mixiユーザー(id:9783394)

2023年09月26日07:25

96 view

小噺0430 干魃(かんばつ)対策

日本で紙オムツの市販が開始されたのは戦後間もなくのことでしたが、高価なのに一回しか使えない、ということで売れませんでした。だから昔は布オムツが当たり前。世のオカンは毎日洗濯に苦労していたことでしょう。
出回ったばかりの紙オムツは、薄く柔らかい紙を何層にも重ねたミルフィーユのような構造で、尿が多い時は漏れることもあつたようです。ところが1983年に高吸水性ポリマーが使用されるようになると、格段に吸水力が上がり漏れは無くなりました。日本にも使い捨て文化が浸透してきたこともあって、紙オムツは急速に普及するようになり布オムツを駆逐してしまいました。

この「高吸水性ポリマー」、布や紙が水を吸う毛細管現象(液体が狭い隙間を移動する物理現象)とは根本的に異なり浸透圧で吸水します。即ち濃度が低いサラサラの液体(オシッコ)が、濃度が高いドロッとした液体(ポリマー)に移動するのです。毛細管現象とは比較にならないほど大量の液体を吸収します。

また、高吸水性ポリマーはサラサラ液体を非常に安定した状態で保持する性質も持っています。乾いてガビガビになりにくいってことです。
「それは干魃(かんばつ)対策に使えるのでは?」と思った人は大勢いたでしょうが、高吸水性ポリマーの原料は石油由来のプロピレンで廃棄(燃焼)時に大量の二酸化炭素を出す上、製造過程で多くの電力を消費するという障壁に阻まれていました。

そんな中、あるインド人が研究を重ねて画期的な高吸水性ポリマーを開発しました。石油由来ではなくて植物由来なんです。果物の残渣(ざんさ=皮や種など捨てる部分)を使うそうです。肥料になりますし放っておくと土に還ります。

粉末状にしたこの高吸水性ポリマーを土壌に撒くと、自重の約100倍もの水分を吸収・保持して乾燥を防ぎます。しばらく雨が降らなくても、散水せずとも、植物は成育します。

近年、水不足は世界的に大きな問題です。UNCCD(United Nations Convention to Combat Desertification=国連砂漠化対処条約)は、干魃は一段と酷くなって2050年には世界人口の75%が食糧難に苛まれ、今世紀中に干魃が常態化する可能性があると言います。

https://images.app.goo.gl/Jcz19eYZqsN6srN67

この高吸水性ポリマーは福音になるかもしれません。
5 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2023年09月>
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

最近の日記