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2025年08月30日10:45

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Facebookから転載

山納 銀之輔

父ちゃんが死んじゃった。
お盆に会いに行った時には、元気にわらっていたのに、突然だった。
家族と親近者だけで葬儀をした。
本当に父ちゃんに世話になった家族だけで集まってゆっくり見送った。
棺桶の中は花いっぱいに包まれて、最高の幸せな最後だったと思う。
まるで眠ってるような安らかな顔だった。
思えば、俺は馬鹿息子で、兄弟の中で一番世話が焼けて、育てるのが大変なわがままな子どもだった。
大人になってからも。ずっと心配かけっぱなしだった。

俺は産まれた時、未熟児で、病院の保育カプセルみたいなのに入っていた。
父ちゃんは心配そうにガラスの向こうからずっと見ていた。
母ちゃんは俺を産んだ後にそのまま入院した。
0歳の俺を連れ帰って、父ちゃんは、8歳の姉ちゃんと6歳の兄ちゃんと一緒に俺を育ててくれた。
2歳になった時、母ちゃんが退院した。
ボロボロの小さな借家で5人家族で暮らした。
父ちゃんと母ちゃんは昼も夜も働いていて、寝る時間も少なかった。
いない時は姉ちゃんと兄ちゃんが俺の面倒見てくれた。

父ちゃんは元《流し》で、ギター1本抱えてなんの曲でも弾けた。
そして飲み屋でみんなを喜ばせて、いつも冗談を言って笑わせてた人気者だった。
母ちゃんは、いつも父ちゃんを怒ってばかりいた。
そして大学いかないと父ちゃんみたくなっちゃうから勉強しろっていつも子どもたちに言ってた。
でも3人の子どもたちは、父ちゃんのこと大好きだった。
休みの日は、山とか川に連れて行ってくれて、魚釣りや、きのこや山菜採りを教えてくれた。
ちゃんと母ちゃんの言うこと聞いて姉ちゃんと兄ちゃんは学校の先生になったけど、ほんとは父ちゃんの生き方が悪いと思ってなかった。

だってみんなに好かれてた。
誰よりも優しかった。
面白かった。
そして自分の人生を楽しんでた。
棺桶の中は花いっぱい。
俺は父ちゃんの頭をさわりながら、「今まで育ててくれてありがとう。おかげでこんな幸せな人生を送れてるよ。もう心配しなくて大丈夫だからな。」とお礼を言った。涙が出てきた。
生きてる時には絶対に言わなかった。
でも心から思った。
火葬場で骨と灰になった時、霊が亡くなってた。
父ちゃんには、長年苦労かけたな。
87年間お疲れ様でした。ゆっくりおやすみください。

お寺で納骨した時、空を見上げたら、すごく綺麗で爽やかな青空だった。
父ちゃんが見てるような気がした。
そうだった、思い出した。
俺が前に死んだ時、つぶつぶの魂は残っていて、まだ光の玉に入るまでは見えてるんだった。
そして、たとえ光の中に溶け込んだとしても、この宇宙の果てのどこかで、父ちゃんは存在してる。
そこは過去も未来も現在もない。ちっちゃなつぶつぶだけど、無限に広がる宇宙すべてに存在する。
父ちゃんは、
空を、
宇宙を、
つぶつぶになって、
違うカタチで存在してる。
お墓参りに来なくても、いつでもありがとうって言える。

父ちゃんは大地に還った。
木々の葉をゆらす風となり、
川を流れる水となり、
朝日のぬくもりとなって、
ここにいる。
鳥の声に、
父ちゃんのの笑顔を思い出し、
雨のしずくに、
父ちゃんのまなざしを感じる。
土に抱かれ、
光に溶けて、
命の輪のなかで生き続けている。
俺は祈る。
この自然とともに、
父ちゃんとともに、
静かに生きてゆけますように。

消えたのではなく、
ひとつの星の光となり、
銀河の粒子となり、
永遠にめぐっている。
夜空を見上げれば、
そこに父ちゃんが瞬き、
風に身をゆだねれば、
そこに父ちゃんの声がある。
肉体は滅んでも、
魂は宇宙とひとつに溶けて、
あらゆる存在を照らしている。

俺は祈る。
その光に包まれながら、
同じ宇宙の一部として、
共に生きていけるように。
そしたら俺も父ちゃんみたいになれるかな?
みんなに好かれてた。
誰よりも優しかった。
面白かった。
そして自分の人生を楽しんでた。
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