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2023年10月31日05:35

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『科学をうたう』松村由利子 

友人の由利ちゃんこと松村由利子さんの"短歌エッセイ集”が出版された。
生物学者福岡伸一さんも大絶賛。
ウイルスから宇宙まで。さまざまな歌人が動植物や震災、科学技術を詠んだ短歌を観賞しながら、科学と文学の接点をみつめる一冊。それで、帯の福岡ハカセの推薦文も31文字!

『科学をうたう センス・オブ・ワンダーを求めて』(春秋社)

読み終えて数日ぼんやりして、昨日ようやくアマゾンに感想を書いた(下記)。
そのとき「センス・オブ・ワンダー」と「ハレルヤ・モーメント」は、わたしにとって同じ一つの感覚(現象)だと気がついた。

レビューの中では引用しなかったのだけれど、次の一首にも胸が熱くなった。

人間のために生きつつ人間の六倍速で老いる生き物   高野 公彦

友人として生きてくれた黒い子や白い子、三毛や虎毛の子たちを思い出す。
毎年、ハロウィンの季節にはとくに。ハロウィン



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「幸いなるかな、歌詠む人々」――2023.10.30

松村由利子さんは不思議な人です。
博学多才。クールでジャーナリスティックで科学的で、その上、慈愛に満ちた優しくあたたかなまなざしを持っている . . . たおやかな歌人。
そんな彼女の選で集められた歌たちはどれもすばらしく、その一つ一つにつけられた解説・エッセイがまた秀逸で、何重にもありがたく感じました。
―― そこには、東日本大震災と原発事故から12年半の、わたしが言葉にできなかった、深い哀しみ、恐れ、怒り、憧れ、感謝といった想いを声にしてくれたような歌が並んでいたから。津波や原発事故にまつわる歌を読むのはつらい。それでも文字をたどると、凍っていた想いが解け出して、涙になってあふれてきます。ありがとう。歌になぐさめられるのです。

教わることや考えさせられることもいっぱい。「わあ、そうだったのね」「そうか、こんな見立てもできるのか」etc. 感嘆の連続です。ことに「生きものの世界」や「美しい地球」の章は、驚きと喜びに満ちていて、センス・オブ・ワンダー、ハレルヤ・モーメント、そのものです。

「幸福というのは、わき立つ感情が心の中に落ち着き場所を見つけること……」というE.Lカニグズバーグの言葉を思い出しました。歌を詠める人たちは、わき立つ感情にわずか31文字でたしかな場所を与えてあげているの、すごいな、すてきだな。

―― 幸いなるかな、歌詠む人々

とても羨ましく感じ、でも一方で、そうして詠まれた歌を読ませてもらえるわたしも、おそらく同じくらいしあわせだろうと思うのでした。

『科学をうたう センス・オブ・ワンダーを求めて』
短い時間でかまわない、できたらデジタル機器の電源をすべて切って、朝な夕なに読み返したい。
日々の暮らしを豊かにしてくれる、かわいい水滴に映る野の花のような一冊です。

◆ 以下 付録です、惹かれた多くの歌の中から数首。

鳥語にも文法があり複雑な音声に愛を告げる日あらむ       遠藤 由季
恐竜もどこかで目覚めてゐるならむ地球あまねく暖冬にして    田中 穂波
海辺まで車で四五分ほど 光に乗らば木星に着く          田宮 朋子
太陽の歩みを運ぶ獣帯に春は眠たい牡牛も獅子も         杉崎 恒夫
ペルセウス流星群にのってくるあれは八月の精霊たちです     杉崎 恒夫
ふかぶかとクロッカスの花に見入りたりまこと「細部に神は宿る」 小池 光


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