「オールド・ジョイ」「ウェンディ&ルーシー」などの作品で知られ、アメリカのインディペンデント映画界で高く評価されるケリー・ライカート監督が、西部開拓時代のアメリカで成功を夢みる2人の男の友情を、アメリカの原風景を切り取った美しい映像と心地よい音楽にのせて描いたヒューマンドラマ。
西部開拓時代のオレゴン州。アメリカンドリームを求めて未開の地へ移住した料理人クッキーと中国人移民キング・ルーは意気投合し、ある大胆な計画を思いつく。それは、この地に初めてやってきた“富の象徴”である牛からミルクを盗み、ドーナツをつくって一獲千金を狙うというビジネスだった。
クッキー役に「マネー・ショート 華麗なる大逆転」のジョン・マガロ。これまでライカート監督作の脚本を多く手がけてきたジョナサン・レイモンドが2004年に発表した小説「The Half-Life」を原作に、ライカート監督と原作者レイモンドが脚本を手がけた。2020年・第70回ベルリン国際映画祭コンペティション部門出品。(映画.comより)
<2024年1月27日 劇場鑑賞>
西部開拓時代ってよく映画になってますけど、本当にたくさんの人々が「一攫千金」「でっかい夢」「成功」を追い求めて押し寄せたのですね。なにが根拠かわかりませんが、あらゆる人々がそんな野望を抱ける時代って、ある意味すごいことだと思います。この映画の主人公クッキーも、とても気弱でおとなしいのに、やっぱり夢見てフロンティアに来ています。で、結局当時お金になったビーバーの毛皮を取る屈強な男たちのグループに、料理人兼使いっぱしりとして雇われていて、小柄でおとなしいためいつもバカにされています。こんな仕事を得るためにフロンティアに?差し当たっての仕事なんだろうけれど。
そんなある日、同じように虐げられている中国人移民キング・ルーに出会います。行き倒れていた彼を救助し面倒をみたクッキーは、ルーに信頼され、一度は離れたものの再会した彼らは無二の親友となります。そして一緒に住み、クッキーの料理の腕とルーの商才を生かし、村で唯一の牛(仲買商の持ち物)からこっそり乳を盗んでドーナツを作って売るようになります。これが本当においしかったからバカ売れ。仲買商の目にも止まるようになってしまいます。仲買人を演じるのはトビー・ジョーンズ!彼は「ロンドンを思い出す」と言ってドーナツを気に入り、次のお菓子も注文します。
お金を貯めていた彼らの「もうちょっとで目標の金額に達するところだった」という言い分もわかりますが、元々人の牛の乳を盗んで作られているお菓子。このへんでやめてさっさと逃げるべきでした。でも、彼らは渋ったのです。その結果、追われる身となるのです。屈強な用心棒たちから、そうそう逃げきれるわけはありません。こちらは料理人と普通の中国人なのですから。
主人公の二人は、本当にお互いを思いやるいい友人で、多分それ以上のことはなかったと思うのですが、狭い掘っ立て小屋でかいがいしく一緒に住むさまは、ちょっと複雑で妙なかわいらしさと危なっかしさがあったようにも思います。みんながギラギラしていた西部開拓時代に、こんなほんわかブラザーズ(?)も、いたんだよってことでしょうか。でも、ドーナツは本当においしそうだったな。
<ここからネタバレ>
冒頭、犬と一緒に船でやってきた女性が、仲良く並んだふたつの白骨死体を見つけるシーンがあるのですが(その後、映画は西部開拓時代に一気に遡る)、ラストでそれは逃げ切れなかった彼らだとわかります。しかし、劇中、まだ生きてる彼らが、犬と一緒に船に乗った女性を遠目に眺めるシーンがあって、?と思いました。時はかなりずれているはずでは?それとも、白骨になるのにそれほど時間はかからず、その後同じ女性が発見するってことなのかな。そこだけがよくわかりませんでした。
<ネタバレ終わり>
この映画が”ブロマンス系”として話題になってないのが不思議です。「ゲゲゲの鬼太郎」はその筋としてあれほど若い女性に人気なのに。上映館が少ないからかなぁ。
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