9月に観たのは『ロッキー・ホラー・ショー』。
●『ロッキー・ホラー・ショー』
嵐の中、車のパンクで立ち往生し近くの古城に助けを求めたカップル。城主フランクン・フルターの元に集うホラーで倒錯したイカれ連中のバカ騒ぎに巻き込まれ、人造人間の誕生実験に立ち会うが目覚めたロッキーにジャネットが恋して仕舞い……。
何て云うストーリィは遥か彼方に打ち棄ててよいです。多分『入れ物』てだけであまり意味はない。
コレ大昔にジャケ買いした中古VHSテープ。タイトルだけ知って居て買った1本。なのだけど何だろう……何とも評価しがたいなコレ。面白いか?と訊かれるとまぁ決して面白くはないんだが、さりとて『つまらない』と一蹴も出来ない、一蹴して仕舞ってはいけない気もするのよね。何だこの心理状態。
ジャンルを云うなら『ミュージカルホラーコメディ』になるのかな。判らんけど、多分。全体的な雰囲気からは何となくグラムロックら辺の空気を、そしてストーリィからは死霊の盆踊りとかあの辺の映画を感じる、気がする。『気がする』ばかりでアレだけど。映画の歴史の1ページではあるのだろうな。
特に後者のいわゆるドライブインシアターちゅうか『映画界が風紀的な規制をかいくぐろうと奮闘した結果の徒花たち』の雰囲気、話運びなんかは意図的に下敷きにして居ると思う。そう云う映画として。
きっとストーリィとか役者の演技とかどうでもよくて、あの『雰囲気』がメインなのだろう。映画単体では意味を成さず、大人数で騒ぎながら観るコトで集団をお祭り心理に持ってゆくための『媒体』。そう考えるとシックリ来る気がする。『死霊の盆踊り』的な話運びを模して居るのもそのための仕掛けの一部なのかもね。そう云う『お祭り』なのかも。だとしたら迷い込んだ人間がぽかんとするのも当然で。
その上で、映画としてのテーマ的なモノを見つけるとするなら『自らを縛る社会的な鎖からの解放』なのかもね。尤もその結果、解き放たれた彼らは恐らく全員死んだワケで、まぁ生きる上ではその鎖も必要なんだよ、でもそんでも解き放とうぜ。そしたらブッ飛べるぜ。そんなアレなのかも。知らんけど。
冒頭の結婚シィンで意味なく佇んで居た『農業用フォークを持った男女』は『アメリカン・ゴシック』だよね。ホラー映画のそれはこの映画よりアトなので、コレは更にその元の絵画の方かと。『古き良きアメリカの象徴』コレを冒頭に登場させたコトには明確な意味があり、そう云うコトかなと。彼らが憤慨し、フォークを地面に突き立てて退場する、『そう云うモノ』をこれから見せるよって云う。多分。
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まぁ、はい。
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