mixiユーザー(id:3510747)

2022年12月19日20:43

93 view

よく言及されるが読んだらガッカリしそうでなんとなく手が出ない名著『肩をすくめるアトラス』

われこそ天才と自負するヒトにはツボにはまるのかも知れないけど「優れた能力を持つ者だけのコミュニティー」という設定からして無理があるような気がするのは小生だけかな? そんなのは個々人の自負心が強すぎてすぐ自壊しそうな気がする。

絶対無理とは言わないが、才能も高いがアクも強い連中に好かれて「あんたがリーダーだ」と皆に言わせる度量と見識と人徳のあるリーダーがいないと続かないだろう。

まぁ東洋にも英雄好漢が梁山泊に結集する『水滸伝』なんてのがあるけど、ああいうのともまただいぶ違うのだろうな。

_________
イーロン・マスクとスティーブ・ジョブズが読んだ「危険な思想書」

 天才たちはどんな本を読んでいるのか? テスラのイーロン・マスク、アマゾンのジェフ・ベゾス、マイクロソフトのビル・ゲイツ。世界一の富豪になったイノベーターたちは、実は猛烈な読書家です。日経BPは、3人が読んだ100冊の本のエッセンスを紹介する書籍『天才読書 世界一の富を築いたマスク、ベゾス、ゲイツが選ぶ100冊』をこのたび出版しました。天才たちが読書を経営や人生にどう生かしているのかを読み解く連載の第5回では、マスクやスティーブ・ジョブズが読んだ「危険な思想書」と呼ばれる本を取り上げます。

 イーロン・マスクとスティーブ・ジョブズが読んだ「危険な思想書」と呼ばれる本があります。『肩をすくめるアトラス』。ロシア系米国人の女性作家、アイン・ランドが1957年に発表した小説です。

 個人的な自由と経済的な自由の両方を追求する「リバタリアン(自由至上主義者)」や米国の保守主義者の一部に今でも強い影響を与えています。

 マスクと共に初期のペイパルを率いたピーター・ティール、ウーバーテクノロジーズ創業者のトラビス・カラニックなど、さまざまなテック系スタートアップの経営者がこの本を支持しています。さらにFRB(米連邦準備制度理事会)元議長のアラン・グリーンスパンや経済学者のルートヴィヒ・フォン・ミーゼスも、肩をすくめるアトラスとランドのファンであることを公言していました。

 ジョブズはランドに心酔しており、がんで死去する少し前に見に行った映画が2011年に公開された肩をすくめるアトラスのパート1だったそうです。「肩をすくめるアトラスはジョブズの人生のガイドになった本だと思う」。アップルの共同創業者であるスティーブ・ウォズニアックはこう述べています。

 名だたる起業家や経済界のリーダーは、なぜ肩をすくめるアトラスに魅了されたのでしょうか? この本は、発明家や事業家などの優れた天才たちが、強い意志と徹底的な利己主義により社会を正しく導こうとする物語です。

 舞台は、長引く不況に直面して社会主義化が進みつつある米国。国家による統制や規制が強まる中、民間企業のリーダーや、起業家、科学者たちは技術や製品を提供することを拒否する“ストライキ”を決行します。

 革新的なモーターや軽量で耐久性が高く安価な金属を発明するなど、傑出した高い能力を持つ人々が相次いで姿を消した結果、経済は立ち行かなくなり、政府は必死になって行方を捜します。彼らはロッキー山脈の渓谷に集まり、優れた能力を持つ者だけのコミュニティーを形成します。社会に途方もなく大きな価値を生み出す天才たちが真っ向から反旗を翻したことにより、政府は崩壊し始めます。

ー1―

「人は自分自身のために存在する」

 マスクやジョブズ、ティールのようなイノベーターたちにとり共感できる点が多いストーリーでしょう。個人が生み出す成果は純粋にその人物の能力のおかげであり、優れた能力と知性がある人間は逆境を克服できるというのがランドの主張です。肩をすくめるアトラスには、ランドの強烈な思想が込められています。

 その特徴としては、まず利己主義が挙げられます。ランドは1964年に米国の雑誌に掲載されたインタビュー記事の中で、「人は自分自身のために存在する」「自分自身の幸福を追究することが、人にとって最高の道徳的目的である」「自分を他人の犠牲にしてはならないし、他人を自分の犠牲にしてもならない」といった自身の考えを説明しています。

 ランドは利他主義を否定していました。ランドの考える利他主義とは、「自己犠牲は人間にとって最高の道徳的義務であり、価値であり、美徳である」と考えるような道徳体系であり、「これは集団主義の道徳的基盤であり、あらゆる独裁制の道徳的基盤である」と述べていました。

 個人の自由や利益を否定する集団主義をランドは憎んでいました。具体的には旧ソビエト連邦のような社会主義や共産主義、ナチスドイツのような全体主義です。このような社会では、国家のような集団に奉仕することが最優先とされ、個人の自由は制限されます。思想は統制され、言論の自由もありません。政府に刃向かう人間は容赦なく逮捕され、処刑されるような世界で、集団のために個人は命を差し出すことさえ求められます。

 一方でランドは、社会をよりよくする革新的な発明を生み出す「イノベーター」に大きな価値があると考えていました。「新しいアイデア、価値あるアイデアを提供する者は、必ず知的現状の外に立ちます」「イノベーターこそが、人類を前進させるのです」と述べていました。このようなイノベーターは、個人の自由が認められない集団主義の世界では活躍できず、社会は進歩しなくなると考えていました。

 イノベーターに至上の価値があると主張するランドの思想がテック企業のリーダーたちに支持されるのは当然といえるでしょう。イノベーターを、特別な力を持ち、世界を救うヒーローのように描いているからです。『天才読書』で詳しく書いていますが、マスクは自分自身を「世界を救う超人」のように捉えている印象があります。それはジョブズにも共通していました。

 このほかにも「理性」の重視や、経済活動は民間にできるだけ任せて、国家は可能な限り介入しないという「自由放任資本主義」もランドの思想の特徴です。

―2―

「いかなる悪でもなし得る人間」とは

 一方でランドは、イノベーターのような傑出した能力や強い意志がなく、生きる目的を持たない人間に対して厳しい視線を向けます。「目的を持たない人間は、その場限りの感情や不明瞭な衝動に流される人間であり、いかなる悪でもなし得る人間なのです。なぜならそのような人は、自分の人生のコントロールを完全に失っているのですから」と前述のインタビュー記事で述べていました。

 しかしながら、選民主義的で、優れた能力を持つ天才を称賛する一方、才能や目的を持たない人間を否定するランドのメッセージには、嫌悪感を覚える人が多いのは当然です。このためこの本が出版された直後から批判的な意見が目立ち、「危険な思想書」と呼ぶ人もいます。

 肩をすくめるアトラスには、個人の自由と資本主義を礼賛する一方、全体主義、社会主義的な世界を憎悪する、ランドの怒りの感情が強くにじみでています。

 ランドがこのような思想を持つようになった背景には、彼女の生い立ちが深く関係しています。1905年に帝政ロシアで生まれたランドは、裕福で恵まれた生活を送っていましたが、12歳のときに革命が起き、一家は財産を没収されて困窮します。それでも成績が優秀だったランドはペトログラード大学(現サンクトペテルブルク大学)に入学。歴史を専攻し、アリストテレスやプラトン、ニーチェなどを研究しました。

 卒業間際に、ランドはブルジョワ(資本家階級)的とされ、ほかの多くの学生と共に大学から追放されますが、なんとか卒業を許可されます。その後、親類を頼って渡米し、米国の自由な空気に魅了され、移住を決意。映画の脚本家・作家としての道を歩み始めました。

 いくつか映画の脚本を書いた後、1936年に半自伝的な小説『われら生きるもの』を出版。旧ソ連の絶望的な世界とそこから脱出しようとする若者たちを描いた作品です。共産党の有力者や彼らと癒着した一部の人々が甘い汁を吸う一方で、庶民は飢えと逮捕や処刑におびえる抑圧的な生活を強いられる世界を描いています。

 「『われら生きるもの』は『ソビエトロシア』についての小説ではない。国家と対立する個人についての小説だ。その主題は人の命の神聖さ―神秘的な意味ではなく、『至上の価値』という意味での神聖さである」。われら生きるものの序文でランドはこう述べています。この本は、ナチスドイツなどの全体主義やほかの社会主義国家を含むあらゆる独裁に関する場所と時代を問わない物語であり、暴力の支配が人間をどう変えてしまうか、それが人間の持つ最上のものをどのように破壊するかについて描いたものだ、といいます。

―3―

21世紀になって再び脚光を浴びるランドの思想

 現代の人は信じられないかもしれませんが、当時はソ連や社会主義、共産主義が美化されることが多い時代でした。しかしランドは実体験に基づき、自由がない暴力的な世界の恐ろしさを批判的に描きました。

 ベストセラーを出し、小説家として名を高めたランドは「オブジェクティビズム(客観主義)」という独自の思想を打ち立てます。詳細は省きますが、「自分自身の幸福を人生の目的として、生産的な成果を最も崇高な活動として、そして理性を唯一の絶対的なものとする英雄的な存在としての人間」を理想とする思想です。個人の権利を最大限尊重する自由な資本主義が理想的な唯一の社会体制である、とランドは主張しました。

 ランドの思想は、21世紀になって再び脚光を浴びるようになります。革新的なテクノロジーを発明して世界を変えようとするテック企業のリーダーや、自由主義的な立場から資本主義を正当化したい保守派の政治家にランドの思想に共感する人が増えたからです。ドナルド・トランプが大統領だった時代は、政権幹部にランドの信奉者が多いとしばしば指摘されました。ランドの作品は、米国を中心に世界で3700万部以上売れるベストセラーになっています。米国の政治思想の潮流を理解するためには、ランドが書いた肩をすくめるアトラスを読むことは助けになります。

 もっともマスクは、ランドの思想をやや過激だと捉えている印象もあります。肩をすくめるアトラスは、「共産主義への対処法であり、それ自体は有用だが、優しさで和らげられるべきだ」とマスクは述べています。

―4―

イーロン・マスクとスティーブ・ジョブズが読んだ「危険な思想書」
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00521/121200005/
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する