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2023年07月15日17:38

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【映画】『Pearl パール』

1918年、テキサス。スクリーンの中で踊る華やかなスターに憧れるパール(ミア・ゴス御嬢様)は、敬虔で厳しい母親ルース(タンディ・ライト姐さん)と病気の父親(マシュー・サンダーランドさま)と人里離れた農場に暮らす。若くして結婚した夫は戦争へ出征中、父親の世話と家畜たちの餌やりという繰り返しの日々に鬱屈としながら、農場の家畜たちを相手にミュージカルショーの真似事を行うのが、パールの束の間の幸せだった。
ある日、父親の薬を買いに町へ出かけ、母に内緒で映画を見たパールは、そこで映写技師(デヴィッド・コレンスウェットさま)に出会ったことから、いっそう外の世界への憧れが募っていく。そんな中、町で、地方を巡回するショーのオーディションがあることを聞きつけたパールは、オーディションへの参加を強く望むが、母親に「お前は一生農場から出られない」といさめられる。


本作を観ながら強く思ったのは、この作品をホラーと言う枠に入れてはいけないと言う事でして、前作の『X』では四苦の「生老病死」の内の「老」と言う苦しみを描いた作品でしたし、本作は八苦の中の「求不得苦」(ぐふとっく)(欲しいものが手に入らない苦しみ)を如実に描き出している作品だと思ったのでした。

舞台となっているのは今から百年前の片田舎ですが、当時は世界中で猛威をふるっていた新型インフルエンザである「スペイン風邪」の感染を恐れて皆様マスク着用しているのはほんの3年前のコロナ禍と同じでして、当時は欧州で世界初の総合戦である「第一次世界大戦」の真っ最中。今は今でロシアがウクライナに戦争を仕掛けて、やはりどちらにしても生き辛さは変わらず。唯一前進した部分が「女性の社会的進出」と言う事ですが、これにしても「女系天皇」の問題や実は選択可能な「夫婦別姓」制度がまだ解決していない我が国をみると女に生まれてしまった生き辛さはなんだかんだと残っているんですよね。と感じてしまうのです。

政治的な話をするつもりはありませんが、ラストで門が閉じられていく瞬間の描写は、1996年にヘンリー・ジェイムズ先生の原作を元にジェーン・カンピオン監督が撮った『ある貴婦人の肖像』を思い出してしまった程文藝的であります。

主演のみならずタイ・ウェスト監督と共に共同脚本も手掛けて、尚且つ製作総指揮迄務めた本作でミア・ゴス御嬢様は、女優として一皮も二皮も剥けました。来年度の主演女優賞レースに絡んでくるのではと密かに期待を寄せております。


https://happinet-phantom.com/pearl/
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