mixiユーザー(id:7410632)

2021年11月03日14:52

67 view

10月の。

10月に観たのは『カウボーイ&エイリアン』『猿の惑星:聖戦記』『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』『メイズ・ランナー2』『メイズ・ランナー3』の5本。

●『カウボーイ&エイリアン』
荒野の真ん中で目覚めた男。手首には謎のごつい腕輪が嵌り、全ての記憶を失って居た。近くの寂れた街で彼は保安官に拘束され、自分がお尋ね者だと知る。其処に飛行体が襲来し、住人たちをさらってゆく。家族を取り返すために追撃隊が組まれ……。
題名通り西部劇+エイリアンです。寂れた田舎街を牛耳るボスと主人公。因縁もあり最初は険悪だけど映画が進むにつれ仲間になって行く。このボスが冷酷非情なイメェジからどんどん変化してゆくのが頼もしかったな。子供にはつっけんどんながら優しいのだよねこいつがまた。意外な一面ってヤツ?
そのボスの腹心の部下も「子供の頃に拾われ実の子と分け隔てなく育てられた」と恩義と愛情を感じて居て。中盤でこう云うのが描かれるの『雨の中で子犬を拾う不良』理論よね。この部下が死ぬトキ「お前が息子ならばと」とボスに云われ嬉しそうにしてから、本当の息子を助けに行くよう促すのも泣ける。
とにかくボス周りが多少浪花節ではあるけれど非常に濃くて、ヒロインムーヴかます女は若干影が薄いかな。『かつて彼らに自分の星を滅ぼされた宇宙人の生き残り』なんて主人公属性なのだけどね。アレ炎の中で甦ったのだからラストも生きて居るかなぁと思ったけどサスガにね、そうはならなかったね。
終盤に向けて記憶喪失の主人公、ボス率いる街の連中、インディアンたち、主人公のかつての仲間だけど今は彼を憎む野盗たち、そして生き残り宇宙人と、バラバラだった連中が寄り集まり連合軍となってゆくこの辺はまぁ王道だね。全体的にストーリィに突出したモノはないけどその分安定感はあって、それで居てイヤな既視感を刺激する部分は少なく普通に一気に見入って仕舞えるのでまぁ、いいかな。
エイリアンたち。デザイン的にはまぁ、好きかな。胸がぱかっと開いてにちゃあ、と精密作業用の腕が出て来るのとか、ワケ判らないけどきしょくてよかったかな。あまり知能のありそうな連中ではないけどね。戦闘力は高いけど。下働きの種族だったりするのかしら。黒幕は遥か異星から動かず、みたいな。
おバカ映画かと思ったら意外としっかり創られて居ましたよ。まぁ、予想よりはね。主人公がかつての仲間チームに遭遇して険悪になるシィン。リーダー格に「ヤツの銃を奪え」て云われ「済まねえ」て云いながら主人公の銃を奪った男。敵対の果てにリーダーを撃ち殺し立ち去る主人公に「お前はいいヤツだから返すよ」て銃を返して呉れるのだけどもこのシィン、このキャラ、何か良かったな。印象に残る。

●『猿の惑星:聖戦記』
猿インフルにより滅びに瀕した人類の生き残りはエイプから世界を取り戻す戦いを続けて居る。エイプのリーダー、シーザーは防戦に徹し「手を出さなければ攻撃しない」とメッセージを送って居たが、敵のリーダー『大佐』により妻子を殺され復讐を誓う。
かつて「エイプはエイプを殺さない」とコバを断罪したシーザーは、妻子を殺されコバのような怒りに囚われて大佐を追う中で、臆病から裏切ったゴリラをその意思はなかったとは云え殺して仕舞い、「お前にエイプは救えない。こっちに来い」と囁くコバの幻影に悩まされるコトになる。コレは辛いね。
人間陣営についた裏切り者のエイプたち。背中にドンキーと落書きされ雑な扱いを受け、しかし仲間の元には戻れない。「俺たちが死んで自分だけ助かると思うか。ドンキーと呼ばれてもお前はエイプだ」と云うシーザーのコトバも彼らには届かず。と思ったらゴリラさんは一番最後に漢を見せたな。
猿インフルに痛めつけられた人類を更に言語能力を失う新たな疾患が襲う。「自然を捻じ曲げ今のエイプを創り出した人間を自然が痛めつけて居る」と云う大佐は人間の証たる言語を失い獣に落ちるコトをよしとせず、かつて病に侵された息子を我が手に掛けた。其処からもう後戻り出来なくなったのだね。
大佐のコトノハはまぁ狂っては居るが「自分がお前の妻子を殺したのは戦争行為で、お前は個人的な復讐をして居る」との云い分には一分の理がなくもない。狂人だけどね。ラストまでその行動は狂人なりに一貫して居たよ。言動が一貫し過ぎてるのもまた狂人の条件なのかもね。常人は迷うし、ぶれるから。
囚われた仲間たちがトンネルを抜けて脱出するシークエンスはアレだ、大脱走だ。シーザーが雪崩に飲まれず仲間の元に戻り、穏やかに最期を迎えられたのはメタ的に云えば仲間たちを導く責任があったからだろうけど、でも憎しみを断ち切った、断ち切るコトが出来たからかもね。てかまぁ明らかにそうだ。
猿たちの中に受け入れられたノバはこれからどうするのだろうね。彼女のように猿に敵意を持たない人間とエイプたちが共に暮らすコミュニティになれたらシーザーも喜ぶだろうけど、でも難しいかな。
ノバと云えばシーザーの小さい方の息子の名はコーネリアス。『創世記』で「イカロス号、遭難」の新聞記事が出て居たりもしたし、一応旧作へと繋がる橋渡しとして創られては居るのだな。モチロン細かな設定は違ったりするから、まんま繋がるワケでもないけど少なくともリスペクトとして、かな。

●『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』
撮影中のCMが失敗する予感に追われる監督が、かつて自分が撮った映画に出演したせいで己をドン・キホーテだと思い込んで仕舞って居る狂老人と再会し、サンチョ認定されて徐々に常軌を逸脱してゆく狂気の旅路へご案内。そんなん。
トビーは学生時代に撮った今回と同じドン・キホーテものの映画を思い出し、ロケ地がすぐ近くなのに気づく。そうして久し振りに訪れた夢の街ロス・スエニョス。山肌に張り付くように作られた坂だらけの街。若く無謀なエネルギィに満ちた自分たちの幻影。それを見るのは懐かしく楽しく、また苦しい。
ヒロインのドゥルシネア姫を演じた村娘アンヘリカはトビーの惹句を真に受けて女優を夢見て都会へ行って仕舞った。主演した靴屋の老人ハビエルはトビーの演出がクランクアップ後も解けず、もう完全にいかれて仕舞って居る。『己をドン・キホーテと思い込んで居る狂老人』はもうドン・キホーテだよね。
サンチョを演じたペドロは酒に溺れてとっくの昔にあの世行き。そのせいかな、ハビエル=キホーテがトビーをサンチョと思い込むの。まぁ何はともあれそんなんで現代の主従が結成、夢か現か判然としない世界をかっぽんかっぽん進み出す。まぁそもそもハビエルをキホーテにしちまったのはトビーだからね。因果応報。キホーテさん幸せそうだからいいけど。スピード感あってエスカレートが心地よい。
まぁそうは云っても何処かで正気に戻るんだろうな。ラストまでには。何処かで。何処かで。と思って居たらそのまま地平の彼方へ行って仕舞われたな。雰囲気はめっさ好きでしたよ。カラフルで楽しい悪夢。『未来世紀ブラジル』の『人間は妄想の中でしか自由を得られない』からポジティブに歩を進めて『妄想でもいいから自由に居られる場所を見つけようぜ』みたいなね、そんな感じを受けたな。
そう云やキホーテを演じて居たのが気づかんかったけどジョナサン・プライスなのでね、サムが夢を新たな世代に託すエンドだと思うと感慨深いモノがあるな。そんなコト考えての配役ではないだろうけど。
因みにトビーはトビーで何処かで見たなこの顔割と最近……て思ってたらカイロ・レンだった。
ところでこの物語、何処から『あちら側』だったのかしら。シームレスに徐々に狂って行ったからよく判らないのだよね。まぁ恐らくそう創ってあるのだろうし、それでいいのだろうけど。……最初からだったりしてね。主人公、『自分をCM監督だと思い込んで居る狂人』だったりしたりしてね。うひひ。

●『メイズ・ランナー2』
地獄の迷路を抜けたトーマスたちは軍隊に助けられヘリで基地へ運ばれる。ゾンビのような感染者『クランク』が襲い来る中、他の迷路の生存者たちと共に基地の奥に保護されたトーマスたちだったが、この基地の『真実』を知って仕舞い……みたいな。
『1』鑑賞からかなり時間が経って仕舞ったな。いやジャケットに『仲間の裏切り』とか書いてあってね、あんなアレコレあって絆を結んだ仲間の裏切りかぁ……あんま見たくないなぁと思って仕舞ってね。だらだらとね。観てみたら理由のある納得する裏切りだったのでまぁ、うん、悲しいね。て感じだ。
『1』はね、僕にしては割かし覚えて居たな。テレサとミンホとニュートは覚えて居たからね。ウィンストンはスッカリ忘れ果てて居たけどね。済まんウィンストン。アトあの黒人。あいつ1に居た?て思ったら居たらしい。済まなんだ。君あんま喋らんからさぁ……。そう云や「アレ?1人居なくなってね?」て思ったらマジで途中で消えたキャラが居たみたい。死亡シィンがカットされたらしい。不憫過ぎる。
もとい。前作が脱出ゲェムだとしたら今回はゾンビパニックものだったね。もう迷路ないけどまぁ彼らを取り巻く現実だって迷路みたいなモンだし問題なしだ。トーマスは保護施設の古株エリスに誘われてこの基地で行われて居るコトを目撃し、此処がWCKDと繋がって居るコトを知り、脱走を決意する。
そのWCKDについても少し掘り下げがあり、やって居るコトは非道だけど……的な流れ。トップぽいエヴァ博士も主人公と対立するラスボス的立場ではあるけど『1』で死を偽装した以外は現時点では嘘は云って居ない感じはするのだよね。判らんけど。その前提に沿うと悪と云うワケではなく、もう一つの正義ではあるのだろう。まぁそれが本心ならば何もこんなやり方しなくてもいいだろうとは思うけど。
そしてテレサ。彼女の本心がトーマスたちと食い違って居るのは今回の割かし早期に明確に示唆されて居たのだし、コレはまぁ対話の時間的余裕がなかったとは云え、その齟齬を知りながら放置して居たトーマスの責任でもある気がしないでもないな。対話して居ればどうにかなったかどうかは別にして。
そしてジャンソン。作中でただひとり、明確な悪人として描かれて居る男。ヒトを痛めつけるのを楽しんでるモノな。最後に要らんヘイトを稼いで帰って行ったのは『裏切り者』に対するヘイトを減じる作劇上のテクニックかも知らんけど、まぁいずれにしろあいつ『3』で酷い目に合うのであろうなぁ。
ええと、ケッコウ見応えありましたよ。少なくとも続きを観たいと思わせるだけのパワァはあった。

●『メイズ・ランナー3』
ミンホと仲間たちを取り戻すためのトーマスたちの戦いは、WCKDの本拠地である『都市』でのバトルへと突入してゆく。仲間を裏切り敵側に廻ったテレサ、WCKDトップのエヴァ博士、そしてトーマスたちを執拗に狙うジャンソンとの最後の戦い。
あのね。敵側にも正当性を持たせようとして、でも理論武装が弱いので微妙な感じになってるのが惜しい。彼らは彼らで『世界と人類を救いたい』と云う思いがあるのだから、ちゃんと情感的にそれをガッツリ打ち出して主人公サイドのカウンタになって欲しかった。ぶつけ合って欲しかった。と、思う。
まぁどうカッコつけたトコで『目的達成のために自分たちはノーリスクで主人公たちを生贄に捧げた』事実は消えないけどな。特にテレサはねぇ……。患者に対する思いはとても深いのに、仲間たちに対しては『可哀想な患者のために犠牲になって当然』みたいなのがなぁ。何だろう、とてもモヤモヤする。
それでヒロイン面されてもな。て思いが小骨のように残るのだよ。だってあなた別にトーマス好きじゃないよね?惚れた男を実験動物用に売り渡したりはせんものな普通は。なのに何そのヒロインムーヴ。
いっそ悪役に徹してくれて居た方がよかったかも。彼らの矛盾、人間を救うために人間を犠牲にして居る、それがドラマの一翼を担って居るのは確かだけど、それがあまり前面に出て来ないのが惜しい。
その点、ジャンソンは潔く悪役を突き進んで居て清々しかったかな。最終的に選民思想にまで行きついてたからね。分不相応にも。その分ヘイトを一身に集めて仕舞うアレがあったけどまぁしゃあないね。そんだけのコトはして居るし。それだけの末路は辿ったし。キャラとして薄っぺらくはあったけど。
ホルヘとブレンダが重要な仲間になって居るのはいいね。ヴィンスも出番は少ないけどキッチリ絆は見せて。ローレンスは仲間と云うよりは終盤のかき回し役、破壊役だったけどそこそこ印象を残す。
生きて居たギャリー。トーマスは『お前』呼ばわりして憎悪をぶつけて居たけど途中からちゃんとギャリーと呼ぶようになったな。『1』では主人公サイドと殺し合った彼が誠実に仲間であり続けたのは何気に嬉しい。最後、石碑に自分が殺したチャックの名を自ら刻むのは『ずっと背負ってゆく』覚悟だね。
ニュートは生き残って欲しかったけどまぁ、手紙がちゃんと三部作を締めて呉れたからね。その手紙を見つけ、手紙だと気づいた瞬間のトーマスの衝撃、一気に読み始めず、読み始めるコトすら出来ず、溢れるモノを抑えて手紙を握り締め、俯いてしばし唇を噛み締めて居たのがヤケにリアルだったな。

●●●
月間賞は『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』に。
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2021年11月>
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930    

最近の日記

もっと見る