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2025年04月09日07:04

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イギリスの戦後について


第二次世界大戦は、イギリスに自信を取り戻させました。戦争によって国民の間に連帯感が生まれ、国家は勝利というひとつの共通の目的に向かって計画経済を実施していました。新しく生まれた国民的連帯と国家による経済管理の組み合わせにより、社会を変革し、すべての人のために福祉と持続的な経済成長を実現できると信じることは容易でした。

戦後政治において国家統制主義が強調されたのは理解できることでした。しかし、当初の中央計画への過大な期待と、その後の個人主義の台頭によって、国は過大な負担を背負うことになりました。中央計画は、資源を迅速に動員するという戦時中の期待には有効に応える事ができましたが、現代社会の複雑化する要求に応える事はできなくなっていった。

ソ連ではこの能力の欠如が顕著に表れました。ソ連は水爆を製造し、人間を宇宙に送ることはできても、品質の高い自動車を製造することも、医薬品の技術革新を促すことも、パソコンを発明することもできなかったのです。

国は、うまくできない領域に迷い込んでしまったのです。国が新しい目的の追求に失敗し始めると、戦時中に築かれた連帯は徐々に失われていきました。そして、人々は失敗を認めようとはしなかったのです。

「権利文化」が出現すると、社会には次々と新しい権利が生まれると同時に、個人や集団は義務を負おうとしなくなったため、国がその義務を引き受けることになりました。しかし、国への要求が中央集権に適さない領域にまで及ぶようになると、失敗が続き、意欲は失せ、個人主義の台頭と同時に国民の連帯は弱まり、国への支持も低下していきました。

アメリカの政治家たちはしばしば「福祉の女王」を非難し、2014年には、ほとんどの住民が給付金で暮らしているバーミンガムのある地域を描いたイギリスのテレビ番組『福祉手当通り (Benefits Street)』 が高視聴率を上げたシリーズとなりました。

納税者は負担を分かち合うことを望まなくなったのです。そして、複雑な仕事をうまく処理できないことに苛立ち始めた政府は、「経済人」にふさわしい政策を採用しましたが、人々の尊敬を取り戻すにはほとんど役に立たなかったのです。結果的に国家が人々の大きな期待に応えることができなかったことで、政府への信頼は損なわれていきました。

このような現象は、西側の主要な民主主義国家に共通して見られたプロセスでした。政治家や政府高官の目的が、グローバル救済主義と高い地位の獲得・維持の二つであるなら、彼らのこだわりは有権者や市民の生活や利益にはほとんど関係がなかったのです。

今日、人々は「国有化」と「民営化」という言葉をまるで正反対の言葉のように使っていますが、これらの言葉は所有権と中央集権化という別個の問題を混同しています。戦後の労働党政権の国有化は、中央政府による集権化を意味し、法律によって、国民健康保険、石炭庁、国民保険基金、国民扶助、中央電力庁が設立されました。

英国運輸委員会は、民間鉄道会社四社を統合しただけでなく、道路輸送や長距離バスのサービスを所有・管理していました。国有化は、民間の鉱山会社を中央政府の管理下に置いただけではなく、たとえば、地方政府が所有していたガスおよび電気事業、公益信託によって運営される病院、労働組合などが運営して福祉を提供しました。

福祉を提供してきた友愛組合などのように、すでに社会的に所有されていた事業体にも同じように中央集権的な管理を行なうものですが、国有化は、民間企業の不正な動機に対する批判というよりも、中央集権的な調整を欠いた活動すべてに対する疑念から行なわれたものでした。この計画のほとんどを設計したのは、ハーバート・モリソンでした。

彼は、すでに公的に管理されていたロンドンの複数の路線バスと地下鉄を統合して、ロンドン交通局を設立したことで名声を得ていました。モリソンは、ロンドンでの経験と戦時中の計画経済の成功から、中央集権化は効率性を高めると一般的に見なしていました。

しかし、彼自身も、また他の人たちも、そのような状況は典型的ではないということを理解していなかったのです。モリソンや、政権を担当した多くの左派政治家たちは労働党綱領の第四条 「肉体および頭脳労働者のために、生産と分配と交換の手段を共有することで、可能な限り勤勉の成果を十分に、そして公平に分配すること」の目的を中央集権的な国家管理と同一視していたのです。

しかし、労働党の最も思慮深い戦略家であったクロスランド〔1918年〜1977年〕 がすぐに気づいたように、そのような政府独占に対する信頼には根拠がないということが証明されました。

ベーカールー線からセントラル線へ地下鉄の乗り換えが簡単にできたり、国内で最も低コストの発電所から電力を一日中供給できる全国規模の送電網を構築できたり(いずれも1939年以前に実施)といった中央管理の利点は、国内のすべての炭鉱や製鉄所や病院を中央からコントロールするようなことにまで生かせるわけではありませんでした。

独占から生じる「ネットワーク効果」を生かせる産業は限られています。イギリスの国有化された産業の中で最も成功したのは、1960年代に北海からのガスでほとんどの家庭のセントラルヒーティングを可能にした全国ガス供給網(新ネットワーク)だといいます。しかし、それ以外には明るい事例はほとんどないのです。

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