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2021年09月04日15:27

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8月の。

8月に観たのは『カラー・アウト・オブ・スペースー遭遇ー』『クワイエット・フレンド 見えない、ともだち』『ゴーストワールド』『サウンド・オブ・サンダー』の4本。

●『カラー・アウト・オブ・スペースー遭遇ー』
農場を営むガードナー家の庭に奇妙な紫の光を放つ隕石が落下する。隕石はやがて落雷を引き寄せ消滅するが、次第に周囲の動植物が異常になってゆき、その異常はガードナー家の人々にも及び思考や行動がおかしくなってゆき……。
ラヴクラフト原作。人間の認識も理解も及ばない恐怖を好んで描く作家さんであるだけに本作も隕石の正体とかまぁワケ判らんまま終わるけどそう云うモノだ。『云いおおせて何かある』だ。同じ原作者の『フロム・ビヨンド』も昔映画館で観たけどやぱ何がそうさせてそうなったのかワケ判らんかったしな。そっちは原作読んで居たからまぁ……だったけど今回は原作未読だから余計そうなのかな。知らんけど。
ただ、そのワケ判らんモノに家族や世界が狂わされて行く不気味さや恐怖みたいなのはよく描けて居たよ。手触りとしては『アナイアレイション』ぽいかな。映画としての出来は悪くない、イヤ割といいかもね。ニコラス・ケイジのぬぼっとして居ながら神経質ぽい感じもよく雰囲気が合って居たと思う。異形のトマトを次々ハイテンションで齧っては「マズイ」と吐き捨て続けるシィンとか怖くて良かったよ。
娘ラヴィニアの魔女設定はよく判らんかったけどまぁキャラ付け程度に考えとけばいいのかしら。それともアーカムと云う土地に元々狂わされて居たのかな。彼女は最後まで比較的異変の影響が少なかったのだけどその古き信仰、オカルトに守られて居たのかもね。まぁメタなコト云えば主人公だからだけど。
テレサとジャックが融合してバケモノになって……とかアルパカが全部合体して……辺りは『遊星からの物体X』ぽかったな。農場の行く末を賭けて居たらしいアルパカを処分。そして大切な妻と息子を処分。この辺は、まぁ、観てると締め付けられるね。もうカナリ狂っては居たけど垣間見える正気の部分。
ガードナー一家は死んだのではなく、異なる次元に移動したのかも。と思わせる終盤の室内の一家団欒。ラストの白い土地も何だか印象に残る。宇宙から来た『色』が全部の色を持って行って仕舞ったかのような、全ての生命力を吸い取られた残りカスのような世界。ワードだけ無事だったのは何でだろうね。
紫色の光に溢れた極彩色の悪夢。自然界にあまり存在しない色だからね紫。あそこまで溢れるとそれだけで何か、怖いよね。綺麗で怖い。あ。でも変異したカマキリみたいなやはり紫色の蟲はちょとだけ可愛かったな。まぁどちらかと云えば好みの怖さの映画かな。理解が全く及ばない存在てやぱ怖いよね。

●『クワイエット・フレンド 見えない、ともだち』
8才のジョシュのイマジナリフレンドである『Z』。最初は受け入れて居た両親だがジョシュの言動は次第にZの影響を受けて変質して行き、遂に傷害事件を起こして仕舞う。母親は生家の片付け中に1本のビデオを発見し……。
玩具の遊び、電車の玩具を走らせるとか、にリアルな音が被さってゆくオープニングはなかなか面白い。『子供の空想の世界』、遊んで居る子供の脳内の具現化だよね。子供の脳内ではアレが鳴って居る。
イマジナリフレンドの『母から子へ』て云う基本構造は『怪物がささやく』に似て居るなと思ったけど調理法が違うだけでこんだけ違ったモノになるのねと云う、こっちはもう純然たるホラー。構造も真逆だね。死にゆく母が息子を救うために寄越した友達と、邪悪な友達を追い払うために命を懸ける母と。
普通の友人が言動に影響を与えるように、Zの言動もジョシュに影響を与えてゆく。社会には好ましくない方向に。じわじわと。「怖いから寝室のドアは閉めないで」が「Zが暗い方が好きだから閉めて」に変わる。一番最初の些細な変化だけど、個人的にはジョシュの変化の中でコレが一番そわっとしたな。
あと母親が生家から、自分の母の遺品の中から持って来た、恐らく彼女が小さい頃使って居た『アルファベットのキーが光り発音する単語学習用の玩具』。壊れて居るらしくキーを押しても作動しないのに、勝手に『Z』を表示し発音し続ける。コレも地味に怖かった。バグった玩具って妙に怖いよね。
Zの姿を最後までハッキリ見せないのはホラーとしてとても良い。ジョシュが壁に描いた絵と、アトはちらっと数回映るだけ。最後は親の愛で締めて、でも締め切れてないのコレ……?て云う王道ちゃ王道でまぁ若干食傷気味ではあるけれど安心出来ると云や安心出来るラスト。他に何か……とは思うけど。
少し気になったのはベスの父親。今のベスと同じように『ベスが語るZ』に怯えて居たらしい。母親のコトバから『若くして死んだ』コトが推察される。生家でベスが一瞬見た『首を吊って居る男』の幻影はその父親ではないのか。そしてラストでベスが選択した『息子を救うたったひとつの方法』……。もしかしたらZは元々幼い頃の父のイマジナリフレンドでもあったのかも。それが娘のベスに移り、更にその息子のジョシュに移った。とすると、ジョシュが成長し結婚し、子が8才になったトキ……的な。
ベスの父が発祥ですらないかもね。もっと昔から血族に憑き続けて居たのかも。Zて何だろうね。

●『ゴーストワールド』
高校卒業して何をするでもなく世の中に辛らつな言葉を投げつけつつ、つるんでうだうだして居るイーニドとレベッカ。或る日、新聞広告が元で出会った彼女ら云うトコロの『キモ男』に興味を引かれてゆくイーニド。一方レベッカとは次第に距離が生じ……。
周囲に対して斜に構え、世間全てがバカでケーハクに見える肥大したアンバランスな自尊心を持て余し、自分でもどうしたいのか何をしたいのか判らないけど世間は、社会は、それを待っては呉れない。そんな高校卒業無職無所属の小娘2人。リア充と距離を置き、オタク君をからかって無目的に過ごす日々。
そんな日々の中、暇つぶしの悪戯で知るコトとなった冴えない中年男シーモア。ガレージセールで彼が売って居たレトロレコードをイーニドは気に入り、それは次第にシーモア自身への興味へと移行する。
シーモアに接近して行くイーニド。それにつれて元々わずかにズレがあったレベッカとの溝が広がって行く。イーニドを置いて人生を歩み出すレベッカ。成長に伴い各々の精神も変化して行くけどそのスピィドや方向が一致するとは限らない。例え親友と云えども。切ないし、仕方ないけどやぱ切ないね。
「あなたがモテない世の中が不満」と恋愛に消極的なシーモアのデート相手を見繕うイーニド。この辺は『自分がシーモアに対して抱いて居る感情』を自分自身に対して胡麻化して居るように見えて実は自分に足りないモノに対して、自分と社会とのマッチング不足に対していらだって居るようにも見えて。
廃止されたバス停でずっとバスを待って居る老人ノーマン。終盤、何もかも自分から去って行き或いは投げ捨てて仕舞ったイーニドが世界から置き去りにされたような夜道の果て、「心の拠り所はあなただけ。何があっても必ず此処に居る」と吐露した存在。それも来る筈のなかったバスに乗って去ってゆく。其処まで純化して初めて自分で考えた自分の意志で一歩を踏み出すイーニドの姿で映画は締められて。
腹をたてて店に怒鳴り込んで棚を引き倒して暴れ、ようとしたら力が足りなくてびくともしなかったシーモア、つうかスティーブ・ブシェミが可愛かった。役者で云えばイーニド、見たような気のする顔だと思って居たらソーラ・バーチだ。『穴』での熱に浮かされたようなメンヘラ演技はよく覚えて居ます。
脇役ではイーニドの補習を担当した美術教師、鬱陶しいけど印象に残る。アレも人格形成に影響与えた存在ではあるのかな。あとジョシュのバイト先に居座るヌンチャク男、ワケ判らないけど好きだった。

●『サウンド・オブ・サンダー』
タイムトラベルが実現した未来。恐竜を本来の死の寸前にハントするタイムサファリ社の超人気ツアーでトラブルがあり、客の一人が本来起きなかった筈の『何か』をして仕舞う。その影響は波のように何度も現代を襲い、世界は変容して行く……。
レイ・ブラッドベリをハリウッドミキサで粉砕し、5倍くらいのハリウッド粉を混ぜてハリウッドオーブンで焼き固めたような映画。そんなの彼の地ではボコボコ量産されて居るよね。そのうちの一本。
SF的に「イヤそうはならんやろ」描写満載だけどね。『同時刻に同じ恐竜を何度も殺す』ツアーが可能ならタイムパラドクスなんか存在しねえだろとか、クライマックスでそもそもの始まりである狩猟チームに会えるならそれ以前も全ての狩猟チームが鉢合わせするコトにならねえかとか。でもそんなの気にする方がバカバカしい。ザックリと目を瞑り、アタマ空っぽにすればそこそこ楽しめないでもない映画。6500万年前の白亜紀なのにターゲットがジュラ紀のアロサウルスなのはサスガに看過出来んけど。
過去が改変されても恐竜とヒヒが混じったりしねえよ。とかも思ったけどまぁコレは単なる過去改編ではなく、時空に津波的な破断が起きたコトで情報が混じったとか考えればいいのかな。その恐竜ヒヒが硬い鱗に覆われて居るけど柔らかい喉だけ弾丸が通る。んで何か律儀に『立ち上がって威嚇する』から撃ち放題なのはちょと笑ったな。まぁゲェム的に云えばちょうどいい難易度設定てコトになるのかしら?
タイムトラベルが政府によって規制されて居て監督局から役人が派遣されて居て……て云うディティールは好みだったな。その役人が社長とずぶずぶでワイロ漬けにされて居てみたいなのまで含めてね。そのせいか知らんがまぁよく云えば『融通の利く』お役人でね。お話の登場人物としては好きでしたよ。
最後の波でソニア博士が変異した姿を見せるのは笑って仕舞ったな。思いっきりヒロインムーブをかましたアトで『あの顔』でキョトンとされるとギャグマンガのコンテクストを形成し兼ねないのよ。
原作はケッコウ好きだけども、あの繊細な美しさが木っ端微塵にされて居るのはもう1周して清々しく。タイトルのダブルミーニングも何処かにすっ飛んじゃったけどまぁそれもいいや。でもいっこだけ、キーアイテムの蝶、アレはあんなモスラみたいなんじゃなくもっと硝子細工みたいなのが良かったな。
総体的に判断するとそうだな、悪くはないかな?もっかい観たりはしないとは思うけど。そんなん。

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月間賞は、うーん、『サウンド・オブ・サンダー』が一段下でアトは割と横並びだなぁ。
けど『ゴーストワールド』かな。今日の気分だと。
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