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2021年10月26日15:47

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サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ(Sound of Metal)

 「ヴェノム」「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」のリズ・アーメッドが主演を務め、聴覚を失ったドラマーの青年の葛藤を描いたドラマ。ドラマーのルーベンは恋人ルーとロックバンドを組み、トレーラーハウスでアメリカ各地を巡りながらライブに明け暮れる日々を送っていた。しかしある日、ルーベンの耳がほとんど聞こえなくなってしまう。医師から回復の見込みはないと告げられた彼は自暴自棄に陥るが、ルーに勧められ、ろう者の支援コミュニティへの参加を決意する。共演に「レディ・プレイヤー1」のオリビア・クック、テレビシリーズ「ウォーキング・デッド」のローレン・リドロフ、「007 慰めの報酬」のマチュー・アマルリック。監督・脚本は「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ 宿命」の脚本家ダリウス・マーダー。Amazon Prime Videoで2020年12月4日から配信。第93回アカデミー賞で作品、主演男優、助演男優など6部門にノミネート。編集賞と音響賞の2部門を受賞。日本では2021年10月に劇場公開。(映画.comより)







<2021年10月12日 劇場鑑賞>

 すごい映画だったなぁ。もう、素人の私には「すごかった」としか言いようがない。音楽を生業とする人なのに、聴覚を失うなんて、ベートーヴェンかつんくか(彼の場合は声だけど)、ともかくなくてはならないものを失うというのは、それはきっと常人の想像を絶するのだろうけれど、それでもやっぱり開けてくる道はある・・・私はそう受け止めました。

 もちろん、元の状態になんとか戻れないかともがく、あるいは現実をなかなか受け入れられないでもがく、それは当たり前です。私でもきっとそうします。でも、やっぱりどうにもならないものはどうにもならない。「一度失った聴覚は二度と戻りません」と断言されている姿にショックを受けました。そうなんだ・・・。私、自分自身は嗅覚がほとんどないのですが、どこか体のつじつまが合えば戻ることもあるのかと思っていました。いや、聴覚と嗅覚は違うかもしれませんが、でもたぶん同じ理屈でしょうね。そういえば、もう何年もそのままで良い方向に向かったことないです。「ナイスガイス!」という映画で、ライアン・ゴズリングが鼻が利かないという設定だったと思いますが、たしかそれが原因で妻が亡くなったのでしたね。私も同じです。ガス漏れがわからないし、腐ったものでも、見た目さえ変わりなければ腐敗臭がわからないので食べてしまいます。また、挽きたてのコーヒーの香りなどもわからないので、味もあんまりわかりません。味オンチです。まぁ悪いにおいもわからないので、気分が悪くなることが少ないってこともありますが。

 話がそれてしまいました。つまり、主人公(リズ・アーメット)は、彼女と共にバンドを組んで生業としていたのに、耳が聞こえなくなってしまうのです。話として触れられるだけですが、彼は過去に薬物中毒でもあったようです。そこから立ち直った時の知人のつてで、聾者のコミュニティを紹介してもらいます。そこの運営者のジョーがよかったですね。彼は役者さんかしら。私、見ていて「本当の聾者コミュニティの代表じゃないのかな」と思っていました。ここまで来るのに、いくつもの試練があっただろうジョー。彼自身は読唇術を使うのです。ですから、何をするときでも、こちらは口を覆ってはいけません。「手をどけてくれないか。唇が読めないから」とすぐに言われてしまいます。

 聾者のコミュニティには、少々明るすぎてあざとく見えるスタッフもいないことはないのですが、でも、そういう人もいないと、小さい子もいるし、皆がジョーみたいに真面目でも雰囲気変わるだろうから、これはこれでいいのだろうと思いました。

 聴覚を取り戻すことはできなくても、音と骨格と共鳴させ、脳に認識させる、そんな手術があるのだそうです。なんとしてでも恋人との元の生活を取り戻したかったリズ・アーメットは、車を売るなどしてお金を捻出し、トライします。確かに音は聞こえてくるようになりました。でも、何とも言えない金属チックな音。これが「サウンド・オブ・メタル」なんですね。そして、世界は、なんとたくさんの音に囲まれているか。有益・無益を問わず。これは、私自身も歳を重ねるにつれ「世界はうるさすぎるなぁ」と思うようになっていましたから、深く共感できるものでありました。そして、秀逸なラスト。なんと、美しい。言葉を失いました。

 彼女に対しても、彼は現実を認識できるようになっていました。素晴らしい。彼女にも試練だろうけれど、お互いになくてはならない存在だろうけれど、だからこそ一歩前へ人生を進められるのですね。そこから、先述した美しいラストへとつながります。

 どの場面を取っても、深く、深く考えさせられた映画でした。
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