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2021年11月30日12:59

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【フネ】愛しきドン亀達《壱》BB-38ペンシルベニア(1919)

第一次世界大戦後、潤沢な資金と圧倒的な工業力にモノを言わせ、後発ながら一気に軍事大国に躍り出たアメリカ。元々ヨーロッパからの入植によって形作られた国だが、大西洋を渡り北米大陸の東海岸に上陸した人々は、先住民族を駆逐しながら西へ西へと進み太平洋に到達。勢いそのままに海へ繰り出し、ハワイを取り込み、更に先のアジアへまで手を伸ばした。当時のアジアはまだまだ発展途上の弱小国の集まりに過ぎず、豊富な資源と将来性豊かな市場が手付かずのまま眠っていた。
ひとまずフィリピンを植民地化してアジアへの足場を築いたアメリカだったが、その行手を塞ぐ様に立ちはだかっていたのが日本であった。アジアの盟主を自負する日本と、アジアを食い物にしようとするアメリカ。太平洋を挟んだこの両国が激突するのは、地政学上避けられない運命だったと言えるだろう。
日本を仮想敵国と見做し、広大な太平洋を作戦海域と想定したアメリカ海軍は、索敵や火力支援などの高速の巡洋戦艦部隊と、低速ながら殴り合い専門の戦艦部隊と、それぞれに特化した2種類の戦艦部隊での運用を想定していた。

米戦艦は主砲口径の拡大よりも砲門数を重視する傾向にあるが、これには2つの理由が思いつく。1つは快晴の太平洋での戦闘を想定し遠距離射撃を前提としていた事。遠距離では数撃たなきゃ当たらないので、1発の破壊力より数を重視するのだろう。
もう1つは、アメリカ人は冒険好きでもあるが、同時に非常に合理的でもある点だ。新兵器に安易に飛び付かず、信頼性を重視して意外に慎重である。日英が先を争う様にして大口径砲を採用したがるのに対し、米独は口径を抑えて砲門数を増やしたり、砲身長を伸ばして初速を上げて強化するケースが散見される。
最高速度は21ノットと低速ながら旋回半径は700ヤード(640m)。デブだから走るのは遅いけど、意外とすばしっこいってイメージか。ベタ足だけどハンドスピードのあるヘビー級ボクサーみたいでもある。
航続距離が長く居住性も優れている。これも太平洋での行動を想定している為。居住性は士気に大きく影響する。
ユトランド海戦の戦訓から水平防御を強化し集中防御方式を採用。ダメージ・コントロールも改善された。
これらの性能を満たした戦艦を『標準型』と呼び、以後の米戦艦の特徴となった。

1911年度に最初の標準型戦艦としてネバダ級が計画されたが予算が不充分だった為、前級であるニューヨーク級と同程度の艦型、装備に抑えざるを得ず、いわばニューヨーク級を『標準型』化する形として設計された。

因みにニューヨーク級はアメリカ海軍初の超弩級戦艦だが、『標準型』の性能は満たしていない。 1914年に竣工。排水量2万7000t。10門の35.6cm砲を連装砲塔で搭載したので砲塔の数は5基となり、後の『標準型』よりもバイタルパート(最重要防御区画)が長い。

ネバダ級は1916年、竣工。排水量2万7500t、35.6cm3連装砲塔2基、連装2基(10門)
サイズや性能はニューヨーク級とほぼ同じだが、米海軍初となる3連装砲塔と集中防御方式を採用した。
3連装と連装を組み合わせ、10門の主砲を4砲塔にまとめてバイタルパートを短縮。集中防御方式も相まって、装甲厚は343mmとなった。

次に建造されたのがペンシルベニア級戦艦。ネバダ級の拡大改良版で、標準型戦艦として更に煮詰めた形だ。
全長は前級より7m程延長したが、依然として寸胴なスタイル。船体の拡大と共に、3連装砲塔による背負式配置を採用し、35.6cm砲を12門に強化。これは同時期の日本の扶桑級や伊勢級と同じ砲門数でありながら、砲塔の数を2/3として防御区画を短縮した。前級で成功した集中防御方式を更に改良し、装甲厚、耐久性共に強化。低速な点を除けば攻撃力、防御力共に高いレベルでバランスの取れた優秀な戦艦と言える。
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