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2022年05月21日19:05

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塗りあがり天気予知

[あらすじ] 47年前に引っ越して来て以来使っている食卓が、
年月と介護を経て、汚れ傷んでいる。
塗り替えようとして削ったら削り過ぎたので、張り替えようかと考えたが、
やっぱり塗り替えることにした。

脚部分は色付きの柿渋で暗めに染め、
天板はオイルステインで明るめに色を付け、
油性ニスを塗って仕上げた。


週間天気予報を見て、2日連続で降らないタイミングを見計らって作業を始めた。
幸い、翌日の「午後から雨」という予報が消えたので、取り掛かった。
しかし、そんなのはまたいつ「やっぱ降るよ」に変わるか分からない。
そもそも、天気予報をあてにすればするほど降られるものだ。



二十代の半ばから14年間、水道メーター検針の仕事をしていた。
担当地区を一軒一軒回って、地面に在るメーターボックスを開けては数字を読む
誰にでもできる簡単なお仕事です。
誰にでもできるけれど、
何年もやっていると、スキルが付いてくる。

そのうちの一つが、天気予報であった。
天気予感と言ってもいいし、天気予知と言ってもいい。
経験の積み重ねによる確かな勘が付く。
それは言語化されたものではない。

朝、空を見て、雲の様子から、今日は何時頃に降り出すだろう、
と思う。それが、当たる。
こう書くと、経験的なものが働いていることが理解しやすいだろう。

しかし、勘はそのような現れ方だけでは収まらない。
とても多かったのが、
仕事を終えて家に帰ってシャワーを浴びていると外で雨が降り出す。
という現象だ。
「降り出しそうだから急いで帰らなきゃ」と思って帰るわけでもない。
けれど、間に合って帰れて、屋根の下に入ってから降り出すのだ。
まるで、私が家に帰ってから降るように雨の神と約束でも交わしたかのようだ。

仕事を辞めて十年ほど経った頃、
その勘がすっかり鈍(なま)ってしまったことに気付いた。
必要の無い能力は衰えるのだ。
廃用症候群てわけだ。

しかしこの頃、庭仕事をすることが増えたおかげか、勘が戻ってきた。
雨の降る前に草取りを済ませたい薪割りを終えたい
などといった必要に迫られたからだろう。



天気予報のサイトでは、一日中「雲」マークだけれど、
いやウソだろ昼前には降るぞ
と思うと、本当に降る。

そういうことが増えてきた。



柿渋は独特のにおいが有る。
オイルステインはもちろん油性だ。
油性ニスはしっかり乾くまでにおいが強い。

室内で作業したら、溶剤のにおいで酔ってしまうだろうから、
屋外で塗る。
つい数日前に完成したバイク小屋の屋根が有るので、
いざって時でもびしょ濡れにはならないが、
降らないに越したこたあ無い。

3度目は、朝に塗った。
その日のうちに室内に入れて組み立てるか、
もうしばらく外に置いておいて、翌朝、家に入れるか。

天気予報は雲マーク。
翌日の夕方に傘マークが少し。

いやー。
夜のうちにちょっと降る気がする。

そう思って、夕方のうちに室内に運び込み、組み立てた。



朝、目が覚める。
雲が空を覆っている。
外に出てみると、かすかな雨がかすかに顔に触れたが、
雨具も必要無いくらいだ。

とは言え、こんな空の下に塗りたての食卓を出しっぱなしにしなくて
やはり良かった。

天気予報サイトを開いて、1時間ごとの天気を見てみる。
予報は当たらないとしても、今までの天気を確認することには使える。

夜明け前3時間に傘マークが付いている。
なるほど地面はしっとりとしている。

予感は当たった。



私などよりも当たる先輩検針員のおばちゃんがいた。
こういう人がホンモノの気象予報士ではないか。

全国津々浦々に、屋外で働く多くのホンモノがいると思う。
一次産業従事者を始め、二輪を使う配達員さんや営業マンなんかも
勘が有るかもしれない。

そういう人たちの勘を投稿するサイトが有ったら面白そうだ。
あ、自分で作ればいいのか。
気象庁より当たる本当の天気予報サイトができたら、ひと財産できるもんね。
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