mixiユーザー(id:7410632)

2021年12月04日16:54

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11月の。

11月に観たのは『ルーパー』『KITE』『47RONIN』『アバター』の4本。

●『ルーパー』
未来世界の犯罪組織に雇われて、30年後から送られて来る標的を機械的に始末する処刑人たち。ジョーは或る日、送られて来た30年後の自分自身と対峙し、逃げられて仕舞う。組織からの信用と昨日までの日常を取り戻すため、未来の自分を追うジョーだが……。
30年後には実現して居るタイムトラベルを違法に使う未来の犯罪組織から、報酬である数本の銀の延べ棒を背負わされて拘束覆面状態で出現する標的を機械的に始末する。辞めたければ退職金である大量の金の延べ棒と共に出現する30年後の自分自身を始末しなくてはならない。て云う設定が少し面白い。
そんな始末人ルーパーは「前向きな人間には向かない」て主人公は評して居たけど『まぁまぁ裕福な余生30年が手に入る』て思うとどうだろう、他に生きる手段のないハグレモノには悪くない話だったり、するのかしらね。自分自身を殺すと云う退職は『ループを閉じる』として普通に受け入れられて居て。
タイムトラベル以外にも散見される宙に浮くバイクとか念動力とかSFぽいガジェットがスラムぽい退廃的な雰囲気とよく合うのだよね。車はちゃんと地を走って居るのがこう、バイクのとっぽい、粋がりアイテムな感じを際立たせて居る。意図的なモノか知らんけど。汚いピックアップトラックもあるしね。
顔も知らない未来世界の元締め『レインメーカー』。未来のジョーは自分と妻の運命を変えるため子供時代のレインメーカーを殺そうとする。現在のジョーは先回りして未来のジョーを待ち伏せるが、後のレインメーカー及びその母親と心通わせて仕舞う。この辺の流れはまぁ少しターミネーターぽくもあり。
未来のジョーにとってはどうしても変えたい過去も、現在のジョーには実現するかどうかも判らない与太話なのだよね。特にその日暮らしの享楽的なルーパーにそれを想像しろと云ってもまぁ、ムリかな。未来の自分の格言は過去の自分の心を動かしはしない。コレ、いろんな話に描かれるけど割と真実よね。
現在のジョーがヘマをした友人に云う「貨車に乗って逃げろ」。幼少時の経験からのコトバなのだけど未来のジョーもこの云い回しを使うのがまぁ、ちょといい演出ではあったね。繋がって居るなと云うか、根底は変わらないのだなと云うか。貨車を信頼して居るのだね。幼かった自分を助けて呉れたから。
そう云えば、目前の標的が『幼い頃、母親が暗い部屋で歌って居た歌』を歌って居たから未来の自分だと気付いた、て云うセスの言葉もズシンと来たのだよね。彼の人生を想像させるいいセリフだと思う。
キャラで一番好きだったのはイキリチンピラのキッド。ゴツイ銃でカッコつけてるのに抜けて居てカッコつけきれないキャラ。ボスに見捨てられ起死回生を狙うも主人公には勝てないのだよ。悲しいね。

●『KITE』
犯罪組織に両親を殺され復讐を誓う少女サワは、父の同僚であった警官の助けを借りて組織の人間をひとりづつ殺してゆく暗殺者となる。精神安定のために自らに投与するクスリの影響で記憶は朧げになりつつも組織のボスであるエミールに近づいてゆくが……。
何か場面の切り替えとかリズムが割とアメコミっぽい進行だなと感じ、アメコミ原作?それをそのまま映画に?て思ったら元は日本のアニメなのね。煤と煙に包まれた退廃した世界の疲れ切った空気、パワーのない死に掛けの街が吐息をつきつつ駆動して居る感じがね、何かアメコミぽいなと感じたのだよね。
経済も政府も崩壊し警察は腐敗し、人さらいが横行し人身売買組織が街を牛耳る。こんなお手軽バイオレンス世界、ハリウッドには傑作から二束三文までゴロゴロして居るワケでプラスアルファがないと埋没して仕舞う。そう云う意味ではこの作品、ちょと厳しいかも。でも雰囲気はよかったし嫌いではない。
薬のせいで記憶は曖昧、ぽろぽろとボロを出しつつ脇目も降らず復讐に突っ走るサワ。アカイはそれを支えつつ、副作用として記憶をなくしてゆく薬を、彼女の身を案じつつ渋るポォズを見せつつもむしろ率先して与えて居るようにも見え。この辺から何か、アレ?とは思うのだよね。そしてこう云う「アレ?」は割とよく当たる。それは勿論そう云う風に、何か引っ掛かるように創って居るからなのだけど。
サワが主体でアカイはそれを補佐して居るように見えて実は……的な展開。オブリとその父親、そしてアカイ。事件の真相。この辺はピースがカチリカチリ嵌って行く感じでちょとだけ心地よかったかな。
「俺は美しい怪物を造った」とアカイは云う。この辺がこの映画一番の問題点かな。サワが『怪物』に見えないのだよね。運動神経が高いワケでもない、ごく普通の子供なのだよ。まぁそんな突出したモノがない普通の少女がボカスカ人を殺す、殺して仕舞えると云うのが怪物と云や云えるかもだけど。
サワの部屋の窓の外、そしてラストに映り、またタイトルにもなって居る凧。コレも何か意味があるのだろうな。描かれ方からして恐らくポジティヴな。僕にはその意味がよく判らなかったけども。
あ。パルクールぽい動きをするサルの群れのような人さらい集団ナンバーズはちょと面白かったよ。半分野生化してるよねもう奴ら。あのままもう数年経ったらヒトの言葉を忘れてウキイとか云いそうだ。

●『47RONIN』
赤穂の地を手に入れんと企む吉良。その配下の妖術使いに陥れられ切腹した浅野の殿様。仕える主君と武士の誇りを失い『浪人』と化した大石以下元家臣たちは、子供の頃領内に迷い込み居住を許された外国人カイと共に、主君の仇討と姫の奪還に挑む。
大陸の騎馬民族みたいな狩猟の服装とか、中国ぽい意匠が混じる城とか、相変わらずのハリウッド日本なのだけどもコレはもう明確に『そう創ろう』と思って創って居るよね。日本と云うより『ごった煮オリエンタルファンタジィな異世界モノ』と思えばしっくり来る。そんな世界で展開するのは魔物や妖術使いの跋扈する何だか少し忠臣蔵ぽい『何か』。そう思って見るとまぁ、予想よかちゃんとしてたかな。
カイの姫に対する思いは武士と云うより騎士道だね。ドン・キホーテの姫に対する思いに近いかも。
あと47士では何人かいいキャラが居たけど、気のいいデブ芭蕉が特に印象に残る。浅野家中でカイを袋叩きにせねばならなくなったトキ、進み出て「すまん」と一撃で気絶させて終わらせるシィンでその人となりがよく判る。ずっとカイを敵視して居た安野が彼の死をキッカケに変わるシィンもよかった。
公開当時の広告でひときわ異彩を放って居た顔面ドクロ刺青男。友人と「こいつが吉良だったらどうしよう」「言葉が通じる気がしねえ」とか話していた彼。モブの船乗りで1分も映ってなかったのが残念だったな。そう云や吉良を演じたのが『浅野』忠信だったのはアレわざとなのだろうか。ちょと面白い。
その吉良。肝心なトコで大物になり切れない小物感が良かったな。妖術使いにそそのかされてつい黒い夢を見ちゃったんだろうな的な佇まい。ラスボスとしてちょと尻の座りが悪い感じは斬新だったかも。姫に拒否されて驚いたような、ちょと傷ついたような、悲しそうな顔をするのとか、リアルだった。
吉良配下のプレートアーマーぽい異形の巨漢武者。一言もコトバを発さないけどめっさ強い。恐らく作中最強。どうやって倒すんだこんなん……て思って居たら爆発であっさり粉々に吹き飛んでえええええ……てなったのだよね。あいつはしっかり倒して欲しかったかな。この肩透かし感は大きかったよ。
『正義を成した勇者たちが死に追いやられる』流れをメリケンのヒトたちはまぁ、話運びとして理解はしても情緒として上手く消化出来たのかなぁ。彼らに死を言い渡した将軍も別に物語上の『悪』ではないしね。『罪人として処刑』と『誇りを保った自決』は、メリケン人に取ってどのくらい違うのかな。
それと別に全然いいんだけど、こんなハタメタに改変し倒したファンタジィの最後に「日本人の心に残り、今も語り継がれて居る」とかトートツにリアルをぶっこむの止めてください。少し笑ったけど。

●『アバター』
死んだ兄の代わりに惑星パンドラに来た半身不随の元海兵隊員ジェイク。兄の遺伝情報を混ぜて造られた原住種族ナヴィの肉体に精神を移し、彼らの社会に入り込む。目的は鉱山開発のために彼らを手なずけるコト。だがジェイクは彼らとその暮らしに情が移り……。
未開地を切り開き、原住民を同化し手なずけ、逆らえば叩きのめす。実際に世界中でガンガン行われて来たコトのSF版よね。その点では目新しいコトは特になく、とても判り易いストーリィでもある。
好戦的な軍人が闘争に執着するあまりに常軌を逸して行って暴走、ラスボス化するのは映画のひとつのステロタイプでこの映画の大佐もまたそのタイプ。しつこく生き延びてラスト、主人公と対峙して「もう終わりだ」て云われ肩をすくめて「俺はまだ息をしてる」辺りはまぁ、ド定番だけど燃えるは燃える。
会社人間で利益のコトしか頭にないパーカー。軽いお掃除気分で集落破壊を決定するけど、ホームツリー崩壊を呆然と見て居た様子から『自分が何をしたのか』に気づいて何か変化して呉れる?……と思ったけど特に何もなかったな。以降イキオイが減ってずっとしょげて居た、ように見えただけでも変化か。
パイロットのトルーディ。軍に属しながら大佐に背き主人公側について呉れるおいしい役どころ。主人公パーティの中で彼女と科学者グレースは命を落として仕舞うけど、生きて居て欲しかったな。
美しくリアルに創られた異世界を見れるのが肝の映画だね。青い葉に赤紫の花、紫の翼竜。『六脚で首に呼吸用の穴』て云う動物たちの体構造とナヴィたちのそれが違うけど、人間に近づけて感情移入し易いように敢えてそうしたのかな。異世界感を出すため感情移入の必要のない動物は異形マシマシにして。
動物たちの中ではシュモクザメとサイの合成獣みたいなのがデザイン的に好みでしたよ。あぁアト『絡み合った木々の根が電気的な情報をやり取りするコトで形成される、星全体を覆う巨大ネットワーク』て云う概念は面白かった。ソラリスの海ならぬパンドラの森。そしてハッピィエンドへの道筋。
そう云やホームツリー崩壊後、ナヴィ側の絆を全て失った彼の元に忠実な大型犬の如く駆けつけて呉れた小さい方の翼竜は?すぐ大きい翼竜に乗り換えちゃったけど可哀想じゃね?『生涯一人のハンターに仕える』のに。まぁトルークはストーリィ上必要な臨時パートナー、またイクランに戻ったと信じたい。

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月間賞は、あー、ほぼ横並びなのだよな。『KITE』がほんのちょと下がってるけど。
今日の気分では、まぁ、『アバター』?でも本当に選べないのだけどもね。
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