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2023年07月19日20:35

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【美術】「生誕100年 山下清展-百年目の大回想」

皆様、お今晩は。SOMPO美術館にて9月10日迄開催中の驚愕の大展覧会「生誕100年 山下清展-百年目の大回想」に行って参りました。その感想です。


山下清(1922-1971〔大正11-昭和46〕年)は放浪の天才画家として知られており、懐かしい日本の原風景や名所を貼絵で表し、多くの人々の心を捉えました。生誕100年を記念する本展では、代表的な貼絵の作品に加えて、子供時代の鉛筆画や後年の油彩、陶磁器、ペン画などを展示し、山下清の生涯と画業をご紹介します。日本各地を自由気ままに旅する生活を好んだ清は、驚異的な記憶力をもち、スケッチやメモを取らずとも、旅先で見た風景を細部まで正確に思い出すことができました。ときおり旅から戻ると、高い集中力を発揮して、手で細かくちぎった紙片を緻密に貼り合わせることで、超絶技巧的とも言える貼絵を制作しました。そこに見られる丁寧な細部描写と豊かな色調という魅力は、油彩やペン画、水彩画など他の作品にもよく表れています。このような多彩な作品約190点、そして旅に持参したリュックや浴衣、所蔵していた画集などの関連資料を間近に鑑賞することで、49歳で逝去するまで個性的な創作活動を続けた山下清の世界をご堪能いただければ幸いです。


全国各地を巡回して東京での開催が最後になるこの展覧会ですが、代表作である『長岡の花火』を含めて山下清画伯の現物を観るのがこれが初めてでして、膨大な数の作品を遺している上に、貼絵、水彩画、油彩画、ペン画、そして陶磁器への下絵製作等幅広い活動をされている事と、殊、貼絵に関しては現物を観ないとその凄さが判らない超絶技巧を駆使しており、平面的ではなく立体的な作風に仕上がっていることに舌を捲きました。

最初に『長岡の花火』を観る機会があったのは、今でも番組自体は続いておりますが、小林薫御大がナレーションをしていた時分には「番組自体が重要無形文化財に指定すべき」だと思った程、大変志の高い美術番組でありましたが、映像で観たときに余りの美しさに落涙したのを鮮明に覚えております。その時に感じた印象は「この人は決して綺麗に描こうとしている欲望は無く、無垢な侭に観たままを描いている人なんだ」と言う事でしたが、今回の展覧会では一作品毎に山下語録が記されていて、例えば昭和14年に製作された『菊』では「菊の貼絵の時、葉っぱや何かはこよりを使ってやんなさいと言われたり 木のまるみを出す時 こよりを作って 其のこよりをかためて 木のまるみを出すように教えて貰った 植木鉢の影は 簡単に付けて 先生の部屋へ 出来上がったと持って行ったら 植木鉢の影は どうもおかしいな ちっとも影がたり無い もう少し影を入れなさいと言われた」と書き記しているように作品に対しての指導を柔軟に受ける人だったなんだなぁと今迄持っていたイメージが覆されたのでありました。

会場では山下清名言集と言うことで言葉が壁にしるされていて、観に行った人も名言に癒されましたと言うコメントがあって、生きているそのものが尊いことなんだと改めて思ったのでありました。繰り返しになりましたが本展と今週末で上野の森美術館で閉幕してしまう「恐竜図鑑」、東京ステーションギャラリーにて開催されている「甲斐荘楠音の全貌」、そして国立新美術館にて開催されている「テート美術館 光 LIGHT」とこの夏は猛暑以上に五つ星の美術展が四展並ぶと言うかつてない熱さに満ち溢れております。


https://www.sompo-museum.org/exhibitions/2022/yamashitakiyoshi/


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