闇の刃

熱は下がって具合は良くなったが咳と痰だけどうしても収まらない。

・CUBE 一度入ったら、最後

カナダのソリッドシチュエーションスリラー「CUBE」の公式リメイク。
徹底的に無機質でドライでソリッド、そこにいる者たちの事情などお構いなしでルールに厳格だった原作の立方体に対して、発動タイミングといい狙った人選といい妙にファジーというか、ぶっちゃけドラマに合わせた人為的なおぜん立て感のあるデストラップ、罪からの救いと許しというそれ自体が悪いとは言わんが脱出劇と全く?み合っても連動してもいない露骨にウェットなドラマ、豪華俳優をずらりと揃えたことで「誰が死ぬのかわからない」緊張感と期待を持たせようとしたのかもしれないが陳腐でステレオタイプなせいで
誰が死ぬかおおよそ予想がついてしまう(具体的には生存予想６人中４人的中した)キャラクター、閉鎖空間ゆえワンパターンにならないよう工夫すべきなのに、ヒキと寄りのみで一本調子な絵面、と酷評したい部分ばかりではあるが、救いは菅田将暉はじめキャストの演技の素晴らしさ。
特に若者とオヤジの悪いイメージをそれぞれ煮詰めたような岡田将生と吉田鋼太郎は画面全体に「厭」を滲ませ広げまくる大活躍ぶり、オチのために一人蚊帳の外だった(ゆえにオチも予想がついてしまった)杏の使い方は勿体ないが、他いずれも吸引力のある存在感で、前述のようにキャラ造形もドラマも浅いのに演技自体には引き込まれるのでグイグイ最後まで観られてしまうという奇跡のバランスの悪さ(褒めてる)。キャスト目当てなら(そして本家と比較しなければ)観るべき価値はあるだろう。
キャストの他に良かったのは唯一「CUBE」テイストのあった冒頭と肉体ではなくメンタルをゴリゴリに削ってくるトラップ(そこで世界の秘密もおおよそ察しはつく)、あとラストのトラップはバカらしくて笑えたな。

・GIジョー　バック2リベンジ

いつものハリウッドアクション、いつもの主役交代、いつもの巨乳美女、いつもの悪の組織、いつものマクガフィン、いつもの逃走劇、いつものちょっとしたアメリカンジョーク、いつものあと1秒、とすがすがしいほどに典型的なハリウッドドンパチアクションを貫いた。
せっかくのロック様を十全に生かしたとは言い難い格闘戦の物足りなさを別にすれば迫力のガンアクションにテンポ良く話が早いストーリーと全体的に一定以上のクオリティを保証してくれるのだが、前作のパワードスーツ疾走のような突き抜けたバカさ加減や小学生男子の夢を詰め込んだようなカッコイイオモチャ感、エッフェル塔崩壊のような外連味はほとんど見られず。すっかりカッチョイイ萌えキャラと化したスネークアイズ大活躍の断崖バトルも長い割に一本調子で、ダイナミックではあるが飽きが来る。新キャラの中でもフリントとジンクスはまったく違いを見せられず埋もれてしまった。
ロック様とウィリスが並んで立っているだけで興奮モノなのは勿論、ファイアフライが乗るギミックバイクや、終盤の戦車大爆走はかなり見ごたえあるのだが、シリーズならではの特徴という特徴のない、フツーのアクション映画になってしまった。