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2024年09月15日13:41

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ハロルド・フライのまさかの旅立ち(The Unlikely Pilgrimage of Harold Fry)

 イギリスの作家レイチェル・ジョイスによる小説「ハロルド・フライの思いもよらない巡礼の旅」を、「アイリス」のオスカー俳優ジム・ブロードベント主演で映画化。

定年退職し妻モーリーンと平穏な日々を過ごしていたハロルド・フライのもとに、北の果てから思いがけない手紙が届く。差出人はかつてビール工場で一緒に働いていた同僚クイーニーで、ホスピスに入院中の彼女の命はもうすぐ尽きるという。近所のポストから返事を出そうと家を出るハロルドだったが、途中で考えを変え、800キロ離れた場所にいるクイーニーのもとを目指してそのまま手ぶらで歩き始める。ハロルドには、クイーニーにどうしても会って伝えたい、ある思いがあった。

ハロルドの思わぬ行動によって自身も変化していく妻モーリーンを、「ダウントン・アビー」シリーズのペネロープ・ウィルトンが演じた。原作者ジョイスが自ら脚本を担当。(映画.comより)





<2024年7月28日 劇場鑑賞>

 歳を取れば年寄り二人で住むってことも多いです。うちはまだ子供がいますが、年齢的にも他人ごとではありません。なんとなく穏やかに暮らしていたのに、ある女性から手紙が来たからと言って、夫が突然家を出て800キロもの距離を歩いてその女性に会いに会いに行こうとするなんて、ビックリしますよね。奥さんはショックでしょうね。それも、なんの準備もせずに突然。着替えとか余分のお金とか、そんな用意もせずに。ちょっと考えられないですね。足だって鍛えてないのに(笑)、行けると思ってたのでしょうか。



<ここからネタバレ>

 結論から言うと、行けます。靴も足もボロボロになりながら。なぜそこまでして彼女に会いに行こうと思ったのか。もちろん、ガンで余命が少ない彼女に「歩いてゆくから、それまで生きていて」っていうメッセージを送ったから、ということもあるのですが、実は昔、彼女に助けてもらったことがあったのです。

 同じ職場で働いていた頃、職場のもの(何だったか忘れたが)が、崩れたのだったかなんだったか、とにかく壊れるのです。上司は激しく叱責。子供が生まれたばかりでお金が入用だったハロルドに代わり、クイーニーが「私がやった」と罪をかぶり、責任を取って職場を去ったのです。仕事を失うのが怖くて、何も言えなかったハロルド。一生の悔いが残ります。

 そして、この映画にはもう一つの出来事が。実は、ハロルドとモーリーン夫妻は、息子を失っているのです。思春期に人生について深く悩んでいた息子。ハロルドは真面目に働いていたし、お母さんも普通のお母さんでした。決して過剰に厳しいとか、甘いとか、そんなことがあったわけではなかったようです。両親は「思春期とはそんなもの」と、あまりにわかったようなアドバイスを送ることは控え、息子を観察しながら気を遣っている感じでした。息子は成績もよかったのですが、深く悩む姿勢は変わらず、とうとう学校をやめて薬に溺れるように。両親はその都度援助の手を差し伸べていたのですが、願い届かず、ある日息子が首をつっている姿を発見してしまいます。

 悲しすぎます。これはシャラメ君の「ビューティフル・ボーイ」でもそうだったし、ヒュー・ジャックマンの「the son」など、こういうことを描く映画は他にもあったと思うんだけど、本当に、みんな一生懸命で、悪い子なんて誰もいないのに、どうしようもなく嚙み合わないことって、ありますよね。とても悲しくなります。なんでだろうと思います。自分も思春期の息子がいる母親。もし自分が、と思うと息苦しくなります。どんなに必死になってもダメな時はダメなんですから。こんなことをされたら、私は後を追うかもしれません。

 

<ネタバレ終わり>



 とにかくハロルドは歩きます。お金がなくても、ボロボロになっても歩き続けます。するとそのうちSNSで話題になり、応援隊がたくさんついて来るようになります。どこでどう注文したのか、揃えのTシャツを着ていたり、旗を掲げていたりします。しかし、世間的に目立つことも有効な手立てかもしれませんが、やはり進みが遅くなります。そのうちハロルドはこっそり一人で出発します。

 しかし、それにしても、イギリスの若者って、こういうこと好きですね。そしてすぐに集団になってそのおじさんと行動を共にする。「君を想い、バスに乗る」というティモシー・スポールの映画でもおんなじことが起きてましたね。みんな、仕事、フレキシブルなんですね(笑)。

 映画なのでハッピーエンドですが、私は黙って行ってしまったハロルド、ちょっと優しくないな、と思いました。ちゃんとした理由があるのだから、そう告げてくれれば奥さんだって悩まずに済んだのに。むしろ協力するのに。まぁ夫婦関係はそれぞれだろうけど。

 ということで、「ザ・イギリス映画」な作品でした。
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