6月に観たのは『セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズ』。
●『セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズ』
ハリウッド女優ハニーは試写会の挨拶の最中に拉致される。誘拐したのはセシル率いるマイナー映画製作団体。彼らの創る映画『狂える美女』への主演を強要されたハニーは抵抗しつつも徐々に飲み込まれ、映画のバケモノになってゆく。
商業映画への怒りと闘争心に満ちた映画。セシル率いる『彼ら』はインディーズ映画製作団体と云うより狂人集団、て云うよか最早セシルを崇拝するカルト団体。そんな彼らが製作するは銃をぶっ放して公共の映画館やパーティ会場や撮影所を次々に占拠し撮影を敢行するまぁ云っちゃやテロ映画もしくは映画テロ。もう映画と云う名の闘争だね。商業映画に対しての。そしてメジャーと云う暴力に対しての。
拉致されそんな暴風に叩き込まれたハニー。いわゆる感動作に出演し、名声はありつつも勢いは今ひとつ、そんな感じなのかな。決して性格はよくはない。抵抗しつつもセシルの映画にまぁ傍目からは割とスンナリとそしてズブズブ嵌って行ったトコロを見るに、元々セシルたちの云う「拝金主義くそくらえ!メジャーに阿る批評家くそくらえ!映画に究極のリアリティを!」に共鳴する素地はあったのかもね。
彼らが憎みケーベツするメジャー映画の代表として描かれるフォレスト・ガンプの続編『ガンプ・アゲイン』がホントつまらなそうで笑うけど『売れ筋』と『金』で全てが動く、アレがセシルたちの敵。その撮影所にテロ撮影を仕掛け、追われてカンフー専門館に逃げ込んで助けを乞うクダリは好き。カンフー映画鑑賞中の男は皆カンフーマスターだからね。そりゃあ追手にノリノリで立ち向かって呉れるよね。
終盤、スクリーンに映し出される『かつての自分』を見上げるハニーの表情が何とも云えず、よい。どんな感慨が胸に去来して居たのかな。罵声と称賛を浴びて誇らしげに連行されてゆく姿も印象に残る。
めっさいい映画でも殊更に面白い映画でもないけど妙に強烈に印象に残る映画、てのはトキドキあって、コレは明らかにその類の映画。『時計仕掛けのオレンジ』のSingin' in the Rainのシィンが延々と続くような印象かな。方向性はケッコウ違うけど、心理的に受ける『圧』として。かなり下品な猥雑さとバイオレンスを含んだって云うかほぼそれのみで構成されて居る作品なので苦手な方はご注意です。僕も得意な方ではないけど。でもパワーはめっさ感じるし、虚構ならばそのパワフルさ自体は嫌いではない。
セシル、うっすら見覚えがある気がして調べたら『バック・ビート』のスチュだ。役者はバケモノ。
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まぁ、そんなんで。
最寄駅前のツタヤが閉店して仕舞いケッコウなショックを受けております。復活しろ。ギヴミー映画。
この『セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズ』は古いVHSテープから掘り出したモノで、同様に未見のモノが結構あるのでまぁそれを消化する間にその先を考えます。いい機会ではある(ポジティヴ!)。
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