買い物の帰り道、ふと耳に入ってきた親子の会話があった。
「パパ、これ見て」
「お父さんはこっち見てるぞ」
その瞬間、思わず小さく笑ってしまった。
最近は“パパ・ママ”と呼ぶ家庭が多いけれど、
この親子は“お父さん・お母さん”派らしい。
自分の家もそうだ。子どもが生まれたとき、
“パパ”という響きがどうも照れくさくて、
自然と「パパ」ではなく「お父さん」と呼ばせてきた。
その響きには、どこか背筋が伸びるような、
言葉以上の責任と温かさが宿っている気がする。
“パパ”は軽やかで親しみやすい。
“お父さん”は少し重みがあって、どこか凛としている。
どちらが良い悪いではなく、
ただその言葉の中に流れる空気が違うだけだ。
さっきの親子のやり取りを聞きながら、
自分が初めて「お父さん」と呼ばれた日のことを思い出した。
あの小さな声に込められた信頼とまっすぐさは、
今でも胸の奥に残っている。
呼び方ひとつで、家族の距離や温度が変わる。
言葉って本当に不思議だ。
スーパーの出口で、さっきの親子が手をつないで歩いていくのが見えた。
その後ろ姿を見ていたら、
自分の子供達が小さかった頃の手のぬくもりを思い出した。
思わず頬がゆるむような、そんな優しい余韻が残った。
子供達には「お父さん」と呼ばせるのに
孫には「お爺ちゃん」と呼ばせずに「じいじ」と呼ばせる
この感覚の違いはなんなんだろうか。
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