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2023年03月19日19:52

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沼尻さんのマーラーって、曲によってかなり違う・・・びわ湖ホール マーラーシリーズ

結果的には、そのことが今回は裏目にでたかも。

滋賀(大津) 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール大ホール
マーラー・シリーズ 沼尻竜典×京都市交響楽団
沼尻竜典指揮 京都市交響楽団
(コンサートマスター 石田泰尚)
マーラー:交響曲 第6番 イ短調「悲劇的」

8‐9割は埋まったかという、結構な大入り。当日券を求める長い列ができて、それが開演時間になっても捌ききれず、開演が15分ほど遅れたという演奏会(休憩なし一曲プロだからの配慮でしょうね)。「場を持たせなさいと言われて・・・」と沼尻さん、急遽舞台に登場して前口上をやらされる羽目になったのは、ご愛敬。

で、肝心の演奏ですが・・・正直に言えば、ちょっと残念な出来だったです。結構、あちらこちらではっきりわかる事故が起きていて・・・特に、二楽章でヒヤッとしたかと思うと、さらに大きな事故が三楽章で起きて・・・さすがに止めた方がいいのではとまで思ったのだけれど、すんでのところで回避。危なかったですねえ。

思うに、沼尻さん、この6番は、並々ならぬ気合で望んでおられたんじゃなかろうか。1楽章など予想を裏切る、ずっと重いテンポ。重心低く、ずっしりズンズンと進んでいく。3楽章アンダンテも、ティルソントーマス2001年SFS版なみの遅いテンポ、かつ大きな振幅で持って音楽が揺れ動く。それに京響がついていけなかったんじゃないかなあ、というのが正直な感想。

沼尻さんのマーラーは、これまで8番(2018年度)→4番(2020年度)→1番(2021年度)。8番は中庸なテンポ設定、4番は遅めの設定(https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1976714908&owner_id=28135846)、逆に1番はえ?って言うくらい早いサクサク設定(https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1980369580&owner_id=28135846)。こうしてみると、作品によってアプローチの仕方を変えているような気がするなあ(今見返して、前回も同じことを書いていることに気が付きましたが)。あの「巨人」からは、今日の6番は想像ができない。

やっぱり、この6番は、かなりの思い入れとこだわりがあった、と見ます。結構、楽器の扱いもいろいろと目と耳を引くものがあって、「二種類試した」とのハンマーは言うに及ばず、松村姉妹の強力ダブルハープがガンガンに聞こえてくるその抜群の演奏効果だとか、1番ティンパニと2番ティンパニで同じ場面でもバチを変えて音にコントラストをつけるだとか、4楽章再現部練習番号161直前の「複数のシンバルで」と書いてあるところを、なんと3人にやらせる(普通二人)だとか・・・

だから、そんな沼尻さんのこだわりと思い入れが爆発した4楽章がやっぱり一番の聴きもの。最初のハンマーが炸裂した後は、京響も吹っ切れたように少々の傷や乱れをものともせず遮二無二突っ走りだし、ブラスも豪快に鳴ってなかなかでした。ただ、惜しむらくは、沼尻さんがバシッとキューを出したにもかかわらず、練習番号164のチェレスタのffが聞こえてこなかったのが残念。

最後のピチカートが終わって長い静寂が保たれたことも、良かったです(これも、前口上のおかげ?)。そのあとは、ホントにホントに長いカーテンコール。これでびわ湖の監督を退任ということもあって、花束贈呈もあり、やまない拍手とスタンディングに一般参賀もあり。そういう点では、思い出深い演奏会になったと思います。

追記:
あーと屋さんとご一緒になったので、大津駅まで車でお送りしたところ、乗降口で止めている斜め前にタクシーが停車、邪魔だなあと思っていると、なんと石田組長が下りてきて私の目の前を颯爽と駅へ。げげっ・・・このまま真っすぐ横浜へお帰りになるんでしょうね。お疲れさまでした。
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