mixiユーザー(id:7410632)

2024年05月06日17:39

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4月の。

 4月に観たのは『刑務所の中』。

●『刑務所の中』
 銃刀法違反で逮捕された主人公は刑務所内での起伏に乏しく代り映えしない灰白色な生活を1日1日と過ごしてゆく。刑務作業、免業日、レクリエーションの野球、甘味への渇望、正月の御馳走への思いなど、ぼそぼそとした日常会話とモノローグで形成される日々。
 タイトル通り、刑務所の中と云う限定された空間での淡々とした日々を淡々と綴る映画。規律はとても厳しく、決められた規則から逸脱せずに進行する型に嵌められた日々。貧富の差もない単色系の人間関係。まぁそんな中でもヒトが生きて居る以上、ドラマもそれなりに生まれるよね。そんな映画。
 原作は確か時間軸を行きつ戻りつしつつ『何で逮捕される羽目になったのか』をケッコウ丁寧に描いて居た気がするので、それを冒頭のサバゲシィンだけで済ませるならいっそあのシィンすら必要ないのじゃ……て少しだけ思ったけどまぁ『娑婆でどんな人間だったか』は描いておくべきコトガラだよね。
 話は懲罰房に入れられた主人公が其処で意外な楽しみを見出すと云う、フンワリした感じで終わる。「どんな場所でも、どんな環境でも楽しめることはあるはずだから、それを見つけるの」昔書いた戯曲で登場人物の一人が云ったセリフを思い出した。掴みどころがあるようなないような、そんな空気の映画。
 この映画、続けようと思えば延々と続くし、それこそ主人公の出所まで描くコトだって出来るハズで、其の辺原作がどうだったか流し読みしかして居ないので知らんけど、ドラマチックな展開を極力排除して、その上で残るベースと云うか地肌と云うか、其処を掬い取りたかったのかな。そんな気がする。
 いずれにしろこの終わり方は悪くはなかったよ。何かこう上手く云えないけど、主人公の彼にではないにしろ、今この瞬間もああ云った日常は当然続いて居るワケで、そう云う『続いて居るんだよ』的な思いを残させるいい終わり方だと思う。何の批判も問題提起もない、フラットな『あるんだな』感は好み。
 窪塚洋介が出て居た。一瞬でぱっと判るレベルによく顔を覚えて居たな僕。殺人犯、子煩悩で子供にミルクをあげて居るトキに逮捕され、「子供抱きてえな……でも出る頃にはそんな年じゃなくなるかな」て呟くシィンが切なくて印象に残る。そうね、間違いなくもうそんな年ではなくなるよね。仕方ない。
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