共産主義体制のポーランドを出てヨーロッパ各国で映画を撮り続けてきた映画作家パベウ・パブリコフスキ監督が、初めて母国ポーランドで撮影した作品。第87回アカデミー賞では、ポーランド映画初となる外国語映画賞を受賞した。歴史の波に翻弄された戦後ポーランドを背景とした少女の成長物語を、モノクロ&スタンダードによるクラシックな映像美で叙情的に描いた。60年代初頭のポーランド。孤児として修道院で育った少女アンナは、初めて会ったおばから自分の本当の名前がイーダ・ベルシュタインであること、そしてユダヤ人であることを明かされる。両親はなぜ自分を捨てたのか、自身の出生の秘密を知るため、イーダはおばとともに旅に出る。日本では「ポーランド映画祭2013」で上映されて好評を博し、14年に単独ロードショー。(映画.comより)
<2022年12月17日 録画鑑賞>
当時、とても話題になってましたね。評価も高かったし、映画自体も短いものだったのに、いかんせん都会でしか上映されてなかったので、見逃してしまったのでした。見つけるとすぐ録画したのに、つい今まで放置してしまいました。
結論から言うと、やはり名作でした。静かな、本当に静かな映画で、モノクロの映像も限りなく美しかった。しかし、修道女になる少女と、そのおばが背負った運命はあまりにも悲しく、辛いものでした。言葉もありません。
第二次世界大戦中、ユダヤ人が迫害されていたのは周知の事実。心ある人は彼らを匿い、そのおかげで生き延びた人たちがいたのも事実。でも、かばい切れなかった人たちがいたことも事実で、それは、彼らだって自分の家族も守らなければならないという当たり前の論理。誰も悪くないのに、皆が傷つき、殺し合わなければならなかった時代。なんて悲しいのでしょう。こんな価値観を強いた為政者に憤りを覚えるばかりです。
<ここからネタバレ>
イーダの両親は、ある男性に匿われていました。おばのヴァンダは兵士として戦争に参加していたため、息子をイーダの両親に預けていました。しかし、いろんな事情もあり、彼らは皆殺されてしまいました。イーダは幼すぎたため、わからないだろうということで、神父さんに預けられたのでした。出家する前に唯一の親族に会いに来たイーダは、ヴァンダと共にその事実を調べあげ、両親の遺骨も手にしました。息子の頭蓋骨をショールにつつんだヴァンダは、その後飛び降り自殺してしまいます。また、イーダは、ヴァンダと旅している間にある男性と知り合い好意を抱くものの、将来が見えず、求婚してくれた彼を残して修道院へと帰ってゆくのです。
人生の大半を修道院でしか過ごしていないイーダが、ハンサムな青年と仲良くなったのに、ちゃんと「将来が見えない」と判断し、帰ってゆくところは「賢すぎる」と思いました。私なら、きっと情に流されて彼について行ってしまったでしょう。それにしても、悲しいですね。酒浸りの日々を送りながらも、判事としてきちんと仕事をしてきたヴァンダが、息子の遺骨を手にした後に、パッと飛び降りてしまうところは衝撃でした。でも、わかります。私も同じことをするかもしれません。
たった80分の静かな映画に、これほど衝撃を受けるなんて。悲しすぎる歴史に、言葉もありません。
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