今日もやってしまった。
風呂場という名の戦場で、私はまたしても敗北した。
ターゲットは「リンスインシャンプー」だったはずだ。
しかし、私の右手が無意識に掴んだのは、隣に鎮座する「ボディーソープ」のポンプ。
泡立てている最中は「お、今日はやけに泡立ちがいいじゃないか。
私の頭皮もまだまだ現役だな」なんて上機嫌だった。だが、シャワーで流した瞬間に現実は牙を向く。
指が、通らない。
すすいだそばから、髪が「キシッ……キシキシッ……」と悲鳴を上げている。
指が髪に絡まり、まるで頭の上に「乾燥したわかめ」を乗せているような絶望感。
これぞ、ボディーソープによる「強制除菌・完全脱脂」の洗礼だ。
そういえば、先週もやった。先々週もやった気がする。
もはや「間違えて」というより、私の脳内ではボディーソープが「頭部用」に昇格しつつあるのではないか。
鏡を見ると、そこにはパサパサに乾ききった髪(というか、もはや繊維)を振り乱した62歳の男が立っている。
情けない。だが、ここで負けるわけにはいかない。
明日こそは、ポンプを押す前に三秒間凝視しよう。
「お前は体か? 頭か?」と問いかけよう。
……まあ、どうせ明日も、泡立ててから「あ、これ体洗うやつだ」って気づくんだろうけど。
明日の髪のコンディションは、神のみぞ知る 髪だけに。
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