【映画】ゴジラvsコング 新たなる帝国

レビューを読むと『内容は薄いが迫力満点』的な意見が多い。予想通りだし怪獣映画はそれで充分なので構わない。幾らか読み進めてみたが、『迫力』を絶賛する意見が圧倒的で、否定的な意見は殆ど無かった。
内容の薄さを補って余りある迫力の映像って事か。そこまで言うなら数年後に小さいテレビ画面で観るより、どうせなら今、劇場の大スクリーンで観るのもいいだろう。
最後までオッペンハイマーと迷った結果、ゴジラvsコングを観た訳だけど、いやはや、こんなに薄っぺらいとは思ってもみなかった。観終わって何も残らない。迫力ある格闘シーンってのも、なんかアメリカンプロレスみたいに大袈裟で、そらそう来たら、そうなるやろ？ってお約束の展開ばかりで、分かっててその展開にハマるもどかしさ。吉本新喜劇で『そこでそれを待っとんねん』ってお約束通りがスカッとハマるタイプと、『オチ分かってて何がおもろいの？』と冷めちゃうタイプで評価が真っ二つに割れるのと同じか。
格闘シーンの絵づらは確かに綺麗で迫力あったけど、そればっかり延々と続けられてもね。10分も観てたら飽きちゃうな。

このシリーズは全く観てないので他は知らないが、今作はコングが主役な感じであり、ゴジラ要らねんじゃね？と正直感じたが、それはあくまでシリーズの中の１作品であり、今回はコングと悪役ボスとの権力闘争が話の軸となってるから、コレはコレで良いのかもしれない。前作や、或いは次作はゴジラの出番も多いのだろう。

それにしても19世紀じゃあるまいし『地球空洞説』って設定には驚かされる。今更？逆に１周回って良いのかな。
後は、ミニラみたいな子供のコングも出て来るのだが、これが凄まじいDVw ハンパ無いよ。主役コングがミニコングの足首を掴んでグルグル振り回し、それを武器代わりにして敵をブン殴っちゃうんだからw
あらら、親子関係みたいな特別な感情が湧いたのかな？とか思っていたら殺しちゃうのか。それにしても残酷過ぎる描写だな。とか思って観てたら、ミニコングが普通に平気な顔してて腰を抜かした。
あれで平気って事は、言い換えれば相手も平気って事になるよな(実際平気だった訳だけど)。どういう身体の構造した生き物なんだ？
てか殺戮シーンじゃないからと言って、子供の足首を掴んで振り回し敵に叩き付ける、なんてバイオレンス描写、今の時代OKなんだろか？

冒頭と言えば本当に最初の方で、コングがオオカミみたいな動物と戦い、捕まえて両腕で引きちぎるシーンがあるのだが、引き裂かれた身体からは草の様な、海苔佃煮の様な、濃い緑色のモノがぶちまけられる。
え、干し草？なんかサラサラしてるけど。生物ではなく、藁人形が呪いで動いてるとかって話？一体どういう世界観の作品なんだろうと推理や確認の方に気が散って、映画に入り込めなかったな。

勿論悪い所ばかりではない。冒頭のゴジラの登場シーンはカッコ良かった。ローマに現れたクモみたいなカニみたいな節足動物系の巨大怪獣との戦い。ゴジラは口に触手を巻き付けられるのだが、それごと熱戦で吹き飛ばす強引さには痺れた。そういう『小賢しい』攻撃を丸ごと吹き飛ばす豪快さがあってこそ怪獣王である。
その後、コロシアムの円形競技場の形に合わせてスッポリ丸まって眠るゴジラが、ネコみたいでめちゃくちゃ可愛かった。
そらゴジラだって寝る時は無防備になるんだし、動物だから不安や警戒心ってのは当然あるはず。『こりゃ良い寝床を見つけたゾ。安心安心♬』みたいなウキウキ感が伝わって来て微笑ましかったな。

クライマックスではコングと並んで全力疾走するシーンがあったけど、これはやっぱり違和感あったなぁ。のっしのっしとゆっくり歩いて来るからこそ生まれる重量感や強大さ、そこから来る圧倒的な余裕こそがゴジラのイメージだけど、一生懸命頑張って走るとか、そんなあたふたした姿は似合わない。ただ全力疾走が必要なシーンだったし、ギリギリ許せるかなって描写だったので、そこは多分製作者側も出来るだけゴジラのイメージを守りたいって気持ちがあった様な気がする。あれ以上俊敏に走り回られたら元祖ハリウッド版ゴジラの『大トカゲ』に成り下がる所だったけど。

モスラは神々しさ全開過ぎであまりのキラキラCGが浮いちゃってるし、デザインが『コンチュウ』そのもので気色悪い。特に後肢が人間の脚みたいで、そこしか目が行かなかった。



帰宅してもう一度レビューを確認したら、どうやら俺が最初に見てたのは前作のレビューだったらしく、改めて『新たなる帝国』を見直したら、まぁまぁそんな感じの評価であった。