まず、望遠鏡の原理からおさらいしておこう。
望遠鏡はレンズや鏡を使って光を集め、遠くのものを見る装置のこと。レンズであれ、鏡であれ、その表面が「ざらざら」ではものを見ることはできない。光という「波」の波長よりもなめらかになっていなければ像は得られない。
すりガラスを通して物をみることができないのは、ガラス表面が「平らではない」からであり、磨いていない金属板が鏡にはならないのも同じ理屈。
今回観測に使われた「イベント ホライズン テレスコープ」EHTは地球上のあちこちにある電波望遠鏡で集めたデータを解析してものすごい「視力」を得るという試みで、VLBI(超長期戦電波干渉計)の一種になる。
つまり光ではなく、電波で「見ている」わけだが、実現にはとんでもない困難がある。
使われたのは1.3mmの波長の電波。普通の光(赤)の2000倍の波長にあたる。
電波望遠鏡でも、鏡面が「ざらざら」では像は得られない。波長である1.3�个茲蠅發困辰半�さい「面精度」が必要になる。これはそれぞれの電波望遠鏡の反射面の精度が必要ということでもあるが、多数の望遠鏡を「同時に」使うために時計を合わせなければならない、ということでもある。
どれぐらい精密に合わせなければならないか、というと電波が1.3mm進む時間よりももっと短い時間精度での「時計合わせ」が必要なのだ。チリ(ALMA)を中心にグリーンランドから南極まで各地にある電波望遠鏡の時計合わせが行われた。
さらに、電波は「光速で進む」といっても空気中ではごくわずかに速度が遅くなる。通って来る大気の厚み・風などの影響も排除しなければならない。
もっとややこしいのは地球がじっとしていない、ということだ。太陽のまわりを自転・公転しているので、その影響も(1.3mmより細かいレベルで)取り除かなければならない。時計合わせに失敗すると「ざらざらのガラス」を通して遠くのものを見ようとするのと同じでなにも得られなくなる。
得られるデータ量も多すぎて通信回線では送れず(ALMA内だけは日本チームの努力で通信回線でデータを集めることができた)、各地で収集したデータのハードディスクを持ち寄って、相関器という「専用の計算機」で処理を行う。これで得られるのは、各電波望遠鏡間の「干渉縞」だ。この干渉データをフーリエ変換やらあれこれやって画像を「再構築」する。この再現計算の原理は医療用CTやMRIと同じ。
電波干渉計は「大きな1枚鏡」ではなく「小さな鏡があちこちにある」ので、完全な像は得られない。当然「補完」も必要になる。
干渉データから元の天体の形を復元するために、EHTでは当初3チームがそれぞれ独自の方法でデータ解析を行って、3チームがほぼ同じ画像を得たので「たぶんまちがってはいない」と発表が行われた。
リング状に見えているのは「電波」だが中央の暗い部分がブラックホールの「影」である。影のサイズも理論的なブラックホールのサイズ(もう少し正確に書くと事象の地平の直径)と「だいたいあってる」らしい。
研究者向けにはデータが公開されているので、世界中で検証が続いている。今回のニュースもそのひとつ。今後もいろいろな解析結果がでてくるはずだ。そうやって少しづつ「本当の姿」をあきらかにしていく過程が「科学」。
間違いを恐れず、どんどん論文にして発表していくことが進歩になる(欺瞞とかはイカんけどね・・・)。
■ブラックホール撮影に異論=リング状構造「見えず」―国立天文台助教ら独自解析
(時事通信社 - 06月30日 21:01)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=7016749
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