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2024年01月29日17:46

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二人の刑事パート2

話は少し長くなる。

それは前回の事件とさほど変わらない時期だったと思う。
ある生徒さんからの電話。
「△△さんが、偽金にかかわったとして新聞に大きく載ってますよ」
「ええ?同姓同名の人ではないの?」私は信じられなくてこう答えた。

そして間もなく、警察から電話がかかってきた。
「△△さんについてお尋ねしたいことがあるので,署まで来ていただけませんか?」
私は、冗談じゃない!という思いでこういった。
「私は足が悪いので、申し訳ありませんがうかがえません」。
間もなくして、刑事二人が私のもとへやってきた。
二人の話では、△△さんが、大量に銀行に持ち込んだ旧一万円札が、すべて偽金だったというのだ。

なぜ私のところに来たかと言えば、携帯電話の通話記録にある人にはすべて聞き込みをしているらしく
私の場合は△△さんとは、お稽古の日取りの打ち合わせ等で携帯に記録が残っていた。

「お金に困っていた様子はありませんでしたか?」と刑事。
「いいえ、気前のいい方で、よくお友達にお酒などふるまっていましたよ」と私。
確かに△△さんは、人当たりのとてもいい人で、よく人さまにご馳走をしていた。
「偽金は、殺人の次に思い罪です」と刑事。

そういえば、彼からその少し前にこんな話を聞いていた。
東京に出向いたときに、ひょんなことで出会った男の生きざまに、痛く共感したと。
その男は諸々の話の後でこう言った。
「ある国に日本の埋蔵金がある。少し資金が必要になる。が、確実にそのお金は手に入る。」と。
その話に乗った△△さんは、資金として大枚を手渡し、報酬として手に入れたのがスーツケースいっぱいの一万円札だった。
まさか偽札とは知らぬ△△さんはいそいそと銀行に預金しようと持ち込んだというわけである。
私は△△さんが共感したという男との話を、親身に聞いたわけでもなく、一つの面白話として気にも留めていなかったが、
こういう結果の話になるとは、青天の霹靂とでもいおうか。

刑事は携帯に残された知人友人たちに漏れなく当たってはみたものの、誰一人として彼を悪く言うものはなかったのだろう。
10日間の拘束ののち、彼は男に騙されたということで不起訴になり、釈放された。

その後彼はお稽古場には顔を出さない。
それはそうでしょう。恥ずかしくて顔なんてだせません。
その後彼は妻と別れて寂しい日々を送っているらしい。


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