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2024年04月28日19:34

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【ブックレビュー】眠っている間に体の中で何が起こっているのか

眠っている間に体の中で何が起こっているのか
西多昌規著
草思社


 数年前まで、仕事が終わるのが深夜で、それから夜食&飲酒、で、就寝は2時とか3時でした。現在は諸事情により(笑)早寝早起きの生活となり、ずいぶんと健康になったように思います。酒・煙草・過度なスポーツを止めた、というのもあるかもしれませんが。ただ、悪夢にうなされるのは相変わらずで、夜中に叫んでは家族に迷惑をかけています。自分の大声で目が覚めた何て事はしょっちょうですね。そんな訳で夢とか睡眠の質に興味を持っていたところ、本書が目に付きました。


 著者は、早稲田大学睡眠研究所所長の精神科医。睡眠の専門家ですね。アスリートのメンタルケアに携わる中で、「睡眠は脳だけではなく、体すべてに影響を与える重要極まりない生活習慣であることを再認識させられました」(P7)という経緯を語っています。また、著者自身も睡眠時無呼吸症候群患者で、検査や治療を体験しているのも解説や提言に重みを増しています。


 第1章で睡眠・生体リズムの基礎としてノンレム睡眠とレム睡眠、ホルモンや神経等について説明した後、第2章から、内分泌系、免疫系、消化器系、呼吸器系、循環器系、脳神経系、筋骨格系、泌尿器系、皮膚、という順で、眠っている間に体内で起こっている事を具体的に説明しています。睡眠不足は、ホルモンやミネラルのバランスが崩れ、感染症に罹りやすくなり、精子が減少し、全身が慢性的な炎症状態になり、と、悪い事ばかりですね。

 私が知りたい悪夢につきましては、レム睡眠時にモノアミンの働きがなくなってしまうという説の紹介の後で、


・・・・・
 また、モノアミンがはたらかないと思考や判断が鈍ってしまいます。夢で荒唐無稽なストーリーを経験していても疑問に思わないのは、モノアミンのはたらきが停止しているからだと考えられます。
 しかし、レム睡眠中にモノアミンがはたらかないことで、メリットもあります。覚醒しているときには思いつかないアイデアやイマジネーションを得ることもできます。また、不愉快な記憶を忘れる忘却にも関わっていて、ノンレム睡眠やレム睡眠中でもモノアミンが機能しないことで、嫌な記憶が定着しないようにしています。
・・・・・(P218〜)


 夢を見るのは脳が記憶を定着させたり破棄したりという作業を行っているからというのは定説になっていると思います。私が昼間に経験した嫌な事や嫌な感情が記憶として定着しないように悪夢を見ている、と考えれば、悪夢でうなされるのも仕方のない代償と納得するしかないでしょうか。その割には嫌な長期記憶がたくさんありますが、悪夢不足だったのか、途中で起きてしまい破棄失敗だったのか…。

 先日まで某公共放送の某番組でフロイトの夢判断を紹介していましたが、今だにフロイトの精神分析を科学・医療として真面目に語っていたのでびっくりしました。文学や哲学としてはとても面白いのですが…。本書でも「(前略)レム睡眠の発見や神経科学の進歩とともに、フロイトの精神分析学的な解釈は批判されるようになりました。」(P220)としています。


 実は本書を読んだもうひとつの理由がありまして、化粧品関係の仕事をしていますので、第10章「眠っている間に皮膚では、何が起こっているのか」で新しい知見を得て活かせないかと思ったからです。私が習った従来の定説よりも睡眠の大切さを教えられました。お肌のためには、寝相や枕カバーの材質にも配慮しなければなりませんね。


 扱っているテーマや内容は専門的ですが、「(前略)読者の皆さんが体内を冒険しているような感覚で読めるように工夫しています。」(P6)とある通り、とても読みやすく感じました。また、重要な用語等は、すでに説明していてもその都度繰り返し説明してくれますので、遡って調べずに読み進める事ができる親切設計な点も感心しました。


 悪夢でうなされるのは嫌ですけれど、異常な状態ではなく、脳の正常な働きだと安心して眠りたいと思います。できれば、楽しい夢とかえ〇ちな夢とかを見たいですけどね。

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