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2024年04月18日15:24

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【アニメ感想】響け!ユーフォニアム3 第二話 感想

みなさん、こんばんは。れんじゃくです。

『響け!ユーフォニアム3』の第二話の感想です。

第二話、本当にすごかったです!なんと言うか、原作にあった大事な要素が短い尺の中に見事に落とし込まれており、実に物語が豊かで、観終えた時に映画一本観たくらいの満足感がありました。

すべての原作付き作品は、これをお手本にしたらいいのにとすら思ったほどです。

では、具体的に、私が個人的に感じたところを挙げていきたいと思います。

なお、前回もご注意申し上げましたが、原作と比較しながらアニメについてお話ししていますので、場合によっては、ネタバレになるところがあるかと思います。その点だけは、どうぞご注意をお願いいたします。

では、始めさせて頂きます。



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原作では、転入生である黒江真由は、新学期初日に担任の美智恵先生に紹介され、久美子たちと知り合うのですが、アニメでは既に第一話のCパートで久美子と出会っているので、ここでは意味ありげな視線の交換と言うシーンになっていました。
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人柄的にもお人好しで、吹奏楽部の部長と言うこれから吹奏楽部に入部するとしたら、親しくなっておいて損はない久美子を選んで、敢えて懐に入っていく感じは、言い方は悪いですが、度重なる転校で苦労するうちに身に着けた、黒江真由なりの処世術なのでしょうか。
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久美子と初対面の時の態度もそうでしたが、真由の立ち居振る舞いすべてが、他人に警戒心を起こさせないように配慮されているもので、だからあれほど自然に新しいクラスにも溶け込んでいるのだろうと思ったりもします。
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席が近いと言うこともあるでしょうが、真っ先に仲良くなるのが釜屋つばめであるのも、偶然と言う以上のものがあるのではないかと思われて仕方ありません。久美子の場合と同様に、真由は新しい学校での生活を快適なものにするために、利用できる存在として、つばめを本能的に選んだのではないかと考えてしまいます。
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原作からの先入観もありますし、私の見方が意地悪すぎるかもしれませんが、それでも黒江真由のそういうところを、我らが久石奏ちゃんは見抜き、久美子に代わって警戒しているのかもしれないなと思うのです。

私は、奏ちゃんの判断を尊重したいです!

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それにしても、見慣れた北宇治のブレザーの中に、黒色の真由のセーラー服がぽつんと存在している絵には、どうしても様々な意味が込められているとしか思えません。転校したばかりの真由の制服が違っていることは当たり前なのですが、こうして映像で観ると、思ったよりも意味深に見えて来て面白いです。

原作では早々に北宇治の服装に変わり、むしろ真由が北宇治に溶け込んでいくことに、久美子がふと焦燥感を覚えるのですが、アニメでの真由は、敢えてこのまま違う制服で通すのではないかと、そんな風にも予測しています。

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ただ、黒江真由が全国大会常連の強豪校、聖良女子からの転入生であることの凄さが、この時点ではあまり強調されなかったのがちょっと意外でした。真由と言う少女を語るのに、それはとても重要な要素だと思いますから。
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原作では、久美子たちが一年生だった時の「えきびるコンサート」で共演した聖良女子の演奏で、まだまだ初心者だった葉月がそのサウンドに深く感動し、涙を流したことなどを交えながら、聖良女子の凄さが語られていました。それが、アニメでは久美子のモノローグで簡単に触れただけだったのには、もっと触れても良くないかな?と感じました。

部長であると同時に、北宇治のユーフォ奏者としてはトップである久美子に対して、気を遣いながらも、言動の端々から北宇治を遥かに上回る実績を誇る、聖良女子でレギュラーメンバーであった自負が垣間見える黒江真由の姿には、久美子以上に視聴している我々にとって感じるところがあります。

黒江真由の天使のような笑顔には、心の底から邪気がないだけに質が悪いです。

真由の言う、自分のせいで誰かが楽器を変わったり、大会に出られなくなったり…と言う発言には、自分が誰かの風下に立つことになり、自分が楽器を変わったり大会に出られなくなることはまったく考えていないと言うことにほかなりません。自分がかつていた聖良女子でならともかく、北宇治程度ではあり得ないと言っているようにも聞こえます。それが、たとえ、久美子が相手だとしてもです。

ただ、ひとつ思うのは、アニメでは普段の謙虚な感じとは違う、こと演奏に関しては強い真由の物腰で、聖良女子で培った真由の深い自信を表現したかったのかもしれません。確かにその方が、聖良女子の強さを言葉にして語るよりも、ずっと粋な表現ではあります!


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原作から改変された表現と言えば、低音パートの新人たちが基礎トレーニングをしている場面であったコレは気になりました。

「枕草子」を元ネタにしたすずめのギャグですが、アニメでは「香炉峰」を「回鍋肉」に言い換えるだけの、身も蓋もない、安直なダジャレになっていて、正直、私も葉月のように、これはイケてないなと感じました。
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そもそも、このシーンでのダジャレの元ネタは「枕草子」にある「雪のいと高う降りたるを」からです。

原作では、北宇治の清少納言を自称した釜屋すずめは、どこが清少納言か!と突っ込まれた際に、黙ってカーテンを持ち上げて外を眺めます。

これは、「枕草子」に描かれている、中宮定子と清少納言のやり取りが元ネタで、中宮定子から戯れに「香炉峰の雪はいかが?」と問われた清少納言は、黙って御簾を跳ね上げて外を眺めたエピソードになぞらえています。

それを奏ちゃんだけが気付くことで、奏ちゃんが演奏だけでなく勉学も如才なくこなしていることと、おちゃらけキャラに見えていても、実は釜屋すずめもちゃんと古文も勉強するくらいな真面目さがあることも分かると言う、深いエピソードになっていました。

それに比べると、弥生に香炉峰を問われたすずめが、言葉にして返すのがすでにダサいのです。

この「枕草子」の一節のキモは、中宮定子の問いかけに、唐代の詩人・白居易の漢詩を踏まえて、言葉ではなくその仕草で応えた清少納言の教養の深さと粋な返しに人々は感銘を受けるわけです。
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ただ弥生とすずめの他愛もないやりとりがあって、佳穂は笑い転げ、上級生一同は呆れるだけでは、趣もなにもありません。判りやすさを重視したのかもしれませんが、ここは実に残念でした。


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こちらは、練習後に職員室で吹奏楽コンクールの自由曲について意見を訊かれる久美子たち幹部三人の場面です。

滝先生の判断にすべてを委ねることを信条としている麗奈に対し、滝先生の意見の真意を知ろうとする久美子の対比が既に描かれています。信念を持っている麗奈に対し、久美子のそれはまだまだ萌芽のようですが、それでも、部長と言う立場となった久美子にも変化が現れています。これが、どう育つのかが、この第三期の大きなテーマのひとつでしょう。
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この時点では、まだまだ明確ではないですが、同じ方向を向いていたはずの久美子と麗奈の間に齟齬が発生するとしたら、やはりそこには滝先生の存在が関わるはずです。


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麗奈は久美子と秀一が二年生の時に交際をし、そして別れたことを知っているから、吉川優子前部長は、久美子と秀一を部長と副部長に任命した際に、ドラムメジャーとして麗奈を幹部に加えたのではないかと一話で言っていました。

実際のところは、確実に北宇治の音楽を向上させるが、その強烈な個性で周りを焼き尽くしてもしまう麗奈に対し、久美子が麗奈に圧倒されないように久美子の補助ができる人材として、秀一を幹部に加えたのではないかと私は思っています。

剛の麗奈に対しては、柔の秀一が、思いの外、良いコンビになっていたのも事実ですから。無条件で久美子のために動けるのも秀一だけですし。


■次のシーンでは、雨のためにマーチングの練習が体育館の中で行われている様子が描かれます。
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練習の様子をキャットウォークから見下ろしている久美子に、聖良女子のジャージを見せびらかす真由です。ちょっとくだけたその感じがとても可愛らしいです。こうしたあざとさは、原作を読んだ際に得た真由像とはちょっと違う感じなのですが、こうして映像と声の演技で観ると実にしっくりきます。真由のキャラがどんどん膨らんでいくのが楽しいです。こういうのはアニメ化ならではの醍醐味です。

聖良女子のモデルとなった精華女子高等学校吹奏楽部は、座奏だけでなくマーチングでも全国トップの強豪校です。しかし、その精華女子のマーチングは、他校のように特別に誂えた衣装ではなく、ただの学校指定のジャージで行うのも特徴となっています。
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普通の学校ならばお金ないのかな?って思ってしまうところですが、なにしろ精華女子です。これだけの強豪校ともなると、ただのジャージがとてつもなくカッコよく見えてくるものです。

久美子が「かっこいいよね」と言ったのも、それを踏まえてのことかと。
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原作だと、真由は新一年生と同じく、買ったばかりの新品の北宇治のジャージを着ていましたが、アニメでは敢えて聖良女子のジャージにしたのは、そんな精華女子へのリスペクトがあるのでしょうが…

それと同時に、先に述べた真由の黒セーラー服と同じく、ここでも真由の異質さを強調する意味も大きいのではないかとも思いました。

精華女子のジャージが鮮やかなブルーなのに、この聖良女子のジャージは黒色を基調としているのが、なんとも意味深ではないですか。
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その場面で、久美子と真由が二人きりなっているところに割って入る奏ちゃんです。真由のことを信用していない奏ちゃんは、久美子を真由と二人きりしておいて、いつの間にか真由の手管に久美子が落ちる事を心配しているようです。
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真由がどれだけ言っても、頑なに「黒江先輩」呼びをやめないのは、原作小説にあった、かつて中川夏紀のことを認めていなかった奏ちゃんが、頑なに「中川先輩」と呼んでいたのを思い出させます。久美子のことは早い段階から「久美子先輩」と呼んで、そこに差をつけていましたから余計です。

私の事前の期待通りに、奏ちゃんが真由から久美子を守ろうと陰に日向に動いているのが、アニメだとよく伝わってきてとても嬉しいです。

■この練習のくだりでは、もう一つ、印象的な出来事がありました。
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第二話にして、釜屋すずめの強烈な存在感が随所に発揮されています。三年生の部長に思い込みだけで意見できるとか、どれだけの強心臓なのか…恐ろしい子です。姉のつばめは相当振り回されてきたでしょうから、すずめが、自分の目の届かないところで何かやらかしていなかといつも心配してるのも無理ないと思わされます。

久美子の言葉を受け付けようとしないすずめですが、深呼吸しようと言われたら素直に深呼吸するし、自分から「息しました!」と申告するところもなかなか可愛かったです。
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つばめがやってきて、すずめの誤解を解いた時も、自分の態度にはまったく悪びれるところがなくて、これは厄介な子だなと思う一方で、先輩から見たら可愛いヤツだと思わせる可愛気もあります。なかなか得な性格をしていますw


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そんな、様々なことがあった今日の練習から解放された久美子です。
独りで、いつものベンチで黄昏れています。

なんだか、『誓いのフィナーレ』で描かれていた、一年前の久美子のセリフ、
 「めんどくさいなー、一年生」
を連想させるような久美子の表情です。

でも、このシーンは、そんなことよりも久美子と麗奈の会話こそが素晴らしかったです。
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昨年も一昨年も、指導者である滝先生の一存で決定されていた、コンクールで演奏する自由曲を、今年は久美子たち幹部の判断に任せた意味について、麗奈がその考えを久美子に伝えます。

曰く「小笠原先輩とあすか先輩の関係じゃ無理で、優子先輩と夏紀先輩でも難しくて、でも、この三人ならって…」と言うところ、なるほどと思わせる説得力がありました。

原作でも、アニメと同様に自由曲の選択に幹部三人の意見を、滝先生は取り入れています。しかし、それは北宇治高校吹奏楽部が成長するとともに、最初は滝先生が事細かに指示していた部分を、どんどん生徒たちに任せるように変わっていったことが語られている中で、でした。

立華高校吹奏楽部を見てもそうですが、強豪校と呼ばれる学校の部員たちは、実に自主性にあふれています。久美子たち幹部に選択を委ねられたのも、これから強豪校へと変わろうとしている北宇治の姿を描いている描写の一環であると感じ、そこにだけ殊更に意味を感じてはいませんでした。

でも、アニメではその意味をさらに深堀りすることで、久美子が一年生だった時よりも、二年生だった時よりも、この三年生編ではさらに上の物語になるだろうという期待を抱かせるシーンとなっていました。

■滝先生が自由曲の選択を三人に委ねたことへの受け取り方は、三人の間で、決して同じではありませんでした。しかし、三人が別々に考えたにも関わらず、三人の結論は同じでした。

この話のサブタイトルは『さんかくシンコペーション』です。

この『さんかく』が指すのはやはり久美子、麗奈、秀一の三人でしょう。

『シンコペーション』は拍節のベーシックな強弱のパターンを、敢えてズラすことで音楽に効果をつけることです。

久美子、麗奈、秀一の三人も、同じ目的意識を持ち、同じ方向を向いて進みながらも、時に歩調が揃わずに気持ちがバラバラになりそうになりますが、そんな規則正しい歩調が時にズレてしまうことからも、思わぬ効果を得て、より三人が奏でる音楽が良いものになるだろうことを暗示したサブタイトルなのかな、と思いました。

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それにしても、久美子、麗奈、秀一の三人が揃って、滝先生の示した選択肢の中で、一番の難曲である『一年の詩 〜吹奏楽のための』を選んだシーンは、雨雲が切れて夕日が差し込む映像の美しさと、『一年の詩』の第1楽章『春、新たなる息吹』の冒頭部分も相まって、実に素晴らしかったです。これがTVシリーズのクオリティかと思うと、もう、さすが京都アニメーションとしか言いようがないです。

最初にも言いましたが、この場面での高揚感と満足感は、本当に一本の映画のクライマックスに匹敵します。


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吹奏楽コンクールでの演奏曲が部員に伝えられた際に、以前の行き掛りはすっかり解消した態度で「音楽のことだからドラムメジャーが」と、麗奈を立てる秀一です。

さりげなく入っていますが、誰よりも協調性に優れている秀一のことを描いていてとても良いです。こういう演出をちゃんと入れてくれるところが好きです。
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そして、麗奈は秀一に言われただけでなく、ちゃんと目線で部長である久美子に了解を得てから前に進むところも好きなのです。約100人の組織を運営するのですから、こうした心配りは大事なのでしょう。そういうの、勉強にもなります。
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この場面での麗奈のスピーチは、原作では新一年生が入ってきた時にされたものと同じ内容でした。尺の関係で原作の展開からはかなり編集されているアニメですが、ちゃんと原作の重要な要素を、こうして実に良い場面に入れてきます。編集が実にうまい!こういうのはシリーズ構成である花田十輝の仕事なのでしょうか。イイです!
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麗奈の強いスピーチに、上級生も下級生も共に感動する部員一同ですが、その中でサリーちゃんだけが、ちょっと浮かない顔をしています。『響け!ユーフォニアム』では、その話のラストに、ちょっと気になる絵を一瞬入れて、次の物語への引きにすること多いです。

ここでのサリーちゃんの表情は、まさに第一期第四話のラストで、滝先生の指導で初めて北宇治が合奏らしい合奏ができるようになり、サンフェスに向けて部員たちの気持ちが高まる中、一人だけ浮かない顔をしていた斎藤葵のことを思い出させます。
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ラストシーンも神社でしたし。これは、次回のメインがサリーちゃんであることのを暗示かと思われます。
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■しかし、この第二話は、第一話以上に物語がぎっしり詰まっていました。

観終えた時に、本当に25分しか経ってないの?と思わされたほどです。

原作の該当部分を読み返すと物語はかなり進んでいたことが分かりますが、構成が巧みなために、駆け足になったり大事な部分がおざなりになっていないところはさすがです。やっぱり、原作への理解が実に深いのを感じます。

それでは、第三話を楽しみにしながら、今日のところは終わろうかと思います。

ここまでお付き合いいただきまして、本当にありがとうございました。
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