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2024年04月03日18:09

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「シロッコと風の王国」

『シロッコと風の王国』
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TAAF2024長編コンペで鑑賞。
2023、フランス・ベルギー、1:20、ブノワ・シュー監督
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これは素晴らしい。以前から予告編などを観て期待していたが、期待を大きく上回る作品。観られて本当に良かった。

お気に入りの本『風の王国』の中に入り込んでしまったジュリエット(4歳)とカルメン(8歳)の姉妹を描く異世界冒険譚。
きちんと手順を踏んで、往きて還りし物語として描く王道のファンタジー。
異世界に入り込むと姉妹に猫耳と尻尾が生えた猫人間スタイルになる楽しさ。
その描かれる世界の素晴らしさといったら。
イマジネーションとロマンティック、そしてファンタジー。
ファンシーでカラフルな絵柄と心地よい動き、そして音楽。
風の魔法使いシロッコのデザインのユニークさと、世界に溢れる怪しいセンスの生き物たち。(ネット検索したけれど、画像が見つからず)
風の世界のヒロインである鳥の顔をした歌姫セルマが巨大なパラグライダー(?)を両腕で支えて滑るように空をいく爽快さ。
とにかく観ているだけでアニメーションとして最高に素敵で満たされる。
本の中の世界に実は現実世界における死の影が差しているのもファンタジーに深みを与えている。
風の王国の支配者であるシロッコがおませなジュリエットにたじたじとなってしまったり、王国の得体の知れない住人のドタバタなど、単純に面白おかしい場面もある。

ブノワ・シュー監督は仏フォリマージュスタジオで活躍の経歴の持ち主。
物語の持つ力への信頼が伝わり好ましい。
活発な妹と心配症な姉が訪れた家で体験する冒険が宮崎駿監督の『となりのトトロ』の影響下にあることは明らかだが、監督のトークによると湯浅政明監督の影響も大きいとのこと。
ゆらゆらとした動きや怪しい生き物のデザイン、傾いて積み重なる建物などにその影響が見て取れ、大きく腑に落ちた。
描写では姉妹のスカートの中を描かず、一種のウォーターラインのように区切られた縁から足が伸びているというスタイルがユニーク。
何かと規制がうるさくなりつつある創作の世界でこれはアイディアと言える。
詳しくは不明だが、スタッフに仏のアラン・ガニョルも参加している。

コンペでは惜しくもグランプリはならず優秀賞。とは言え、観客アンケートでも好評の模様。何とかして一般公開、それが無理なら何らかの再見の機会を切望する。
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