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2023年04月19日05:04

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WBCを振り返って


9回裏、5対4と1点差で負けている試合です。ノーアウト1塁・2塁で次のバッターはこれまで18打数4安打の2割2部2厘で9三振です。この試合も4打席も3三振とファウルフライ。本調子でなく打撃不振状態のホームランバッターです。その次のバッターは10打数4安打、前試合でホームランも打っている男です。

この場面で、普通なら、送りバントさせて、1アウト2・3塁として次の打者に託すでしょう。確実な送りバントのため、打者も変えると思います。だが、栗山監督の選択は違っていました。栗山監督のマネジメント力について、ダルビッシュ選手は合宿中の2月の時点でこう語っています。

「この数年の栗山さんの発言を振り返っても、基本的に人を傷つけるとか、恥を晒すようなことって言わないじゃないですか。そこってすごく難しくて、そういう方は日本の指導者にはなかなかいないので、そういうところに僕は凄みを感じています」

テレビで拝見する栗山監督は柔らかく親しみやすい人柄で、ダルビッシュ選手の言う凄みは我々にはわかりにくいものです。一般的に考えて、9回裏のような場面で栗山監督のような選択ができるものなのでしょうか。

確率論というか定石で言えば送りバントです。打たせてダブルプレーにでもなれば、何を言われていたかわかりません。おそらく「なぜ送りバントさせなかったのか、普通代打だろ」とその選択ミスを後世まで非難されること必至でしょう。

NLBの三冠王であり5打席連続ホームランを打つバッターに送りバンドをさせるあるいは代打を送ることは、心が痛む、屈辱を与える行為といえます。だからバントさせない、というだけの話ではなく、何か違う次元の判断を下しているようです。

この背景にあるのは、準決勝後の会見で栗山監督が涙ぐんで述べた言葉があります。「世界がビックリするバッターであると僕はWBCで証明したいと思ってやってきた。まだまだあんなもんじゃない。最後、お前で勝つんだとずっと言ってきた。僕は信じています」

この信じて任せた判断の結果責任は、全て自分が引き受けると言う覚悟が凄みにつながっているのだと思います。かつて多方面から批判された大谷選手の二刀流としての育成判断も、結果うまくいかなければ、真っ先に栗山監督自身に非難が集中したはずです。

しかし、栗山監督が「世界の天下を取るのが、大谷君の夢。一緒にかなえたい。誰も歩いたことのない道を歩いてほしい」と語ったときのように、結果責任や非難も覚悟した上で決断し、「お前に任せた」と村上選手を信じたのでしょう。WBC優勝は、我々日本人にとってとても大きな勇気を与えてくれました。ありがとうございました。お疲れ様です。

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