息子が小学1年生になった春。
彼はスポーツ少年団に入り、初めてソフトボールの世界に飛び込んだ。
まだ小さな体で大きなグローブをはめ、ぎこちなくボールを追いかける姿を見ていると、「これからどんな成長を見せてくれるんだろう」と胸が高鳴ったのを覚えている。
私は息子が3年生になるまではコーチとして、そしてそれ以降は監督としてチームに関わることになった。
子どもたちは本当に個性豊かで、走るのが得意な子、守備が好きな子、ボールが怖い子、そして何より“声を出すのが恥ずかしい子”が多かった。
練習中、私はよくこう言っていた。
「声を出すのは、自分の緊張をほぐすためなんだよ」
すると、少しずつ、ぽつりぽつりと声を出す子が増えていった。
次にこう伝えた。
「声は自分のためでもあるけど、チームみんなの元気にもつながるんだよ」
その言葉が届いたのか、さらに多くの子が声を出し始め、グラウンドに活気が満ちていった。
そして最後に、私は少し強めにこう言った。
「声を出すのが恥ずかしいって思うかもしれない。でも、みんなのためになる声を出さない方が、実はもっと恥ずかしいことなんだよ。みんなで声を出そう」
その瞬間、全員が一斉に大きな声を出した。
あちこちから「声出していこ〜!」という元気な声が響き渡る。
まるで心がひとつに重なったような、あの一体感。
子どもたちの素直さに胸を打たれ、私自身の心が洗われるような気持ちになり、自然と涙があふれたことを思い出した。
あの日の光景は、今でも鮮明に思い出せる。
自分のためだけならできないことも、仲間を思う気持ちがあればできるということを、子どもたちは実践して見せてくれた。
そのまっすぐな心を、この先もどうか忘れずにいてほしいと願った、かけがえのない思い出である。
子どもの素直さは、大人が忘れかけた大切なものを思い出させてくれる。
ログインしてコメントを確認・投稿する