未曾有の事故を経験した今なお、東電の体質、やり方は、何も変わっていません。現在の収束作業の指示体系も、これまでの原発運用と同じく、完全なトップダウンです。東電本店が設計図をもとに考え出した作業方針・作業工程を政府や御用学者と調整し(ここには当然、利権が絡みます)、現地の東電に伝えられ、そこから現場に任される仕事が分担される。
現場では、不都合があっても、言われたとおりにやるしかないこのような図式なのは、汚染水浄化設備をめぐるゴタゴタで明白です。収束作業の確実性やスピードを確保するのは、「現場の質」です。そう考えると、本来は、作業方針・工程は、現場からのボトムアップで決められていくべきものだと思います。
専門家は、かの汚染水浄化設備の仕組みを見て、「そもそも、セシウムや放射性物質を除去する必要はないんじゃないか?」と感じたといいます。どうせ、放射性物質だらけの原子炉に戻すのだから、油分や異物などを取り除く水処理をすれば十分ではないかといいます。
高線量で苛酷な環境にある現場でやる作業は、スピーディであればあるほどいい。そのためには、設備は、できるだけシンプルで確動性の高いものがいいはずです。専門家の主張の内容はともかく、こうした現場感を反映した主張、意見、提案が、現場から上がってくるべきではないかと思うのです。
しかし、残念なことに、原発という職場には、「下から意見を上げる」という文化はまったく育っていません。ずっと「指示されたこと以外をやるのは悪いこと」でやってきたのですから、いきなり、東電のおエライさんが、「どんどん意見を言ってくれ」と言ってもムリでしょう。ではどうするか。「カタチ」=体制を変えるしかないと思います。
具体的には、東電と下請けメーカーとがいままでの主従関係を捨て、同等の立場で主張し合える対策本部を現地に作り、そこに権威を与えるのです。下請けメーカーは、現場知のある管理者を置き、意見を吸い上げ、そこで主張する。
このような体制にするべきだと考えます。さらに言えば、原子力村利権の恩恵に浴してこなかったさまざまな業界のさまざまな企業、学識者を集め、外部諮問機関のようなものを設置し、一定の発言力を持たせる必要もあるでしょう。
もちろん、組織だけを作ってもダメです。広く知恵を集める前提として、徹底した情報公開が求められます。その公開される情報は、もっともシビアな監視者である一般国民にも共有されるべきなのは言うまでもありません。
これは、「原子力村を解体する」ということです。長年にわたって、東電が綿密に巧妙に作り上げてきた原子力村という利権集団。それを解体するのは、確かに一朝一夕ではできないかもしれません。
しかし、いまも危機が進行している福島第一原発には、時間の猶予はありません。言い方を変えれば、誰もやろうとしなかった「原子力村解体」は、誰もが経験したことのない事態が進行している福島第一だからできる。いや、やらなければならないのです。
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