの会社の預金を引き出して借入先に返済することをいいます。
この見せ金は、会社法では直接の禁止規定がないために、しばしば利用されるのです。
しかし、最高裁判所の判例ではこの払い込みは無効とされています。

なぜ預合いではなく見せ金という手法をとった場合でも同様に無効なのでしょうか?
その理由は、払込取扱機関以外の第三者から資金提供を受けて、払込みをし、設立登記をした後にすぐに会社が払込金を引き出して発起人に貸し付けて、発起人がこれを借入先に返還するという、このような「見せ金」は、全体として見れば払込仮装のための一連の行為であり、預合いの場合とはほとんど異なるところはないといえるからです。

簡単にいえば、見せ金も会社法が禁止している会社財産を危うくする行為として預合いと同様の危険を持っていると判断されるからでしょう。

結局は、全体として見れば、見せ金は預合いの一つのパターンとして考えられるから適法ではない、つまり無効である、という判断がなされるのです。
そのため、実務上では実質上は預合いの脱法的手段としてこの方法が採られるのですから、やはり規制をかける必要があることになるでしょう。

しかし、見せ金は、預合いでは明確であった「通謀」という要件が必ずしも要求されていないために、事例に応じたケースバイケースの判断をしなければ妥当な結論を出し難く、そのために見せ金であるとしてその出資を無効としてしまう判断基準の設定が難しいのが困った問題です。

というのも、実際問題としては、きちんとした基準により判断しなければ、本来であれば正当な払い込みまでも「見せ金」であるとして認定することになって、自由な経済活動が極めて害されてしまいます。それでは、かなり困りますよね。
そこで、以下のような基準により見せ金にあたるかどうかを判断すべきとされています。

1.会社成立後、借入金を返済するまでの期間の長短

2.払込金が会社資金として運用された事実の有無

3.借入金の返済が会社の資金関係に及ぼす影響の有無

などを総合的に考慮して、見せ金に当たるかどうかを決定し、もし見せ金に該当すると判断できる場合にはその払い込みも無効となると考えられています。この点は、最高裁も同様に考えています。
反対に、見せ金にあたらなければ、適法な払い込みがあったと認定されることになるのです。

以上で今回の講義を終了します。復習を忘れないで下さいね。では失礼します。
http://www.artista.co.jp/article/13233442.html
こんにちは。皆様いかがお過ごしでしょうか?私は、最近社員旅行に行ってきました。オンとオフの切り替えをきっちりして、仕事に戻って頑張ろうと思います。
 それでは、第11講を始めていきましょう。今回から、株式に入ります。
株式とは?
まずは、株式の定義をみていきましょう。
「株式」とは、均一的に細分化された割合的単位の形をとる株式会社の社員たる地位、のことです。
そして、「株主」とは、株式会社の社員のことです。
ここで注意が必要なのは、株式会社の「社員」というのは、会社で働いているお父さんのことではない、ということです。

会社法では、株式会社の株式を持っている人のことを「社員」と考えていますから、株式をもたずにある会社で働いているお父さんは株主ではなく、「従業員」ですから間違えないようにして下さいね。これを間違えてしますと、会社法が全く理解できなくなってしまいます。まあ、分かりやすくいえば、ある人が10社分の株式を持っていたとします。その場合には、その人は法的には10社全ての社員ということになります。この人が別の会社で毎日働いていても全く関係がありません。毎日出勤して働いている会社は「従業員」としての地位だからです。


このように、従業員と社員とは法的には異なるにもかかわらず一般では同じような意味合いで使用されていますので注意が必要になるのです。
 それでは、なぜ、株式は「均一的」で「単一化」することが必要なのでしょうか?
 次に移っていきましょう。

株式が「細分化」されることの理由
それではなぜ、株式は「均一的」であることが必要なのでしょうか?
分かりやすく説明しましと、通常、株式会社を設立するためには、かなりのお金がかかります。
特に、いきなり多額の資本金を必要とするようなビジネスを展開しようとする場合、例えば工場を作って商品を生産し、それを売って利潤を得ようというような場合には、工場を作って、材料を仕入れて、人を雇って…など会社をスタートさせるにも継続させていくにも多額のお金がかかります。何千万円、何億円という単位でしょうか。とにかく多額のお金がかかります。


この場合に、銀行でお金を借りて資本金を準備することもできますが、できれば利子のかからない自己資本を用意したいと考えるのが通常の経営者の本音でしょう。
しかし、このような多額のお金を銀行のような金融機関ではなく、通常の一般人が「ポン」と用意できるわけはありません。


おそらく多くの一般人は自分の生活のことを最優先で考えていると思うので、多額の投資をしたりする余裕のない家庭も多いでしょうから。
しかし、もし出資のために必要な金額が多額のお金ではなくて少しのお金でも参加できるのであれば、今のような低金利時代では銀行にお金を預けておいてもほとんど利息のつかない意味のない預金よりも、会社の業績が上がれば配当を受け取れることが出来るという意味で高い利益が生まれる可能性がありますから、多くの人が株式にチャレンジしてくれるかもしれません。


そのためには、できるだけお金の単位を低くして出資することが出来るようにして、大きなお金はもっていないけれども、ちょっとしたお金はもっている、というような人をできるだけ多く集めることで社会に散在している遊休資本を結集してそれにより大規模経営を図ることができるようにしなければならない、ということです。

株式が「均一的」であることの理由
また、均一化するのは株式会社と社員との法律関係の処理を簡便にするためです。
 というのも、先の説明のように、大規模経営のために株主の出資金額をできるだけ少なくして、遊休資本を結集することにしましたから、特定の株主ではなく、多数の株主が誕生する可能性があります。


 その際に、個々の株主毎に別々の取扱いをしていては、会社が管理するための手間がかかってしまい、事務処理上も大変です。
 そこで、同じ種類の株式の株主に対しては、均一的に扱うことによって株主の地位にかかる様々な処理を簡単にしようとしているのです。


また、実際にも株式という制度は、会社ができるだけ大規模経営を達成するためにとった制度なので、合名会社や合資会社のような人的会社とは異なって、株式会社においては株主の個性を重視するのではなく、単なる出資している金額の単位を基準に考えることが趣旨にも合致しています。
 
まとめ
今回の講義でのまとめですが、「株式」とは、均一的に細分化された割合的単位の形をとる株式会社の社員たる地位、のことをいいます。
このように、社員たる地位を細分化・均一化する理由は、細分化することにより広く世界に住む多数人が自己の資力に応じて株式に参加することができるようになるという意味で、参加資格が簡単になり、また会社にとっても均一化することにより管理が簡単となってより株式制度を利用することができるようになるからです。

株主の権利http://www.artista.co.jp/article/13237666.html


株主の権利とは、株主が、株主たる地位に基づいて会社に対して有している様々な権利のことをいいます。
 株主の権利については、様々な視点から分類をすることができますが、そのうち重要な
ものとしては、自益権・共益権という分類方法、また単独株主権・少数株主権という分類
方法があります。
 ここで、自益権・共益権という分類方法は、権利行使の「目的」による分類です。
 そして、単独株主権・少数株主権という分類方法は、株主権の行使の「要件」による分
類です。
以下、自益権、共益権、単独株主権、少数株主権という順番で見ていきましょう。

自益権
 自益権というのは、端的にいえば株主が会社から経済的利益を受けることを目的とする権利のことです。皆さんが一番なじみのあるものとしては「配当をもらう権利(剰余金配当請求権)」があります。もちろん、その他にも様々な種類があります。
 具体的には、
  ?剰余金配当請求権(会社法105条1項1号)これは、先程ありましたね。
  ?残余財産分配請求権(会社法105条1項2号)
  ?株式買取請求権(会社法160条、469条、785条)
  ?取得請求権付株式の取得請求権(会社法166条)
  ?株券交付請求権(会社法215条)
  ?株式名簿名義書換請求権(会社法130条)
  ?単元未満株式買取・売渡請求権(会社法192条、194条)など
があります。

共益権
 共益権というのは、端的にいえば株主が会社の管理や運営に参加することを目的とする権利のことです。
 具体的には、
  ?株主総会における議決権(会社法105条1項3号)
  ?株主総会召集権(会社法297条)
  ?株主提案権(会社法303条、305条)
  ?株主総会召集手続調査のための検査役選任請求権(会社法306条)
  ?累積投票請求権(会社法342条)
  ?役員解任請求権(会社法854条1項)
  ?代表訴訟提起権(会社法857条等)
  ?取締役・執行役の違法行為差止請求権(会社法360条、422条)
  ?解散請求権(会社法833条1項)など
があります。

単独株主権・少数株主権
 単独株主権とは、1株を有する株主でも行使をすることができる権利のことをいいます。
 少数株主権とは、総株主の議決権の一定割合あるいは一定数以上の議決権を有する株主、更に、場合によってはこれに加え、発行済株式総数の一定割合以上の数の株式を有する株主が行使することができる権利のことをいいます。
そして、これらに加えて一定期間の議決権または株式数の継続保有を要件とする場合と継続保有を要件としない場合があります。

 なぜこのように、会社法が一定期間の議決権または株式数の継続保有を要件とするのかおわかりでしょうか?
 会社法は、総会屋が、企業に不祥事などの問題が起こったあとに、これ幸いといってその会社の株式を取得して、少数株主権を行使することによって責任を追及されることを経営陣が恐れるがあまり、ついつい会社の利益に反するような総会屋の要求をのんでしまう、という事態が起こらないように、という会社荒らしを防止する趣旨で継続保有の要件を課しているのです。

 継続保有の要件があれば、会社が不祥事をおこしてからこれ幸いといって株式を取得した総会屋がいたところで、不祥事の前から継続して株式を保有していないので会社に対する少数株主権を行使をすることは難しくなりますから、この要件があることによって不祥事の前から株式を保有していた本当に会社の株主としてふさわしい者からの少数株主権の行使のみを認めることができやすいというメリットがあります。

 しかし、このように継続保有の要件を課すことは、たとえ会社の不祥事のあった後に株式を取得したものであっても、実際にはそういった不祥事に乗じて株式を取得したわけではなくて、本当に会社の株主として正当な目的で少数株主権を行使しようという人の権利を侵害することになりかねません。

 そういった意味で、継続保有の要件は、ともすれば正当な株主の権利を侵害してしまう、言い換えれば、いい加減な経営者に加担することにもなりかねないのです。

 そのために、できる限り継続保有の要件を課す範囲は少ない方が株主の権利行使という観点からは望ましいといえます。

 そこで、会社法ではこの継続保有の要件は、公開会社の株主の少数株主権に限定されており、非公開会社の株主の少数株主権には継続保有の要件は課されません。
この理由は、そもそも非公開会社であれば株式を譲渡するには会社の承認を必要とするために、総会屋となるような危険な者が株式を取得してしまう可能性はかなり少ないといえるでしょう。

 このように、会社にとって弊害がないのであればできる限り継続保有の要件を課すことなく少数株主権を認めていこうという会社法の意図が汲み取れると思います。
 上手にバランスをとって会社の利益と株主の利益の調和を図っているのでしょうね。
 直言すれば、公開会社の少数株主権には、総会屋などの誰でもが株式を取得する可能性があることから少数株主権の行使がともすれば株主の権利濫用になってしまうことを防止するために、継続保有の要件を課すことが必要となりますが、非公開会社の場合には、株主になる段階で上手に選別がされるために、濫用のおそれが少ないので、あえて少数株主権の行使の際には継続保有の要件を課すことは必要がないということになります。

 このように公開会社か非公開会社か否かで区別をしているそもそもの理由は、健全な会社を作ることによる健全な経済活動を進展させ、それによって世界の大企業に引けをとらない日本を作っていこうという国益がかかっているからに他なりません。
 ざっとですが、具体的にみていきましょう。

 まず、1株でも保有していれば行使できる単独株主権としては、継続保有要件が不要なものに
?株主総会決議取消訴権(831条1項)
?募集株式発行等差止請求権(210条)
?募集新株予約権発行差止請求権(247条)
?取締役会設置会社ではない会社の株主提案権(303条1項、305条1項本文)
?累積投票請求権(342条1項)
?定款・株主名簿等の閲覧請求権等(31条2項、125条2項等)
?設立無効や合併無効等の訴権(828条2項)があります。

 また、6ヶ月間の継続保有要件があるものには、
?取締役・執行役の違法行為差止請求権(360条、422条)、
?代表訴訟提起権(847条)があります。

次に、少数株主権としては、
?総会検査役選任請求権(議決権100分の1以上かつ継続保有期間6ヶ月)
?会計帳簿等閲覧権(議決権100分の3以上 または 株式数100分の3以上)
?取締役等解任請求権(議決権100分の3以上 または 株式数100分の3以上かつ継続保有期間6ヶ月)
?検査役選任請求権(議決権100分の3以上 または 株式数100分の3以上)
?株主総会招集請求権(議決権100分の3以上かつ継続保有期間6ヶ月)
?解散請求権(議決権10分の1以上 または 株式数10分の1以上)があります。

株主平等の原則(第12回講義の復習)
 まず、株主平等の原則の定義ですが、新会社法の109条に規定されていましたね。
109条には、「株主は、株主としての資格に基づく法律関係については、その有する株式の内容及び数に応じて平等な取り扱いを受ける権利」と規定されており、そのことを一般的に株主平等の原則といいます。
109条では、株式の内容及び数ごとの平等に取り扱うべきこと、異なる内容の種類株式については異なる扱いができること、同じ内容の株式については株式数に応じて平等に取り扱うべきことが明確化されました。
旧会社法時代には、条文化はされてはいませんでしたが、当然のものとして認められていました。
既に争いなく認められていた株主平等の原則を明文上で規定してはっきりさせ
よう、という立法者の意図がうかがわれますね。

株主平等原則の例外
株主平等の原則は、もちろん重要ですが、「例外のない原則はない」と一般的にいわれるように、あくまでも原則であって、法によって例外を設けることまで禁止するものではありません。
実際に新会社法でも、旧商法下では株主平等原則自体の明文規定はありませんでしたが、株主平等の原則の例外規定はおかれていました。
新会社法となってもこの点は同様ですので、以下で見ていきましょう。

少数株主権の行使
会社法は、共益権のうち権利行使の資格を有する者について6ヶ月前から引き続き株式を有する者や総株主の議決権の一定割合または一定数、発行済株式総数の一定以上の株式を有する者に限っています。
これによると、権利を行使することができる者とできない者が分かれてしまうことから、会社法によってあえて株主平等原則に対する例外として規定しています。

端株
 端株とは、株式の一株に満たない端数を有する者に対して議決権以外の一定の権利を与える制度です。
この端株の制度は、端株制度は出資単位引き上げによる株主管理コストの軽減と端株主の保護の調整のための制度として旧商法下で存在していました。
しかし、今回の改正により廃止され、単元株式制度に統一化されました。
これは、制度趣旨が単元株制度と共通していることから、現実に多く使われている単元株制度に一本化するためです。
もっとも、会社法では、取得条項付種類株式において条件が成就した場合に会社が当該会社の株主を交付する場合など、当該会社の株式を交付する場合において、その者に対し交付しなければならない当該会社の株式に1株に満たない端株があるときは、原則としてその合計数に相当する数の株式を競売し、かつその端数に応じてその競売により得られた代金を当該者に交付しなければならないとし、また会社が株式の分割または株式の併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じる時も原則として同様とすることを規定しており、これをみれば依然として端株が存在しているようにみえるかもしれません。 
しかし、これは端株の制度に関するものではなくて、端株の状態が生じてしまった場合の処理方法について定めていると考えるのが妥当でしょう。
 端株が制度として存在しなくなってしまいましたが、端株は経済的には株主の投下資本の回収をすることができまる反面、持株比率については保護されないために、法があえて株主平等の原則の例外としたのでしょう。

単元未満株主の権利行使の制限
単元株制度のもと、1単元の株式数に満たない株式のことをいう。
単元未満株には株主総会における議決権の行使は認められないため、株主であれば当然に認められている共有権が認められないことになってしまい、株主平等原則に反するように思えます。
 しかし、単元株制度は出資単位引き上げによる株主管理コストの軽減のために考え出された日本独自の制度で、法があえて単元未満株主に限って権利を制限するということを規定していることからすれば、株主平等原則の例外として許されると考えられています。
 以上で講義を終了しますがすが、いかがでしたでしょうか?株主平等の原則は必ずしも絶対的なものではなく、その例外的場合も当然あると会社法が考えていることがわかります。それでは今回の講義を終了いたします。

http://www.artista.co.jp/article/13240148.html
今回の第15回講義は「種類株式について」です。1回だけでは話すことができませんから、2回に分けてお話したいと思います。

普通株式
まず、前提として種類株式の学習の前に普通の株式について原則をみていきましょう。通常、株式会社の株式というものは、社員としての地位を割合的・均一的に分割したも
ので、それ自体個性を有するものではないものとし、ある程度の財産を有する者であれば誰でもが気軽に株式を取得することができる制度を採用することによって日本が採用する資本主義経済を維持、発展させることを目的としているものです。
このような目的を有しているために、もし、その会社が発行する株式の内容が同一でなければ株主の間で人によって権利の内容が区々になってしまいますから不平等が生じることになりますので、株主としては株式制度そのものに対して不信感を持ってしまいます。
株主に不信感をもたれてしまっては国家の究極の目的である株式によって資本主義を発展させる、という目標が達成できません。

そのため、原則として株主に対しては出資した金額の多寡による資本多数決の原則以外の区別はすべきではなく、株主は平等であることが要請されます。
これが、第12講で扱いました「株主平等の原則」をさすということは賢明な皆様ならお分かりかと思います。
そして、法が株式の中で原則的に株主に平等に認めている権利としては、剰余金配当請求権、残余財産分配請求権、議決権の3つがあり、これらの3つが備わっている株式は権利内容に何ら限定のない、いわば株式のスタンダードなもので、このように標準になる株式は普通株式とよばれています。
実際、日本で日々発行されている株式はほとんどこの普通株式です。

しかし、このように「株主平等の原則」から要請されるはずの原則的な形態の普通株式だけではなく今回の新会社法ではその対概念としての「種類株式」というものが広く認められるようになりました(従来の商法下では配当に関するもの等若干の種類株式が認められているにすぎませんでしたが今回の改正では大々的に真正面から認められるようになったということです)。会社法上の条文は222条です。

種類株式
まず、種類株式の定義ですが、種類株式とは、株式会社が剰余金の配当その他の権利の内容(会社法第108条1項各号参照)が異なるある一定の事項につき内容の異なる2つ以上の種類の株式を発行した場合、その各株式のことをいいます。

会社法上で、「種類株式」という用語を直接定義している条項は見当たりませんが、2条13号は「種類株式発行会社」について、「剰余金の配当その他の108条1項各号に掲げる事項について内容の異なる2以上の種類の株式を発行する株式会社」と定義していますから、ここから実質的に種類株式の定義が導かれます。
 それでは、実際に種類株の具体例をみていきましょう。

具体例
1剰余金の配当
これは、株主への剰余金の配当に関して異なる扱いをすることができる株式です。           
具体例としては、優先株、劣後株があります。
できるだけ市場ニーズにあった株式を発行することにより資金調達を柔軟にすることができるようにしています。
2残余財産の分配
これは、会社が解散した場合に、残った財産の分配を受ける権利に関して異なる扱いをすることができる株式です。
会社は、究極的には株主のものですから、債権者に債務を弁済した後など、全ての債権者が債権を回収した場合には、株主がその残余の財産を分けることになりますが、その権利について異なる扱いをすることを認めたのがこれです。
3株主総会で議決権を行使できる事項
 これは、株主総会での議決権に関して異なる扱いをすることができる株式です。 
具体例としては、議決権制限株式や完全無議決権株式があります。
大株主の議決権に関して制限を加えることにより資本が比較的少ないベンチャー企業を保護するための効果が期待できます。
なお、議決権制限株式の発行は、従来は発行済株式総数の2分の1を超えて発行する事はできないとされていました。
しかし、譲渡制限会社についてはこのような発行限度枠制が撤廃されました。
これに対し、株式譲渡制限会社以外の株式会社では、従来通り、議決権制限株式の発行総数は、発行済株式の2分の1を超えることができないという規制が残っているので注意が必要です。

とりあえず、種類株式の1から3までみてきました。次回の第16回講義は種類株式の4から見ていきたいと思います。

今回は、第16講として種類株式についての2回目を扱っていきたいと思います。
前回は、種類株式の3つめの種類まで扱いましたので、今回は4つめからいきたいと思います。

4譲渡制限
株式を譲渡する場合に、会社の承認を必要とするかどうかに関して異なる扱いをすることができる株式です。
小規模の会社にはほとんどと言ってよいほどこの譲渡制限規制があります。
これは、気心の知れた身内同士で事業を行っているような場合で、お家騒動のような内紛が起こった場合に、共同経営者が全く見ず知らずの者に株式を譲渡してしまうことによって、会社経営を今後もしていこうとする経営者の経営に対して赤の他人が口を出してくるということを防止することができるようにするという強い意味を持っています。
つまり、乗っ取り防止の為の企業防衛ですね。

もっとも、このような譲渡制限を付すことによって株主は株式を自由に譲渡することができなくなるわけですから、株式を自由に譲渡できることを保障することによって市場から資本を集めることができるようにする、という「流通性の確保」という意味では通常の譲渡制限がない株式よりも劣ってしまいます。
そのため、譲渡制限株式が発行されるのは、通常は大規模経営をして収益をあげようとするよりも、従来までの会社の維持を考えている会社、つまり一般的には小規模会社が多いといえるでしょう。

5株主による株式の取得請求権
これは、株主が会社に対して、株式の買い取りの請求ができることに関して異なる取り扱いをすることができる株式です。
株式の名称は「取得請求権付株式」といいます。

6会社による一定事由の発生を条件とする取得条項
これは、一定の事由が生じたことを条件として会社が株式を取得できるかどうかに関して異なる取り扱いをすることができる株式のことをいいます。
株式の名称は「取得条項付株式」といいます。

7会社が株主総会決議でその種類の株式の全部を取得できること
これは、その株主総会決議で、その1つの種類の種類株式を会社が取得することができることに関して異なる取り扱いをすることができる株式をいいます。
株式の名称は「全部取得請求権付株式」といいます。
なお、6と7の違いですが、会社が株式を取得するための要件が「一定の事由」なのか「株主総会」であるかの相違です。

8株式会社(または取締役会、清算人会)の決議事項のうち、その決議の他、当該種類株主の種類株主総会の決議を必要とするもの
 これは、株主総会である決議について決定する際には、その株主総会の決議だけでは足らず、当該種類株主で構成する種類株主総会での決議を要求することができるというものです。
簡単に説明しますと、例えば会社の合併について、ある種類の株主総会の決議を要すると定めた場合、全体の株主総会で合併することの承認を得たとしても、その種類株主総会で議決が否決されれば合併ができなくなるというものです。
つまり、ある事項について種類株主に拒否権を与えることができるということです。
この拒否権は、1株さえあれば会社を自己の考える方向へ進ませることをさせないようにするということができるので大変価値のあるものです。
そのため、一般的には「黄金株」と呼ばれています。
これもベンチャービジネスマンにとって大いに利用することができます。
投資家はせっかく収益が上がっても簡単に経営方針の転換で企業が合併などをされてしまっては困ると考えれば、出資する際にこの黄金株をもらうことによって、種類株決議で反対することにより会社が合併することを拒絶することができるのです。
これによって投資家はリスクを軽減させることができ、これによってベンチャービジネスマンにとっては資本をより集めやすくなるということになります。

9種類株主総会の決議で、取締役会・監査役の選任をすること
これは、種類株主総会からも取締役と監査役を選任するということです。
 例えば、A種類株主総会からは取締役を1人、B種類株主総会からは取締役を1人というように、種類株主総会からも取締役会・監査役を選任させることによって種類株主の利益を代弁することができる取締役・監査役を会社の経営陣に送り込もうというものです。種類株主の利益確保のための種類株式です。
 なお、この9に関してのみ、「公開会社」と「委員会設置会社」では採用することができないとされているので注意が必要です。

ここまでで種類株式については説明が終わりましたが、次回講義では、なぜこのような種類株式が認められるようになったのか、について見ていきましょう。失礼します。
なぜ種類株式が認められたのか?
この理由として主たるものとして、ベンチャー企業の育成があげられます。
たとえば、先にも登場しましたが若かりし頃のホリエモンのような優秀な若いビジネスマンがある将来見込みのある事業を思いついて展開しようとするとしましょう。
しかし、若かりし頃には資金が当然足りません。
そこで、誰かにお金を借りたいと思いますが、なかなか不動産を有していない者にお金を貸してくれる人はいません。
この場合、もし投資家であればベンチャー事業の業績が伸びて、株式を上場することになればその収益は莫大なものになりますので銀行などの金融機関とは異なり、ベンチャーを行おうとする人物やそのビジネスの計画内容でその将来性を判断することになります。 
そして、うまく投資家とベンチャービジネスマンが意気投合すれば、株式取得という形での出資がされることになります。

しかし、これで万々歳というわけではありません。
なぜなら、ベンチャービジネスマンは当然ながら会社の代表取締役に就任しますが、株主である投資家には経営にタッチして欲しくはないと考えるからです。
それもそのはずです。実際にベンチャービジネスマンは、自分の独創的なアイデアをその売り物として大きく成長することになりますが、自由にビジネスをやりたといういワンマン社長な場合も多いので、当然他人による口出しを嫌がります。

つまり、「お金は出して欲しいけれど口は出さないで欲しい」という気持ちでしょう。
実際にも経営が軌道に乗った段階で、投資家が株式保有数にものをいわせて投資家に都合の良い別の経営者に変更しようとするなど、せっかく立ち上げに成功したベンチャービジネスマンが社長のポストを追われることになっては今まで頑張った苦労が水の泡となってしまいます。
しかし、ここで簡単にはいかないことは、会社法の原則である株主平等原則から導かれる資本多数決という原則からすれば、経営に関しても株式の保有割合、つまり持ち株数のシェアがどれくらいあるのか、によって会社に対する経営に対する発言権も変わってくるのは当然であるということです。
そもそも論からすれば、会社法の基本原則からすれば自己資本がなくて投資家に泣きついたビジネスマンが、投資家を超えるほどの資金を有しているとは考えられないため株主平等原則から導かれる資本多数決の原則に従った結果、会社を追われてもやむを得ないと考えることも一理あるとも思われます。これが会社法の本来の原則のはずですから。

しかし、理論上はそうであったとしても、実際問題としてこのように簡単にベンチャービジネスマンが会社を追われる状況では、べンチャービジネスマンによる起業が自由にできないことになり、やはり国家の最終目的である資本主義経済を発展させるために日本の経済界を活性化させるという究極の目的が果たせないことになり結局国益に反することにもなりかねません。
そこで、新会社法では、このような株主平等の例外としての種類株式を認めることによって、ベンチャービジネスマンの地位にも配慮することができるような仕組みを作ったのです。

その結果、例えば、べンチャービジネスマンは投資家に対して、株主総会で議決権が制限されている「議決権制限株式」を引き受けてもらう代わりに、投資家の方では、このように本来であれば株主の権利として認められるべき議決権が制限されていることの補填、つまり言葉を換えれば見返り、として、「配当優先株式」を要求することによって、経営権にはタッチできない代わりに配当金を普通株式よりも多くもらうことが考えられます。
これによって、べンチャービジネスマンは自己の経営権を守ることができるとともに投資家も別段経営権を欲しがっているわけではないので、自分が他者より多くの配当金をもらうことができればそれで当初の目的は果たしたといえることができ、結局両者にとってウイン・ウインの関係になることができます。< /div>
このような実際上のメリットがあることから、様々な状況に応じてべンチャービジネスマンと投資家のニーズを満たすことができるような改正がなされたのです。

私論
 最後に私論を述べさせて頂いて、この講義を終了しましょう。前述のように、実務上すばらしい意図を持ったこの種類株式制度ですが、投資家にとっては、当然に種類株についての勉強をすることが必要となります。投資家ではないような通常の株をやっている程度のお父さんやお母さんにはあまり制度が細かくなるのは厄介な代物かもしれません。新会社法は、実務上の要請、つまり、利便性を追求しすぎて、理論も整合性もないということをよく会社法の専門家から聞きますが、私もある意味正しいと思います。
 このような、実務の必要性という観点から制定された新会社法ですから、実際上の問題とリンクさせながら学習していくことが必要だと思います。
 それでは、今回の講義を終了いたします
http://www.artista.co.jp/article/13246693.html
それでは、第18回の講義を始めていきましょう。
今回は、「株主名簿」について扱っていきたいと思います。
定義と趣旨
株主名簿とは、株主及び株券に関する事項を明らかにするために、会社法によって作成を要求されている帳簿のことをいいます(会社法121条)。
 なぜこのような、株主名簿などというものが存在しなければならないかですが、株主は、その者が株主である限り、会社に対して継続的・集団的・反復的に権利を行使することができる半面で、会社側から見ると、株主は多数で絶えず変動するために株主を確認し、それを集団的・画一的に処理しなければなりませんから、何らかの形で株主が誰かを確認できるものがなければなりません。
 ここでもし、株主名簿がなかった場合には、株主は、会社に対して株主を取得して株主になったことを証明しなければならないですし、また会社も、現在の株主を確認しなければなりませんが、そのような手間をかけているわけにはいきません。
 そのための、事務処理的・技術的なものとして株主名簿が必要となるのです。

株主名簿の作成
会社は、株主名簿を作成し、これに?株主の氏名または名称及び住所、?株主の有する株式の数、?株主が株式を取得した日、?会社が株券発行会社である場合には、株式(株券が発行されているものに限る)に係る株券の番号、を記載し、または記録しなければなりません(会社法121条)。
これらの?から?までは「株主名簿記載事項」と名づけられています。

名簿書換え請求
 株式を株式発行会社以外の者から取得した者は、会社に対し、株式に係る株主名簿記載事項を株主名簿に記載し、または記録することを請求することができます(会社法133条1項)。これが、「株主名簿の名義書換え請求」です。
 
株券発行会社と株券布発行会社での違い
 株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ会社その他の第三者に対抗することはできません(会社法130条1項)。
 このように、株主名簿に記載又は記録することを名義書換といいます。
 もっとも、これは株券を発行していない会社、つまり株券不発行会社においてあてはまるものです。
といいますのも、株券不発行会社においては、当事者間では、意思表示によって譲渡の効力が生じるのですが、会社その他の第三者に対抗するためには、株主名簿の名義書換が必要となるということです。
 これに対して、株券発行会社においては、自己株式の処分による譲渡を除外すれば、当事者の株式を譲渡するという意思表示と、株券の交付があれば効力が生じますから(会社法128条)、名義書換は、会社に対する対抗要件にとどまります(会社法130条)。
 簡単にいえば、株券発行会社であれば「株券」という目に見えるモノがあるために、譲渡の意思と、株券それ自体の交付があればそれが会社に対しても、また第三者に対しても対抗要件となりますが、株券不発行会社であれば当然、株券を発行していない会社ですから、譲渡の意思があっても、株券それ自体がない分、極めて誰が本当の株主かが、第三者にとっては分かりにくいということです。
 そのために、会社と第三者に対してきちんと誰が株主です、ということを分かるようにするために株主名簿への名義書換が必要となる、ということなのです。
 おわかりでしょうか?
 どちらにしても、株券発行会社、不発行会社双方とも株主名簿の名義書換を行わなければ少なくとも会社に対しては株主であることを主張することができないという意味では、一致していますね。
 これは、先ほど冒頭部分であったように、会社が株主関係の事務処理を合理化し、円滑に行うことができるようにするためです。

論点
最後にひとつ論点を扱っておきましょう。資格試験の問題でよくあるものです。
株式の譲渡を受けて株主となった者もでも、株主名簿の名義書換がなされるまでは、会社に対して権利を主張することができないことは当然ですが、会社の側から名義書換をしていない者を自社の株主だと扱っても良いのかという点が論点となっています。
 判例は、株主名簿への記載を単なる対抗要件と捉えているので、会社が事故の危険において名義書換未了の株主を取り扱うことは何ら問題がないとしています。
 この理由としては、株主名簿の制度それ自体がそもそも株主関係の事務処理を合理化し、円滑に行うようにするための会社の便宜を図るための制度に過ぎないために、会社が事務処理の煩雑さを感受するのであればそれを認めたとしても殊更差支えがないのではないかという点にあります。
 反対説は、あくまでも株主名簿は画一的に処理すべきもので、会社が個別に株主として認めたり認めなかったりすることはよくない、と主張しています。
 皆さんは、どのようにお考えでしょうか?制度趣旨をどう考えるのか、で結論が分かれてきますので、いかに制度趣旨の理解が大切かがわかりますね。
 それでは、この辺りで今回の講義は終了したいと思います。
http://www.artista.co.jp/article/13248646.html
それでは、第19回の講義を始めていきましょう。
今回は、「基準日」について扱っていきたいと思います。

定義と趣旨
 基準日の制度は、一定の日(基準日)を定めて、その日において株主名簿に記載又は記録されている株主を株主の権利を行使すべき者とする制度です(会社法124条)。
 なぜこのような制度があるのかといいますと、本来であれば株主総会において議決権を行使したり、剰余金の配当を受ける等の権利を有する者は、その時点における株主名簿上の株主です。
 しかし、株主が多数いてしょっちゅう変動する会社においては、誰がその時点において株主なのかが把握しきれないことになります。
 そのために、一定の日を定めることによってその日において株主名簿に記載又は記録されている株主に限定して株主の権利を行使すべきことにしたのです。

基準日設定の要件と手続
基準日は、権利行使の日の3ヶ月以前の日でなければならならないとされています。
この理由は、もし基準日と権利行使すべき日との間に長い期間がおかれてしまうと、その後の株式の取得者等に損害を与えてしまい不利益が大きいからです。
たしかに、基準日の制度は会社の便宜上のためにあるものですから、株主の利益を害するわけにはいきません。
必要最低限の会社の必要性が認められるにすぎないのです。
そして、基準日を定める場合には、基準日の株主が行使することができる権利の内容を定めなければなりません。
これは、明確にすることで株主に予測可能性を与えるという意味があるのでしょう。

基準日後に株式を取得した者の権利行使
 基準日株主が行使することができる権利が株主総会又は種類株主総会における議決権である場合には、会社は、当該基準日後に株式を取得した者の全部又は一部を当該権利を行使することができる者と定めることができます。
 これまでは、明文の規定がなかったために議論があったところですが、実際上の必要性からこの会社法成立に伴い新設されたものです。
 これによると、例えば会社が6月に通常行われる定時株主総会における議決権の行使について、3月31日を基準日とした場合に、4月1日から6月の定時株主総会までの間に募集株式の募集により株式を取得した者であってもその株主総会において議決権を行使することができるようになる、というメリットがあります。

少し短いですが、以上で今回の講義は終了します。次回の講義も宜しくお願いします。
http://www.artista.co.jp/article/13251512.html
今回の第20講は「機関」について扱っていきたいと思います。

機関とは
会社は、社員という構成員からなる法人のことをいいますが、社員と会社とは別の人格です。
会社は法人格を有していますから、独立した法主体として自らの意思を有し、かつ、自ら行動する能力(行為能力)があることを法律によって認められています。
しかし、会社は自然人とは異なりますから会社自身が意思や行動力を有しないことから、会社の組織上一定の権限を有する自然人のする意思表示又は行為が、会社の意思又は行為と認められるほかはありません。
つまり、誰かの意思決定をもって会社の意思決定だと擬制する、そうフィクションです。

このような会社の意思決定を行う会社の組織上の存在が「機関」です。
自然人とは異なって、肉体や頭脳を有しない会社では、このような機関の存在が不可欠ということになります。

機関設計
旧商法は、株式会社の機関設計として、一律に、株主総会のほか、取締役3人以上からなる取締役会及び監査役の設置を強制し、商法特例法により大会社については、監査役を3人以上選任して、この監査役からなる監査役会の設置を強制し、さらに会計監査人の監査を受けることを強制していました。
これに対し、会社法は、一定のルールの下で、機関設計の規律の柔軟化を図り、機関設計の自由を認めていました。

このように、機関設計の規律の柔軟化を図り、機関設計の自由を認めた趣旨は、会社の規模とその機関設計が必ずしも直結するものではいため、会社規模だけを基準に基準に一律に一定の機関設計を強制することは相当でないためです。
たしかに、株式の譲渡が自由で、これにより株主の変動が頻繁であるため、不特定多数の株主からなる会社や、株式の譲渡が制限がされているため株主の変動がなく、特定・少数の株主からなる会社まで、様々な実態の会社があり、それぞれの実態に応じた機関設計を選択することができるとすることが妥当です。
そこで、会社法は、定款自治のもとで、定款で定めることにより、様々な機関の設計を可能としました。

最小の機関設計
最小の機関設計は、「株主総会+取締役」の構成です。
まず、どんな会社でも会社である以上は、株主総会と取締役1人又は2人以上の取締役を必ず置かなければなりません(会社法295条以下、326条1項)。
これは、旧法時代の有限会社の機関構成の原則です。
新会社法では有限会社制度を廃止して、株式会社に一本化したことから、これが原則とされ、これに一定のルールに従って定款で定めることにより他の機関を付加することができることとされているのです(326条2項、327条、328条)。

取締役会の設置の強制
会社の種類として、「公開会社」「監査役会設置会社」「委員会設置会社」は、取締役会を置かなければなりません(327条1項)。
「取締役会を置かなければならない」とは、「取締役会を置く」旨の提案の定めを設け、かつ取締役会を構成する取締役を3人選任しなければならないこと(会社法331条4項)を意味します。
取締役会の設置の強制の趣旨は、「所有と経営の分離」を前提とするものです。
上記の3種類の会社は、所有と経営の分離を前提とするものですから、取締役会の設置が強制されます。

機関」について(2/2)>
公開会社について
すなわち、まず公開会社は、その発行する株式の全部又は一部について譲渡制限がないため、株式の譲渡により株主の変動が頻繁であって株主は不特定多数であることが想定され、そのような会社においては、一般の株主は普通は会社の経営について、自らその参画する意思も能力も有していない場合が多い。
つまり、簡単に言えば、株を持っているお父さんお母さんは、会社の経営をしようとして株を取得・保有しているわけではなく、お金を投資する目的で株式を取得・保有しているのです。日経新聞の株価欄を見て、上がった下がったと一喜一憂しているようなそんな感じです。
このような人たちには会社の日常の事項すら決定することができるわけがありません。そもそも、毎日自分の会社に行っているのですから、自分が株を保有している会社の経
営にタッチする時間も能力もありません。

 そこで、株主総会の権限を縮小し、基本的事項については定時又は臨時に株主総会を開催して会社の意思を決定するが、それ以外の事項については、経営のプロフェッショナルである取締役を複数選任して取締役会の構成をさせ、そこで決定をするというシステムをとりました。
また、このように取締役会に権限を委譲すると、株主総会を通じた株主による監督権限が希薄化してしまうために、株主に代わって監督する者が必要となります(同2項)。

監査役会設置会社について
監査役会設置会社は、監査役を3人以上置く会社で設置が可能であるから、監査が厳格であることを意味しますが、このような会社は当然、前記の公開会社と同様、所有と経営の分離が想定された会社ですから取締役会の設置が強制されます。
また、取締役会を設置しない簡易な機関設計を採用する会社において、監査役に関して複雑な仕組みを設けるニーズは考えがたく認める必要はないからです。

委員会設置会社について
委員会設置会社は、取締役会により委員が選定されるため、取締役会が不可欠であり、さらに業務執行機関である、執行役、代表機関である代表執行役が選任・選定されることになっていて、取締役会の権限が更に大幅に執行役に移行することが可能とされ、取締役会(委員会を中心として)による監査機能が充実している会社であり、所有と経営の分離が想定された会社であるため、取締役会の設置が強制されます。

会計監査人の設置の強制
 大会社は、公開会社であるかどうかにかかわらず、会計監査人を置かなければなりません(会社法328条1項、2項)。
 大会社に会計監査人の設置を強制した理由は、大会社ではその規模が大きいことから、公開会社であるかどうかにかかわらず、利害関係人である会社債権者が多数にのぼることが予想され、特に監査を厳格にする必要があるので、会計監査の職業的専門家である公認会計士、または監査法人を選任して、その監査を受けることを強制するものです。

 また、委員会設置会社においても会計監査人を置かなければなりません(会社法327条5項)。
  委員会設置会社に会計監査人の設置を強制した理由は、委員会設置会社は、取締役会から更に執行役への大幅な権限委譲が可能とされていることから、監督機能の充実が要請され、内部監査だけではなく、会計監査につき外部監査としての会計監査人の監督を要求するものです。
 それでは、ちょっと長めになってしまいましたが、これで今回の講義を終了いたします。

 次回の講義は、この続きから始めていきたいと思います。

 掲載:きくいけ博士…企業法務部に所属し法律問題、労働問題、判例分析に取り組む


新会社法基礎養成講義 【第21講】 「http://www.artista.co.jp/article/13255131.html
第21講は「機関」についての続きからでしたね。

監査役会又は委員会の設置の強制
公開会社である大会社は、監査役または委員会のいずれかを置かなければなりません(会社法328条1項)。

これは、大会社では、監査を厳格にする必要があるため、会計監査人の設置を強制するためで、また公開会社である大会社においては、更に株主総会の権限が縮小していることから、内部監査を充実させる必要があり、監査役会の設置を強制し、あるいは監査役制度を採用しない会社では、委員会設置会社としなければならないとしたものと考えられます。

なお、非公開会社である大会社においては、大会社であることにより、会計監査人をおかなければなりませんが、会計監査人設置会社は、委員会が監査役を置かなければならないとされていますので(327条3項)、非公開会社である大会社は、監査役か委員会を置かなければなりません。

監査役または委員会の設置の強制
取締役会設置会社は、監査役または委員会のいずれかを置かなければなりませんが、公開会社ではない会計参与設置会社については、この限りではありません。

また、会計監査人を設置する場合にも、監査役または委員会のいずれかを置かなければなりません(327条3項)。

取締役会設置会社においては、所有と経営が分離し、株主総会の権限が縮小することから監督する機関として、監査役あるいは委員会の設置を義務付けたのです。

もっとも、非公開会社で非大会社においては、監査役及び委員会を設置する代わりに会計参与を設置してもよいことにしています。
これは、このような会社においては、株主の変動が頻繁に生じることはなく、株主による直接の監督をある程度期待することができることから株主による監督を強化するための制度と会計参与の制度の両者により、監査役に設置に代えたものです。

また、会計監査人設置会社において監査役または委員会の設置を強制した理由は、外部監査だけによる監査制度を認めないものですが、会計監査人が独立した職業的な専門的な立場から会計の監査をするもので、この制度を有効に機能させるためには、執行部からの独立性を担保する必要があるからです。

ちなみに、取締役会を設置しない会社は、監査役会を置くことはできません。つまり、「株主総会+取締役+監査役会」という機関は認められないのです。

これは、現時点で取締役会を設置しないという簡易で機動性の高い機関設計を選んだ会社が監査役に関してだけ、複雑で大掛かりな仕組みを設ける必要がないからです。

機関設計の類型
以上をまとめると、会社法の定めるルールは、基本的に?「公開会社と非公開会社」と?「大会社と非大会社」とにわかれます。
従って、大きく4種類にわかれます。

その中で、更に取締役会の設置が強制されるのか、任意に設置するのかしないのか、会計監査人の設置が強制されるか、任意に設置するかしないかによって39もの会社設計が分かれてきます。

それでは、今回の講義の最後として、前39通りの会社の区分を見ていきましょう。

非公開・非大会社の区分による分類
1.   株主総会  取締役会
2.   株主総会  取締役会  監査役
3.   株主総会  取締役会       会計参与
4.   株主総会  取締役会  監査役  会計参与
5.   株主総会  取締役会  監査役        会計監査人
6.   株主総会  取締役会  監査役  会計参与  会計監査人
7.   株主総会  取締役会  監査役
8.   株主総会  取締役会       会計参与
9.   株主総会  取締役会  監査役  会計参与
10.  株主総会  取締役会  監査役会 
11.  株主総会  取締役会  監査役会 会計参与  
12.  株主総会  取締役会  監査役会       会計監査人
13.  株主総会  取締役会  委員会        会計監査人
14.  株主総会  取締役会  監査役        会計監査人
15.  株主総会  取締役会  監査役会 会計参与  会計監査人
16.  株主総会  取締役会  委員会  会計参与  会計監査人
17.  株主総会  取締役会  監査役  会計参与  会計監査人

非公開・大会社の区分による類型
18.  株主総会  取締役会  監査役        会計監査人
19.  株主総会  取締役会  監査役  会計参与  会計監査人
20.  株主総会  取締役会  監査役会       会計監査人
21.  株主総会  取締役会  委員会        会計監査人
22.  株主総会  取締役会  監査役        会計監査人
23.  株主総会  取締役会  監査役会 会計参与  会計監査人
24.  株主総会  取締役会  委員会  会計参与  会計監査人
25.  株主総会  取締役会  監査役  会計参与  会計監査人

公開・非大会社の区分による類型      
26.  株主総会  取締役会  監査役
27.  株主総会  取締役会  監査役会
28.  株主総会  取締役会  監査役        会計監査人
29.  株主総会  取締役会  監査役会 会計参与  会計監査人
30.  株主総会  取締役会  監査役        会計監査人
31.  株主総会  取締役会  監査役  会計参与  会計監査人
32.  株主総会  取締役会  監査役会       会計監査人
33.  株主総会  取締役会  監査役会 会計参与  会計監査人
34.  株主総会  取締役会  委員会        会計監査人
35.  株主総会  取締役会  委員会  会計参与  会計監査人

公開・大会社の区分による類型
36.  株主総会  取締役会  監査役会       会計監査人
37.  株主総会  取締役会  監査役会 会計参与  会計監査人
38.  株主総会  取締役会  委員会        会計監査人
39.  株主総会  取締役会  委員会  会計参与  会計監査人

と、このようになります。
それでは今回の講義は終了します。
回の第22講は、株主総会についてです。

定義
株主総会は、出資者である株主によって構成され、株主の多数決によって会社の意思を決定する合議制の機関で、会社の最高の必要的意思決定機関です。

株主総会の性質
 株主総会は、会社の意思を決定する合議制の意思決定機関でありますが、自ら執行行為をすることはできません。
 株主総会で決定された会社の意思の執行行為は、取締役、代表取締役、業務執行取締役、あるいは執行役、代表取締役によって行われます。
 まあ、それもそのはずです。実際には株主総会は、株主という個性の埋没した集団の集まりですから、日常業務での業務を行わせる(執行する)ということは煩雑にすぎてかえって会社の利益を害してしまいますよね。

 取締役会設置会社以外の会社においては、有限会社の社員総会と同様に、株主総会は万能の機関です(会社法295条1項)。
 これに対し、取締役会設置会社では、株主総会は後に述べるように、会社法に規定する事項または定款で定めた事項に限り決議することができるとされ、万能の機関とはえませんが、株主総会の決議事項とされた事柄についてなされた決議は、取締役会及び代表取締役、業務執行取締役、執行役、代表執行役を拘束し、また何よりも、役員などの選任及び解任が株主総会の専属的権限事項となっていますから(329条・339条)、会社の最高機関であることに変わりはありません。
 株主総会は、必ず会社に置くことを要する必要的機関です。機関設計のいかんにかかわらず必ず置かなければなりません。これは、前回の機関の講義でも説明しましたね。

株主総会の権限

取締役会設置会社
 取締役会設置会社においては、所有と経営の分離を前提としますから、株主総会の権限は縮小され、株主総会は、会社法に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができます(295条1項)。
 ちなみに、取締役会設置会社か否かを問わず、会社法の規定により株主総会の決議を必要とする事項について、取締役、執行役、取締役会その他の株主総会以外の機関が決定することができることを内容とする定款の定めはその効力を有さないとされています。
 これはなぜかといえば、会社法によって特に株主総会の決議を必要とするとされた事項は、いずれも会社や株主にとって重大なものばかりであり、株主総会の専属的権限事項ですから、これらの事項を他の機関に委任するということ株主総会を必須の機関とした法の趣旨をあまりにも没却してしまうからです。

取締役会設置会社以外の会社
 取締役会設置会社以外の会社においては、株主総会は、会社法について規定する事項及び会社の組織、運営、管理その他の会社に関する一切の事項について決議をすることができるため、株主総会は万能の機関とされます。
 今回の会社法改正では、株主総会の設置は必須とした上で、取締役会を設置しない会社の株主総会に関して大幅な合理化が認められました。

株主総会の合理化
 主たるものとしては具体的に、次の4項目です。
 (1)株主総会の召集を決定するのは、原則として取締役であること
 (2)召集通知の発送は会日の1週間前にする(ただし、定款によりその期間の短縮が可能である)こと
 (3)召集通知に書面作成は不要であること
 (4)召集通知への会議の目的事項の記載・記録は不要であること
 です。

 
それでは、順にみていきましょう。以下取締役会設置会社と比較して見ていきます。

 まず、(1)についてですが、取締役会設置会社の株主総会は原則として「取締役会」による招集であるのに対して、本項で扱う取締役会設置会社以外の会社では「取締役」により招集がなされます。
 そもそも取締役会が存在しない以上、当然に取締役自身が招集することになります。当たり前の規定といえば当たり前ですね。取締役「会」がそもそもないのに取締役会という合議体が召集する、とは考えられないからです。


 次に、(2)についてですが、公開会社の株主総会では召集通知の発送は会日の2週間前にしなければなりません。

 これに対して、取締役会を設置しない会社の召集通知は、1週間が原則ですが、定款で定めれば更に短く、極端にいえば株主総会の「前日」であっても良いという改正がされました。

 ここで、皆さんの中には前日などもっての他で許されるわけがないとお思いになる方もいらっしゃるかもしれません。
 たしかに、株主総会が開かれるのに前日になって「明日株主総会が開かれますよ」という連絡をもらっても株主が用事で出席できないかもしれないのであんまりだ、という考えには一理があるかもしれません。

 しかし、そもそも公開会社の場合に召集通知を2週間前に発送しなければならないと定めている法の趣旨を考えてみましょう。

 「会日までに2週間前」という規定がされた法の趣旨は、公開会社では市場に株式が流通するために潜在的に株主か多くなる可能性があり、株主も会社に縁もゆかりもない見ず知らずの人がなる可能性があるだろうから株主総会に出席する権利を持つ会社の所有者である株主の出席の機会を保障するためにはある程度の時間的な猶予が必要であることから少なくとも法は2週間前の召集を要求したものだ、といえるでしょう。

 これは、言葉を換えると会社にとって迅速に株主総会を招集したいという「合理性」よりも「出席者の利益」を重視したものといえるでしょう。

 しかし、取締役会を設置していない会社では株式の流通はありえません。むしろ、流通した方が困るので、株式を譲渡制限しているのです。  


 次の(3)についてですが、取締役会設置会社では召集通知は、書面又は電子メールによる、とされています。

 これも前講義の(2)でのべたように取締役会設置会社では市場に株式が流通する可能性があるために潜在的に株主か多くなる可能性があり、株主も会社に縁もゆかりもない見ず知らずの人がなる可能性があるだろうから株主総会に出席する権利を持つ会社の所有者である株主に対して、きちんと目に見える形で召集通知を出すべき、と法が考えたからでしょう。

 これに対して、取締役会を設置していない会社においては、すぐに関係者へ連絡がとれるのですから、いちいち書面や電子メールといった可読性のあるものではなくとも構わず、電話や会って述べる、つまり口頭でも良い、とされるのです。

 やはり、(3)についても取締役会の設置の有無という基準から想定される会社の規模によって株主の利益か、会社の合理化か、どちらを重視するか?のバランスが会社法上図られているのです。


 最後に、(4)についてですが、取締役会設置会社の株主総会では、株主総会の「目的である事項」の記載を要します。
 この規定の法の趣旨は、取締役会設置会社の株主は一般的には投機目的で株を所有しているのであり、会社の方針決定を日常考える立場にはないので、総会の目的事項を事前に通知することで、目的事項に対する考慮時間を与える必要があるからでありましょう。

 つまり、出席者の利益を考えての規定です。この場合、当然ですが株主総会で通知をした「目的である事項」以外の議決をすることは禁止されています。
  
 これに対して、取締役会を設置していない会社については、目的である事項の記載は不要です。

 この規定の法の趣旨は、取締役会を設置していない会社は比較的小規模閉鎖会社であろう事からすれば、取締役はすなわち経営者である、という立場にあるといえるでしょうから、会社の方針には常に気を配っているはずで、株主に事前にいちいち目的である事項を通知しなくても、出席者の利益が害されるおそれはなく、むしろ、株主総会でありとあらゆる事項を決議できるようにしておく方が会社の合理性の面からは望ましいといえるからでしょう。

 それでは、長くなりましたからこの辺で今回の講義を終了したいと思います。
(定義)
第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一  会社 株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社をいう。
二  外国会社 外国の法令に準拠して設立された法人その他の外国の団体であって、会社と同種のもの又は会社に類似するものをいう。
三  子会社 会社がその総株主の議決権の過半数を有する株式会社その他の当該会社がその経営を支配している法人として法務省令で定めるものをいう。
四  親会社 株式会社を子会社とする会社その他の当該株式会社の経営を支配している法人として法務省令で定めるものをいう。
五  公開会社 その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社をいう。
六  大会社 次に掲げる要件のいずれかに該当する株式会社をいう。
イ 最終事業年度に係る貸借対照表(第四百三十九条前段に規定する場合にあっては、同条の規定により定時株主総会に報告された貸借対照表をいい、株式会社の成立後最初の定時株主総会までの間においては、第四百三十五条第一項の貸借対照表をいう。ロにおいて同じ。)に資本金として計上した額が五億円以上であること。
ロ 最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が二百億円以上であること。
七  取締役会設置会社 取締役会を置く株式会社又はこの法律の規定により取締役会を置かなければならない株式会社をいう。
八  会計参与設置会社 会計参与を置く株式会社をいう。
九  監査役設置会社 監査役を置く株式会社(その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあるものを除く。)又はこの法律の規定により監査役を置かなければならない株式会社をいう。
十  監査役会設置会社 監査役会を置く株式会社又はこの法律の規定により監査役会を置かなければならない株式会社をいう。
十一  会計監査人設置会社 会計監査人を置く株式会社又はこの法律の規定により会計監査人を置かなければならない株式会社をいう。
十二  委員会設置会社 指名委員会、監査委員会及び報酬委員会(以下「委員会」という。)を置く株式会社をいう。
十三  種類株式発行会社 剰余金の配当その他の第百八条第一項各号に掲げる事項について内容の異なる二以上の種類の株式を発行する株式会社をいう。
(定義)
第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一  会社 株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社をいう。
二  外国会社 外国の法令に準拠して設立された法人その他の外国の団体であって、会社と同種のもの又は会社に類似するものをいう。
三  子会社 会社がその総株主の議決権の過半数を有する株式会社その他の当該会社がその経営を支配している法人として法務省令で定めるものをいう。
四  親会社 株式会社を子会社とする会社その他の当該株式会社の経営を支配している法人として法務省令で定めるものをいう。
五  公開会社 その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社をいう。
六  大会社 次に掲げる要件のいずれかに該当する株式会社をいう。
イ 最終事業年度に係る貸借対照表(第四百三十九条前段に規定する場合にあっては、同条の規定により定時株主総会に報告された貸借対照表をいい、株式会社の成立後最初の定時株主総会までの間においては、第四百三十五条第一項の貸借対照表をいう。ロにおいて同じ。)に資本金として計上した額が五億円以上であること。
ロ 最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が二百億円以上であること。
七  取締役会設置会社 取締役会を置く株式会社又はこの法律の規定により取締役会を置かなければならない株式会社をいう。
八  会計参与設置会社 会計参与を置く株式会社をいう。
九  監査役設置会社 監査役を置く株式会社(その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあるものを除く。)又はこの法律の規定により監査役を置かなければならない株式会社をいう。
十  監査役会設置会社 監査役会を置く株式会社又はこの法律の規定により監査役会を置かなければならない株式会社をいう。
十一  会計監査人設置会社 会計監査人を置く株式会社又はこの法律の規定により会計監査人を置かなければならない株式会社をいう。
十二  委員会設置会社 指名委員会、監査委員会及び報酬委員会(以下「委員会」という。)を置く株式会社をいう。
十三  種類株式発行会社 剰余金の配当その他の第百八条第一項各号に掲げる事項について内容の異なる二以上の種類の株式を発行する株式会社をいう。

社外取締役(しゃがいとりしまりやく)とは、株式会社の取締役であって、現在及び過去において、当該株式会社またはその子会社の代表取締役・業務執行取締役もしくは執行役または支配人その他の使用人ではないものをいう(会社法2条15号)。



http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A4%BE%E5%A4%96%E5%8F%96%E7%B7%A0%E5%BD%B9
社外取締役 株式会社の取締役であって、当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役(株式会社の第363条第1項各号に掲げる取締役及び当該株式会社の業務を執行したその他の取締役をいう。以下同じ。)若しくは執行役又は支配人その他の使用人でなく、かつ、過去に当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人となったことがないものをいう。
社外監査役 株式会社の監査役であって、過去に当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)若しくは執行役又は支配人その他の使用人となったことがないものをいう。
w:譲渡制限株式 株式会社がその発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定めを設けている場合における当該株式をいう。
取得請求権付株式 株式会社がその発行する全部又は一部の株式の内容として株主が当該株式会社に対して当該株式の取得を請求することができる旨の定めを設けている場合における当該株式をいう。
取得条項付株式 株式会社がその発行する全部又は一部の株式の内容として当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件として当該株式を取得することができる旨の定めを設けている場合における当該株式をいう。
単元株式数 株式会社がその発行する株式について、一定の数の株式をもって株主が株主総会又は種類株主総会において一個の議決権を行使することができる一単元の株式とする旨の定款の定めを設けている場合における当該一定の数をいう。
新株予約権 株式会社に対して行使することにより当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利をいう。
新株予約権付社債 新株予約権を付した社債をいう。
社債 この法律の規定により会社が行う割当てにより発生する当該会社を債務者とする金銭債権であって、第676条各号に掲げる事項についての定めに従い償還されるものをいう。
最終事業年度 各事業年度に係る第435条第2項に規定する計算書類につき第438条第2項の承認(第439条前段に規定する場合にあっては、第436条第3項の承認)を受けた場合における当該各事業年度のうち最も遅いものをいう。
配当財産 株式会社が剰余金の配当をする場合における配当する財産をいう。
組織変更 次のイ又はロに掲げる会社がその組織を変更することにより当該イ又はロに定める会社となることをいう。
イ 株式会社 合名会社、合資会社又は合同会社
ロ 合名会社、合資会社又は合同会社 株式会社
吸収合併 会社が他の会社とする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併後存続する会社に承継させるものをいう。
新設合併 二以上の会社がする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併により設立する会社に承継させるものをいう。
吸収分割 株式会社又は合同会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割後他の会社に承継させることをいう。
新設分割 一又は二以上の株式会社又は合同会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割により設立する会社に承継させることをいう。
株式交換 株式会社がその発行済株式(株式会社が発行している株式をいう。以下同じ。)の全部を他の株式会社又は合同会社に取得させることをいう。
株式移転 一又は二以上の株式会社がその発行済株式の全部を新たに設立する株式会社に取得させることをいう。
公告方法 会社(外国会社を含む。)が公告(この法律又は他の法律の規定により官報に掲載する方法によりしなければならないものとされているものを除く。)をする方法をいう。
電子公告 公告方法のうち、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)により不特定多数の者が公告すべき内容である情報の提供を受けることができる状態に置く措置であって法務省令で定めるものをとる方法をいう。
解説[編集]会社法の主要な用語、概念についての定義を定めた規定である。ただし、すべての会社法上の用語の定義が網羅されているわけではなく、それぞれの編において独自に定義されている用語もあるため、その場合は該当部分をあわせて参照する必要がある。

23号
会社法第676条(募集社債に関する事項の決定)

--------------------------------------------------------------------------------
前条:
会社法第1条
(趣旨) 会社法

第1編 総則
第1章 通則
次条:
会社法第3条
(法人格)

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カテゴリ: 会社法

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