「大統領の誘拐」Presidentin kyyditys。2026・フィンランドTACKフィルムズ/捷/蘭/エストニア・DCP。監:サムリ・ヴァルカマ。脚:ヨン・ルンドステン。撮:トゥオモ・フトリ。編:タンベット・タスジャ。音:ユホ・ヌルメラ。
出:ユッシ・ヴァタネン、アク・シポラ、エリアス・サロネン、ペルッティ・スヴェホルム、リッタ・ハヴカイネン。。上映前に主演のユッシ・ヴァタネンさんから日本語を交えた挨拶映像があり、流石フィンランドは世界三大親日国の一つですね。
お話は『決して間違いを犯さない男』と呼ばれ現代でも尊敬される初代大統領カールロ・ユホ・スタールベルグが1930年10月14日に反共極右組織『ラプア運動』によって誘拐された事件を基にしています。予算獲得に苦労しており、周辺諸国が製作協力、ロケは助成条件の都合上チェコのウースティ・ナド・ラベム州の
テレジーンで行われたそうです。車は『シボレーADユニバーサル4ドアセダン』ですね。将校は独製拳銃『ルガーP08』を持ってます。大物の誘拐事件でありながら予算の関係でアクションに比重を置けず、コメディー調で誤魔化したと推察しますが、全体的にヘボい出来で期待を大きく裏切られました。
低予算なりの工夫が無く何もかも中途半端、例えばワイルダー監督なら10倍の風刺で面白可笑しくした筈。グダグダな展開は意図的演出でしょうけど上手く機能してません。デフォルメを効かせ赤魔コミンテルンの狂信ぶりとファシストの白痴バカぶりを対比風刺しコメディに全振りした方が良かったと思います。
「リス」Orava。2026・芬ブフォ/独パラスフィルム/蘭ヴォリャフィルムズ/瑞ゼントロパ・DCP。監脚:マルクス・レムスルス。撮:マックス・スメッズ。編:フロリアン・ミオスゲ。音:フレイヤ・バーンズ。出:ミロ・ロッペリ、ミモサ・ヴィッラモ、ハンヌ=ベッカ・ビョークマン、エーロ・リタラ、ピルヨ・ヘイッキラ。
小説では20世紀全般、映像作品では20世紀後半に世界中で流行した2つのSF分野、人間以外の生物の絶滅ものと、ユートピアという名の管理社会ディストピアものを合体させ今風の映像で見せる作品。とはいえ『今だから』の工夫が無く、低予算だからか内容も絵面も真新しい点が何一つ無いです。
とはいえこのジャンルを観た事が無い人達には超名作と感じるに違いなく(現に各方面で好評)、完成度自体は高いのが逆説的に惜しい。リスはよく訓練された動物俳優とアニマトロニクス、CGIを適材適所で使い分けており凄いです。本作や過去の同種作の人類社会の描写と、現実の現代でスマートフォンからの
指示に何の疑いも無く盲目的に従い、スマホ画面以外には一切興味を持たない人間達が続々と増えている現状に鑑み、それらの作品で描かれた未来のディストピアは今この瞬間に始まっていると感じます。
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