（観た映画の感想がたまってるのだが、後でまとめて書くとして、昨日観た2本を先に書く）
タイトルでオチバレしてるのだが、まったく問題なし。今年のベスト10入り確実。
公開初日の5月17日、TOHOシネマズ池袋で朝の回。30人強といったところ。時代劇なので鬼平みたいに老人ばかりかと思ったがそうでもなかった。
主人公の名前が柳田格之進というので「はて？聞き覚えが」と思ったら、元になっているのが落語の「柳田格之進」なんですね（おおもとは講談らしい）。
しかし元の「碁仲間（碁敵）」「消えた五十両」のエピソードに復讐譚を融合させ、随所にエピソードを加えて無理なく膨らませている。これはもう今年の脚色賞でしょう。
いや、原作（脚本家の書いた小説）に忠実だから脚色じゃないのか。
役者もみんないい。
草��剛は私は今まで感心したことはないのだが、これはいい。前半の冷静沈着で諦念を貼り付けたような無表情。対して後半の激怒する復讐鬼。この対比が素晴らしい。
清原果耶。こないだの「青春18x2」では、「ああ、大人になったなあ」というか年取ったなあというか失礼ながら老けたという印象だったのだが、ここでは17〜8にきちんと見えます。
小泉今日子はいいに決まってるのだが、なるほどこういう役もできるんだなあと感心しました。今なら「必殺」の山田五十鈴的なポジションもできるのではないか。やらないだろうけど。
國村隼はいつもの國村隼です、はい。まあ序盤のやな奴とそれからのいい人との両方に説得力がある演技なんだけど、まあ國村隼だからねえ。
今回は悪役に徹した斎藤工。劇中「六尺の大男を見なかったか」というセリフがありますが、ほんと大きいんだね。知らなかった。実に憎々しいんですが、後半の展開、セリフで「待てよ…」となるんですわ。
市村正親も終盤ちょこっと出るんですが、存在感とんでもない。
そして何より私が嬉しかったのは、奥野瑛太です。この人はチンピラとか小悪党の役ばっかりやってたような気がするけど、吉田恵輔監督の「空白」、終盤でとてもいいセリフがあって感動した。今回は「いい役もらって良かったなあオイ」と、親戚のおじさんモードに入ってしまいました。調べてみたら「SRサイタマノラッパー」のMC MIGHTY役だったんですね（その後の3作目では主役）。まったく気が付かなかった。Wikiってみるとあまりの出演作の多さに驚くよ。
時代劇ではあるが、チャンバラは多くない。あっても様式的ではない。そういう意味では鬼平の方が様式味が多かったね。なんかこう本気で戦ってるふうで、さすがは白石和彌監督と思いました。全般に白石テイストは薄くて、頼まれ仕事なのかなあと思ったりしたけど、すごくよくやってると思う。トレードマークの「本気で降らす雨」も健在でした。
何度も唸った傑作。観てよかった。
＃腕一本落とされたら泣き喚くか気絶すると思うんだけど、どうなんでしょう。
＃江戸時代に囲碁があんなに大衆娯楽だったのか、将棋はどうだったんだ。草場さんに聞いてみたいところ。
追記：この映画の最大の弱点と私が思うのが他ならぬ碁がテーマになってること。だってわかんないんだもーん。私だけかもしれないが。
劇中チャンバラよりはるかに頻繁に出てくる碁を打つシーン。「ははあ、そこに打ったか」「その手はどゆこと？」「これは相手が死んだな」みたいな感想を抱きにくい。というより全然抱けない。
唯一最後の必殺技だか起死回生の一手だか意表をついた妙手については序盤に説明がてら出てくるので「あっこれか」とは思うのだが、理屈がわからないのでなあ。
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