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2025年05月29日11:46

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パレー/デトロイト響名演集(その1)

実はこのボックス、5ヶ月前に注文していたのがようやく届きました。もう1枚予約していたCDが発売延期を繰り返した挙げ句に発売中止となってしまったのが原因。なお、このボックス自体がなんらかの理由で一度廃盤となり再発されたものらしく、そこから数えると足かけ数年待ったことになります。以前のボックスの前面にはアインシュタインよろしく舌を出しているパレーの写真が使われていたので、あるいはこれが問題だったのかも。一方、マーキュリーの正規ボックスも発売されているのですが、枚数が多くて箱が2つ。かさばるし値段も高い。こちらは10枚組で3,000円ほどとお手軽なので、大概のことは許せるというものです。そのうち4枚ほど聴いたところ。

ポール・パレー(1886〜1979)はフランスの指揮者で、あのフルトヴェングラー(1886〜1954)と同年生まれというから驚き。フルトヴェングラーより長生きしてくれたため、ステレオ録音かつ良好な音質の演奏が多数残されています。それにしてはあんまり「巨匠」扱いされていないのは、振ったオケが主にアメリカのデトロイト響だったというのがあるでしょう。デトロイトといえば自動車、名前の響きもアンドロイドみたい? で、機械的で硬質な印象を与える。みっちのような軟弱リスナーはこういうイメージと先入観に左右されて、聴く前からつい避けてしまうところがあるんですf^^;。ただし誤解を恐れずにいえば、パレー/デトロイト響の演奏において機械的で硬質というのは、音楽的に純度が高く造形に優れているという意味で当たっているんですよ。え、何言ってるかちょっとわからない?

1〜4枚目にはベルリオーズ、フランク、ドビュッシー、ラヴェルの作品が収録されています。1枚目の幻想交響曲とフランクの交響曲は、ダイナミックで実に素晴らしい。それぞれの最右翼といっていい録音で、これだけのために購入する価値があります。ドビュッシーはスッキリ爽やか。印象派などと呼ばれて曖昧模糊としたイメージがある人ですが、パレーの手にかかるとすべてにピントが合っています。モヤッとした霧が取り払われたおかげで、例えば『夜想曲』の3曲目「シレーヌ」は、動機の関連性から後に書かれた『海』とつながっていることに気が付きました。セイレーンは海に住んでいますからね。ラヴェルの緻密な筆致はパレーの手腕といっそう相性がいい。『ボレロ』は、最近の「サラサーテ」誌で特集がありましたが、主要録音として挙げられた中で13分台前半という最速を誇りますf^^;。『ラ・ヴァルス』など、始まりは雲が渦巻いているはずですが、見事にくっきり晴れてる(爆)。

いずれもパリッとした痛快な演奏で、つい「男の」という形容を付けたくなるf^^;。テンポの速さが特徴のひとつですが、フランクのフィナーレなどは意外にも落ち着いており、なんでも飛ばすわけではありません。似たタイプとしてはミュンシュが浮かびますが、ミュンシュはときどきガサツだからなあ(録音のせい?)。パレーのテンポには大げさなタメや煽りそそのかしなどの要するにムラがなく、最小限のアゴーギクで最大限の効果を発揮するさまは、ほかの多くの演奏がいかに贅肉でダブつき表現のインフレ化を起こしているかということを教えてくれます。この点で、ブラームス交響曲全集でのボールトと相通じるものがあります。フランクは、ジュリーニなどを聴いてこの曲よくわからんなあ、とお悩みの方にぜひ聴いてもらいたい(爆)。目からウロコです。

ステレオ最初期の録音ですが明晰な演奏を鮮明に捉えています。残響少なめですがオケはいい音で鳴っており、これがヨーロッパのオケだったらなどという不満は出ないでしょう。ヒスノイズが若干ありますが、音源をむやみにいじってないということの証かと。
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