「まぼろし」「さざなみ」のシャーロット・ランプリングが、2017年・第74回ベネチア国際映画祭で主演女優賞を受賞したドラマ。ベルギーの地方都市を舞台に、人生も終盤に差しかかった主人公の女性が、さまざまな業を背負い、もう一度「生きなおす」までの悲しみや決意を描いたミステリードラマ。ベルギーのある小さな都市で、夫とともに慎ましやかな生活を送っていたアンナだったが、夫が犯したある罪により、穏やかだった生活の歯車が少しずつ狂い始めていく。やがてその狂いは、見逃せないほど大きなものとなっていき……。共演に「ル・アーヴルの靴みがき」のアンドレ・ウィルム。監督はイタリア出身のアンドレア・パラオロ。(映画.comより)
<2022年11月8日 録画鑑賞>
少し前の映画ですが、録画してありました。シャーロット・ランプリングが好きです。若い頃、ビデオで見た「愛の嵐」が強烈でした。実は彼女を見たのは、それが最初ではないはずなのですが、あまりに強烈過ぎてそれまでに見たはずのもっと年上の彼女が吹き飛んでしまったのでした。それからも、フランス語圏と英語圏を自由に行き来し、独特の存在感を放ってますね。そして、あんなに美しい顔立ちなのに、なぜか毒気も感じさせる。こういう女性になりたかったかも(笑)。そんな才能ないけど。
ということで、この映画です。ここ数年は、なぜか彼女の映画は「まぼろし」とか「さざなみ」とか似たような題字が付けられていて、今回も「ともしび」。頭の悪い私はどれがどれだったか混乱しきりです(ついでに言うと、フランス映画でエマニュエル・ベアール主演の「とまどい」「かげろう」なんていうのも思い出して、なお混乱)。しかし、他2作品と比べて、今回はより難解でしたね。何が起きているのかまったく説明はないし、彼女も演劇クラスかなんかで奇声を上げたり、表現しているシーンがあったりするものですから、最初は戸惑いました。
うっすらと理解できるのは、彼女の夫が、多分少年相手になんらかの罪を犯したのではないか、ということ。でも、収監されている夫は「やったと思われている」と無実であるかのような発言をするし、自分で出頭するまでは普通に暮らしていたことも相まって、本当のところはどうなんだろうと思うばかりでした。しかし、息子には「来ないでくれと言ったろ!そっとしておいてくれ!」とけんもほろろに追い返されるし(それは母親であるシャーロット・ランプリングに対して。彼女に何の罪が?夫の罪は妻の罪?それとも、今まで知ってたのに見て見ぬふりでもしてた?)、玄関のドアを叩いて罵る女性がいたりする。でも、収監されている夫は、息子のことを「絶対に許さない。よくもこんな・・・」と言う。
本当のことが測りかねるのだけれど、やっぱり彼女は徐々に追い詰められてゆきます。夫がかわいがっていた犬が餌を拒否するとか、今まで普通に通っていた会員制スポーツクラブに「この会員証は無効です」と突然言われるとか。小さなことが積み重なって行き、演劇クラブでちゃんと発言できなくなり、やがて仕事をやめ、荷物をまとめて出てゆく姿が映されます。海岸に打ち上げられた瀕死の大クジラが象徴のように重なります。
<ここからネタバレ>
映画はここで終わりなのですが、どこの解説を読んでも「年配女性の再生の物語」とか「苦難を経て、毅然と前に進もうする姿」とか書いてあるのですが、そうなかぁ。私は、てっきり自殺しに行くのだと思ってました。そんな”希望”って、描かれていたかなぁ。私は腑に落ちません。見る目がないだけか、自分が人生に希望を見いだせていないからそうとしか見えないのか。でも、私は今でも「そうかなぁ」と思っています。
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