クリスマスのある晩、サンタは居ないと断言していた幼い自分に、サンタは訪れた。
儀式のように、長い靴下はセットしていた。
朝起きたら、枕元に大きなオルゴールがあった。泣きたいほど嬉しかった。お父ちゃんのクリスマスプレゼントだった。
そのオルゴールはレトロな家の形で、家の前にはガス灯とベンチがあった。
そして、そのオルゴールの曲がショパンの「別れの曲」だった。
家庭内の事情があり、愛情を存分に受けて育っていなかった我が父は、子供、私への愛情表現が素直に出来ない人だった。
父親にハグされた思い出は無い。体が弱いので何かを表現すると、それが体に出てしまうからなのか、我が父は多少収益があった時に、私に物をプレゼントする事で愛情の表現としていたようだ。
それでも、オルゴールなんて初めてで、ショパンの別れの曲は忘れられない。
独学で初心者ピアノで、いつかはチャレンジしてみたいとは思っていた。
なんとか初心者楽曲で演奏できるようになった今、別れの曲? お父ちゃん、既に別れる為の私へのプレゼントだったのか。などと父親の切ない愛を感じております。
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