「お父さんが言った方が効くから」
妻の言葉を信じ、長年“厳しくしつける嫌われ役”を引き受けてきた。
私が雷を落とし、妻が優しくフォローする。
それが理想の連携だと信じていた。
しかし二人の子供達が成人した今、待っていたのは残酷な温度差だった。
怖がられる存在になる覚悟はしていたが、現実はそれ以上に冷たい。
リビングに現れても、まるで背景の家具のように扱われ、
口を開けば「あ、いたの? はいはい」と鼻で笑われる始末。
一方の妻は、「みんな仲良しで幸せ!」と言わんばかりのぽかぽかした笑顔。
その平和が、私を“共通の敵”に仕立てた犠牲の上に成り立っているとも知らず……。
私が厳格であるほど三人の絆が深まるという皮肉なシステム。
家族の団結を高める“透明な噛ませ犬”こそが、私の使命であり、
理想の父親像なのだと言い聞かせるしかない今日この頃。
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