少年よ神話になれ

GWに「シン・エヴァンゲリオン」の公開延期時に放送された激情版エヴァンゲリオン3部作を見ました。BSでやってたTV版も、いまだにちょくちょく庵野監督の出世作と言われて話題になるナディアもピンとこなかったにも関わらず、やっぱりあれだけ話題になったものであれば見とかないと、と言う感じです。TV版でもそうですが、メカ（と言っていいものやら）デザインや表現力には感心しますけれど、物語にあまりにも共感できず、結論としてはエヴァンゲリオンと私は決定的に相性が悪いのだろうと思いました。

シン・ゴジラも地上波放送時に見て、どこが一番印象に残ったかと言えば、対策本部を作るときに机やPCを運び込んでいるシーンが挿入されていたことで、「細部の描写でリアリティを演出する」点では非常に優れた感覚があるのだろうと感じますし、エヴァでもそれは感じました。「大きな嘘を信じさせるには、小さな真実を積み重ねろ」とよく言われますが、まさにそんな感じで、危険だと言いつつ回避する方策をとらず、やたらと一発勝負を乱発して話が進んでいくと、いくら緻密な心理描写をしても共感できないのは、私の思考が合理主義的すぎるからなのでしょうか。3作目で、やたらとアスカがシンジを「ガキ」と言うのですが、ガキをガキとけなすだけで成長を促せないのはやはりガキで、そういう意味ではエヴァに大人は出て来ないと言う見方もあるでしょう。

ある意味、世の中は実際、そういうレベルの議論だけで進んでいるような気もしてきて、シンジのように「いいことしようと思ってやったんだ」と、よりよい方法を考えることもなく「頑張ったから」「つらい思いをしたから」褒めてもらえると行動するひとが世の中を進めてしまうのかもしれません。