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2026年06月12日21:47

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「駆潜艇K-225」眠い目をした男 ロバート・ミッチャム特集:シネマヴェーラ渋谷、その2

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「駆潜艇K-225(驅潜艇K-225)」CORVETTE K-225(英題THE NELSON TOUCH)。1943・ユニバーサル・白黒35mm(BD)。監:リチャード・ロッソン。製:ハワード・ホークス。脚:ジョン・ローダス・スターディ(加海軍志願予備役中尉)。撮:トニー・ゴーディオ。編:エドワード・カーティス。
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音:デヴィッド・バトルフ。出:ランドルフ・スコット、エラ・レインズ、ジェームズ・ブラウン、バリー・フィッツジェラルド、アンディ・ディヴァイン、ウォルター・サンド、リチャード・レイン、ノア・ビアリーJr、デヴィッド・ブルース、ジェームズ・フラヴィン、ファジー・ナイト、マレー・アルパー、トーマス・ゴメス。
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ロバート・ミッチャムはまだデビューしたばかりの大部屋役者でノンクレジットですが台詞を与えられ、背の高さとバリトン声で早くも存在感を出してます。まだ徴兵前なので体形はブレイク後よりスマート。作品内容的に戦後の超大傑作「眼下の敵(1957)」での主演は既に本作から運命だったのではないでしょうか。
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英国公開版タイトルの「ネルソンタッチ」はネルソン提督の方法論や生き様の事で、英海軍精神の代名詞であり戦時高揚国策映画の内容に合致しています。劇中でも帆船時代の名残りであるラム酒の支給など、英海軍独特の風習もテンコ盛り。なおカナダは独立してますが、まだ自治領の伝統も残っていて、
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水兵の帽子にある『HMCS』とはHis Majesty's Canadian sloop(主力艦はShip)の略で、カナダ軍の帰属が英国王である事を示します。なお日本海軍の艦艇が菊の御紋章が付いてる主力艦だけを『軍艦』と称したのは、帆走時代からの英海軍では三本マスト(Ship)の戦列艦やフリゲイト艦
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など主力艦を『Man of War(Man'o War)』、二本マスト以下のその他の艦艇を『sloop of War』と分けていたのに由来します。本作の見所は勿論、英加海軍と護送船団。実戦シーンは広報用在り物映像ではなく、本作スタッフが実際に何度か護送船団に同行して撮影したもの。設定のハニングトン港は架空で、
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ロケはハリファックスで行われたそうで、街の風景も歴史記録として一級。冒頭の駆逐艦は一次大戦型のアドミラルティW級で艦番号I27から『HMSウォーカー』だと分かります。旧式とはいえ護衛艦として近代化改修されており艦橋上のタイプ271レーダーなど新兵器に注目。巡洋艦は『HMSベルファスト』の可能性大。
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護送船団の出航会議の出席者に赤軍女性将校が居る事から援ソ船団のようですが作中での説明は一切無しで、物語もスコットランドに到着した時点で終了しています。船団の構成は兵器を搭載した貨物船と、燃料を積んだタンカー。日本の戦標船に相当する米製リバティシップが多数の中、デンマーク船籍の船や、
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米海軍から英国に貸与された旧式な四本煙突平甲板型駆逐艦も登場。また作品の見所の一つとして、まだ護衛空母の実戦投入前で、『ハリケーン』戦闘機とカタパルトを貨物船に据えた『CAMシップ』の戦闘シーンがあります。ドイツ軍の爆撃機は模型。戦闘機は着水してパイロットだけ救助される仕組みです。
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主人公達が艤装委員(就役後の乗務予定船員が機器配置の使い勝手が良くなるよう造船所にアドバイザーとして派遣される制度)として赴任するのはおそらくデイビー造船所(ケベック市の南側、戦後火災消失、現在地は再建)で、河川造船所の特徴である横向き進水が本編中で見られます。
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もう一つの主役というべき『フラワー級コルベット』艦ですが、キャッチャーボートをベースに軍艦化されたもので戦闘力は低く、船団護衛の対潜戦闘に特化し頑丈さが取り柄ですが、速力も低く潜水艦が浮上すると追い付けない弱点がありました。コルベット艦は海軍軍縮条約などでの国際的な定義基準の
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取り決めは無く、二次大戦の英海軍では最も小型の軍艦のカテゴリーに宛がわれました。因みに19世紀の欧州海軍などでは『装甲コルベット』などの後の戦艦に相当する艦種でした。造船所での建造中映像では三番目の改良型(標準型フラワー級)で、間もなくプラモデルも発売されるタイプです。
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そして劇中に登場する『HMCSドンナコナ』は二番目の改良型フラワー級になります(撮影の都合で時系列順には成らない)。実在しない艦で、艦名は予備役海軍軍人の為の陸上海軍施設が由来です(英海軍は陸上施設も軍艦と同じ命名を行う)。ドンナコナ(ドナコナ)はケベック州の地名で、さらに
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語源を辿ればケベック市の土地に元々住んでいたイロコイ族の酋長の名前です。フラワー級は英国艦は花から名前を採っていますがカナダでは街の名称を艦名にしました。HMCSドンナコナ役の艦番号K225は実際は『HMCSキッチナー』で、こちらはオンタリオ州の町名です。厳しい海象との闘いからオープンブリッジ、
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ボイラー室、厨房、士官室、兵員室など艦内は勿論、対空・対潜戦闘を余す事無くセットや大道具ではない本物の映像で見せてオタク的に鼻血が出そうです。戦闘開始と共にホワイトエンサイン(英軍艦旗)をマストに掲げるシーンはまさにネルソンタッチであり大興奮。爆雷攻撃映像は映画的演出で
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最浅震度で爆発し派手に水柱が上がるようセットされてクライマックスの見所の一つ。一方で水中探信儀(英アスディック:米ソナー)の表示画面が当時最新のレーダーと同じPPIスコープに成ってますが、映画の観客に視覚的に分かり易くする為の演出で、よく見ると本物のPPIスコープではなく擂ガラス面の裏側から
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電球で敵の位置を示してるのが分かります。独潜役は米旧式潜水艦R級のようで、カナダ海軍に訓練用に貸与されていた『HMCS P.512(米SS-94:R-17)』の可能性が高いです。なお水中、沈没シーンは模型です。字幕の翻訳がまた良くて、専門用語は軍事史学者の監修を活かしての仕事だと推測。
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