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2024年03月07日14:03

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2月の。

2月に観たのは『REM』。

●『REM』
 不眠症の夫。妻の失踪。刑事や教え子や互助組織の医者や妻の友人や妻の浮気相手が入れ代わり立ち代わり訪れて彼の生活をかき乱す。トイレやシンクや風呂は詰まり地下室は酷い水漏れで、部屋の隅から見つかった指は勝手にはい回り夢と現が入り乱れ……そんな話。
 これも古いレンタル落ちVHS中の1本だったけど割かし好みの映画だった。こう云う現実と幻覚の混じり合うヤツに弱い。何処から『あちら側』だったん?登場人物の中に『現実の人間』はどのくらい居たん?少なくとも学生だけは現実の存在な気もするけど根拠はない。あーでもそうか、学生も薬飲んでたよね。刑事と一緒で。確か。アレにも意味はありそう。……やぱ全部『あっち側』だったりしてね。
 妻の不倫と夫婦間の諍い。不眠症。睡眠薬の摂取。どれが一番先で原因だったのか。各種排水口の詰まりや地下室の水漏れと戦い、這い回る指を始末し、無人に部屋で響くピアノの音を聞き、ベッドの上の巨大な赤ちゃんや殴り込んで来た妻の浮気相手を殺し、棚の薬物を狂ったように貪り喰い、血塗れの手を刑事に差し出し、混沌の果てに彼は到達する。あふれる光の中で穏やかにピアノを弾く美しい妻に。
 あそこが彼の天国なのはまぁ間違いないよね。かつて其処に居て、一度失われ、そしてこうまでしないと辿り着けなかった、主人公の安息の地。天井の穴が不穏だけど。其処に吸い込まれて終わるし。
 不穏と云えば最初にシンクだっけ?バスタブだっけ?詰まったトキに「……あー」と思ったのだよね。明示はされて居ないけどアレは妻を自分で殺して仕舞い、殺して仕舞ったトコロから狂気と混沌がスタァトして居るのかもね。脳の自己防衛機構。犯罪捜査を妄想し、浮気相手が犯人と云うストーリィを妄想し、でも溢れ出す不安が水や指や赤ちゃんの姿でじわじわと侵食し、そしてもしかしたら其処から救われたくて学生を妄想したかも知れず……そう考えると妻の浮気相手は犯人としての、ギルティな存在としての自分、なのかもね。そうすると最後近くで主人公が刺したのは浮気相手ではなく……なのかもだけど。
 そして、彼女が妄想にしろ現実にしろ、学生を拒絶したコトで辿り着けたラストシィンであるコトは間違いのないトコロ。だと思う。最初にも云ったけど割かし好みの映画ではあったよ。ちょとだけクローネンバーグかリンチぽかったな。どっちのデヴィッドだろうな。半々チャンポンくらいかな。あ!あとアレだ、全体的な雰囲気は『複製された男』なんかも思い出したな。空気が結構、似て居ると思う。以上。
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